【建設業向け】技能実習生・特定技能人材が辞めない建設業へ|評価者研修と教育制度で「教える人によって差が出る」を防ぐ

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    技能実習生・特定技能人材が辞めない建設業へ|評価者研修と教育制度で「教える人によって差が出る」を防ぐ

    情報基準日:本記事の統計・法令情報は2026年8月31日時点の公表情報に基づいています。

    「先輩によって教え方も評価もバラバラで、技能実習生が戸惑っている」。外国人材を受け入れている建設会社の現場責任者から、こうした声を聞くことがあります。厚生労働省は2026年8月31日に「令和7年外国人雇用実態調査」の結果を公表し、あわせて2026年8月26日には技能実習法に基づく行政処分等を行ったことを明らかにしました。外国人労働者の処遇改善が進む一方で、受け入れ企業側の制度・運用の適正さに対する目も厳しくなっています。

    建設業は特定技能・技能実習の両制度で外国人材を受け入れる代表的な業種のひとつですが、教育やOJTの内容が指導者個人の経験や感覚に頼りきりになっている現場は少なくありません。技能や日本語力に応じた公平な評価の仕組みがないまま「なんとなく仕事を教える」状態が続くと、実習生・特定技能人材の不満や早期離職につながります。本記事では、総合建設業、専門工事業、工務店など受け入れ規模や体制の違いにも触れながら、評価者研修と教育制度の整備によって外国人材の定着を図る実務対応を解説します。

    国籍を問わず公平に使える評価基準づくりの参考に、評価シートサンプルをご活用ください。

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    目次

    この記事で分かること

    • 厚生労働省「令和7年外国人雇用実態調査」(2026年8月31日公表)によると、外国人労働者数は約204万人で、在留資格別では「専門的・技術的分野」が42.1%、「身分に基づくもの」が24.0%、「技能実習」が21.7%を占めています。
    • 外国人労働者の月間給与は全体平均で292.4千円(前年比6.4%増)、うち特定技能は254.1千円(同1.5%増)、技能実習は213.5千円(同1.7%増)と、いずれも増加傾向にあります。
    • 2026年8月26日には技能実習法に基づく行政処分等が行われており、監理団体・実習実施者双方に適正な受け入れ体制が求められる状況が続いています。
    • 処遇面での改善が進む一方、現場での教育・評価が指導者任せになっている会社ほど、実習生・特定技能人材の不満や早期離職のリスクが高まります。
    • 評価基準の文書化と評価者研修による「教え方・評価のばらつき防止」が、外国人材の定着と戦力化を左右します。

    調査結果・行政処分の概要

    厚生労働省が公表した令和7年外国人雇用実態調査によれば、外国人労働者数は約204万人で、在留資格別の内訳は「専門的・技術的分野」が42.1%、「身分に基づくもの」(永住者や日系人など)が24.0%、「技能実習」が21.7%となっています。月間給与は全体平均で292.4千円(前年比6.4%増)、所定内実労働時間は158.7時間でした。在留資格別では、特定技能の月間給与が254.1千円(前年比1.5%増)、技能実習が213.5千円(同1.7%増)と、いずれも前年より処遇が改善しています(厚生労働省「『令和7年外国人雇用実態調査』の結果を公表します」2026年8月31日公表)。

    注意:この調査は全産業を対象とした集計であり、建設業に限定した内訳の数値は本記事の情報基準日時点で一次資料から確実に確認できなかったため、本記事では建設業固有の数値としては使用していません。建設業における外国人材の受け入れ状況を検討する際は、国土交通省や建設業関係団体が公表する建設分野に特化した統計もあわせてご確認ください。

    一方、厚生労働省は2026年8月26日に技能実習法に基づく行政処分等を行ったことを公表しました。技能実習制度では、実習実施者(受け入れ企業)と監理団体の双方に法令順守が求められており、不適正な事案があれば改善命令や許可の取消しなどの行政処分が行われます。処分の対象となった個別の事業者名や事案の詳細は本記事では取り上げませんが、こうした行政処分が継続的に行われていること自体が、外国人材を受け入れる企業に対して、受け入れ体制の適正さと教育・評価の透明性がこれまで以上に求められていることを示しています。

