【建設業向け】有効求人倍率1.18倍でも人が来ない建設業|求人票と処遇の見直しで応募を増やす方法

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    有効求人倍率1.18倍でも人が来ない建設業|求人票と処遇の見直しで応募を増やす方法

    情報基準日:本記事の統計情報は2026年8月31日時点の公表情報に基づいています。

    「求人サイトに掲載しても応募が来ない」「面接まで進んでも辞退される」。中小建設業の採用担当者からよく聞かれる悩みです。厚生労働省が2026年8月28日に公表した一般職業紹介状況(令和8年7月分)によれば、全国の有効求人倍率は季節調整値で1.18倍と前月と同水準を保ち、正社員有効求人倍率も1.00倍で高止まりしています。人を採りたい会社の数が、働きたい人の数を上回る状態が続いているということです。

    建設業の新規求人数も増加傾向にあり、業界としては引き続き人手を必要としています。しかし求人を出せば応募が集まる時代ではありません。応募が集まらない、集