    技能実習法に基づく行政処分は、厚生労働省が定期的に公表している取り組みであり、今回に限った特別な動きではありません。しかし処分事例が繰り返し公表されること自体が、監理団体まかせにせず、受け入れ企業自身が実習計画どおりの指導・評価を行っているかを継続的に点検する必要性を物語っています。特に、実習内容と実際の作業内容がかけ離れていないか、時間外労働や賃金の支払いが適正に行われているかは、教育・評価の仕組みと合わせて確認すべき事項です。

    中小建設業に与える具体的な影響

    外国人材の処遇が全国的に改善傾向にある中で、受け入れ企業側が「制度上の給与水準さえ満たしていればよい」という発想にとどまっていると、実習生・特定技能人材との認識のずれが生じやすくなります。給与水準の比較情報は本人たちにも入手しやすくなっており、自社の処遇が制度上の水準を満たしているかどうかだけでなく、評価の納得感があるかどうかが定着を左右する時代になっています。

    総合建設業では複数の現場に外国人材を分散配置することが多く、現場ごとに教育担当者が異なるために評価基準がばらつきやすい傾向があります。専門工事業や工務店では、少人数の熟練職人が指導を一手に担うことが多く、その職人の指導スタイルがそのまま実習生の評価そのものになってしまうリスクがあります。技能実習から特定技能への移行を検討している会社では、移行のタイミングで評価基準や処遇の説明が曖昧になり、本人の不安や不満につながるケースも見られます。

    さらに、外国人材の受け入れ人数が増えるほど、指導担当者一人が抱える人数も増えがちです。ベテラン職人が本業の作業と実習生の指導を同時にこなさなければならない現場では、指導に十分な時間を割けず、結果として「見て覚えろ」という昔ながらの指導に頼らざるを得ない状況も生まれやすくなります。こうした状況が続くと、技能習得のスピードに個人差が生じるだけでなく、評価する側も「なんとなくの印象」で評価してしまい、本人の納得感を損ないやすくなります。

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    経営・人事・現場で起こりやすい課題

    現場責任者からは「実習生の日本語力や理解度に差があり、どう評価していいか分からない」という声、職人・技能者からは「教え方に正解がなく、自己流でやるしかない」という声が聞かれます。事務職員は在留資格の管理や監理団体とのやり取りに追われ、教育・評価の中身にまで手が回らないことも少なくありません。経営者にとっては、処遇改善のための人件費増と、教育にかける時間・体制づくりのコストをどう両立させるかが悩みどころです。

    評価基準が明文化されていないと、指導する職人の当たり外れによって実習生の技能習得スピードや定着率に差が出てしまいます。若手の日本人社員と外国人材が混在する現場では、評価基準が統一されていないことが、双方の不公平感や職場内のあつれきにつながることもあります。

    等級・評価・育成制度への反映方法

    外国人材の定着を図るうえでの土台は、国籍や在留資格の違いにかかわらず公平に使える評価基準を整備することです。等級制度の面では、技能実習生・特定技能人材にも自社の等級区分を当てはめ、技能レベルに応じてどの等級に位置づけられるのかを明確にします。評価制度の面では、評価項目を「安全確認」「基本作業の習熟度」「日本語でのコミュニケーション」など具体的な行動レベルまで落とし込み、誰が評価しても同じ基準で判定できるようにすることが重要です。

    育成制度の面では、指導担当者ごとの教え方のばらつきを防ぐために、教育の進め方や到達目標を示したOJTチェックリストを整備し、評価者研修の中でその使い方を統一します。CCUS(建設キャリアアップシステム)の能力評価基準のような客観的な技能評価の枠組みがある職種については、自社の等級・評価制度と関連づけて活用することで、外国人材本人にとっても自分の成長が見える化されます。

    実務対応の手順

    第一に、技能実習生・特定技能人材を含めた全職種の評価項目を整理し、行動レベルまで具体化した評価基準を文書化します。第二に、指導担当者向けの評価者研修を実施し、評価基準の使い方と評価のばらつきを防ぐポイントを共有します。第三に、OJTの進め方を標準化したチェックリストを作成し、技能習得の到達目標を指導担当者と実習生・特定技能人材の双方で共有します。第四に、技能実習から特定技能への移行を検討する際は、評価結果や処遇の変化について本人に丁寧に説明する機会を設けます。第五に、監理団体や登録支援機関と定期的に情報共有を行い、受け入れ体制が法令に沿っているかを確認します。あわせて、指導担当者一人あたりが受け持つ実習生・特定技能人材の人数が過重になっていないかも点検し、必要に応じて指導担当者を増やす、担当現場を固定するなどの体制面の見直しも検討してください。

    比較表・チェックリスト・試算例

    在留資格別の月間給与の状況

    表1.在留資格別の月間給与の状況(令和7年外国人雇用実態調査、全産業ベース)
    在留資格区分月間給与前年比
    全体平均292.4千円6.4%増
    特定技能254.1千円1.5%増
    技能実習213.5千円1.7%増

    注)本表は厚生労働省「令和7年外国人雇用実態調査」に基づく全産業ベースの数値です。建設業に限定した内訳は一次資料から確認できなかったため掲載していません。

    外国人材の教育・評価点検チェックリスト

    • 技能実習生・特定技能人材にも自社の等級区分を当てはめているか
    • 評価項目が行動レベルまで具体化され、指導担当者による判断のばらつきが起きにくい内容になっているか
    • OJTの進め方や到達目標を示したチェックリストがあるか
    • 評価者研修で評価基準の使い方を共有しているか
    • 技能実習から特定技能への移行時に、処遇変化の説明機会を設けているか

    計算例(架空のモデル事例)

    従業員60名の総合建設業C社(実在の企業ではなく説明用の架空の設例です)では、技能実習生5名を3現場に分散配置していましたが、現場ごとに指導担当の職人が異なり、技能習得のスピードにばらつきが出ていました。評価項目を「安全確認」「基本作業の習熟度」「道具の管理」など8項目に整理し、各項目を4段階で評価するチェックシートを導入したところ、指導担当者間で「何を教え、何を確認すればよいか」の認識がそろい、3か月後の評価では5名中4名が主要項目で目標段階に到達しました。あわせて指導担当者向けに月1回・30分程度の評価者研修を継続したことで、担当者間の評価の付け方の差も縮小しました。数値や結果はあくまで説明のためのモデルであり、実際の効果は現場体制や本人の状況によって異なります。

    人事コンサルタントからのアドバイス

    まず経営者に確認していただきたいのは、現在受け入れている技能実習生・特定技能人材の在留資格別人数、指導担当者の一覧、そして直近の離職・帰国事例の有無です。この三つを整理するだけで、指導が特定の職人に偏っていないか、離職の背景に評価や処遇への不満がなかったかが見えてきます。制度を整備する優先順位としては、まず評価項目の文書化を先行させ、その後に評価者研修、最後にOJTチェックリストの整備という順番で進めると、現場の負担を抑えながら効果を出しやすくなります。

    現場で運用を定着させる際の注意点は、日本語での説明だけに頼らず、図や写真、やさしい日本語を使った資料を用意することです。評価基準そのものは統一しても、伝え方が本人に届かなければ意味がありません。なお、在留資格ごとの受け入れ要件や、技能実習から特定技能への移行手続き、監理団体・登録支援機関との契約内容など、専門的な判断が必要な事項については、行政書士や社会保険労務士、出入国在留管理庁など専門家・専門機関に相談しながら進めることを強くおすすめします。

    用語集

    技能実習制度
    開発途上国等の人材を日本で一定期間受け入れ、技能を移転することを目的とした制度です。実習実施者と監理団体が法令に基づいた受け入れ体制を整える必要があります。
    特定技能
    人手不足が深刻な特定の産業分野で、一定の技能・知識を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。建設分野も対象業種のひとつとされています。
    監理団体
    技能実習生の受け入れにあたり、実習実施者への指導・監査を行う非営利団体です。技能実習法に基づく許可を受けて活動します。
    登録支援機関
    特定技能外国人の受け入れ企業に代わって、生活支援や各種手続きの支援を行う機関です。出入国在留管理庁への登録が必要です。
    CCUS(建設キャリアアップシステム)
    建設技能者の資格・就業履歴・技能評価などを業界統一のルールで登録・蓄積する仕組みです。技能レベルに応じたレベル判定が行われます。
    評価者研修
    管理職や現場責任者など評価を行う立場の社員を対象に、評価基準の理解や評価のばらつきを防ぐための考え方を学ぶ研修です。
    OJT
    On the Job Trainingの略で、実際の業務を通じて必要な知識・技能を身につけさせる教育方法です。指導担当者による質のばらつきを防ぐ仕組みづくりが課題になります。

    よくある質問(FAQ)

    Q1.技能実習生にも自社の人事評価制度を適用してよいのでしょうか。

    A.はい、適用すること自体に問題はありません。ただし技能実習制度は技能移転を目的としており、評価結果を待遇に反映する際は、技能実習計画の内容や関連法令との整合性を確認する必要があります。判断に迷う場合は監理団体や専門家に確認してください。

    Q2.評価者研修は誰を対象に実施すればよいですか。

    A.技能実習生・特定技能人材の指導を直接担当する職長や現場責任者を優先的に対象とすることをおすすめします。指導が特定の職人に偏っている会社ほど、その職人が評価者研修の対象から漏れないよう注意してください。

    Q3.技能実習から特定技能へ移行する際、評価基準を変える必要がありますか。

    A.評価の土台となる等級区分は共通にしつつ、特定技能では即戦力としての技能発揮が期待されるため、評価項目の比重を技能の実践度合いに寄せるなどの調整が考えられます。移行時には処遇の変化について本人への説明を丁寧に行うことが重要です。

    Q4.外国人材の処遇を改善する際、日本人社員とのバランスはどう考えればよいですか。

    A.国籍にかかわらず同一の等級・評価基準を適用することが基本です。同じ等級・評価結果であれば同水準の処遇とすることで、日本人社員・外国人材双方の納得感を得やすくなります。個別の処遇差が生じる場合は、その理由を説明できるようにしておく必要があります。

    Q5.技能実習法違反の行政処分を受けないために、まず何を確認すればよいですか。

    A.自社が技能実習計画どおりに実習を実施しているか、監理団体からの監査に適切に対応しているか、労働関係法令を順守しているかを確認することが基本です。不明な点があれば、行政処分の対象になる前に監理団体や社会保険労務士、行政書士に相談することをおすすめします。

    出典・参考情報/留意事項

    留意事項:本記事で使用した給与等の数値は、令和7年外国人雇用実態調査に基づく全産業ベースの集計であり、建設業に限定した内訳ではありません。建設業に固有の外国人材データについては、本記事の情報基準日時点で一次資料から確実な数値を確認できなかったため使用を見送っています。技能実習法に基づく行政処分の対象事業者や個別事案の詳細については触れておらず、一般的な留意点としての紹介にとどめています。制度の適用や個別の法的判断については、行政書士、社会保険労務士、出入国在留管理庁など専門家・専門機関にご確認ください。

    まとめ

    外国人材の処遇は全国的に改善が進んでいますが、行政処分が継続的に行われていることからも分かるとおり、受け入れ企業側の制度・運用の適正さへの目は厳しくなっています。給与水準を制度上満たしているだけでは、技能実習生・特定技能人材の納得感や定着にはつながりません。指導担当者によって教え方や評価が異なる「属人的なOJT」から抜け出し、行動レベルまで具体化した評価基準と評価者研修によって、誰が指導しても同じ基準で公平に評価できる仕組みを整えることが、外国人材を戦力として定着させる近道です。有限会社ヒューマンリソースコンサルタント(HRC)では、建設業に特化した評価制度の設計を支援しており、国籍を問わず公平に使える評価基準づくりの参考として、評価シートのサンプルもご案内しています。指導のばらつきに課題を感じている方はまず評価シートのサンプルをご確認いただき、評価者研修や制度設計まで相談したい方は建設業向けの無料相談をご活用ください。技能実習生・特定技能人材の受け入れ規模や現場体制は会社によって異なりますので、まずは自社の指導担当者の配置状況を整理するところから始めることをおすすめします。

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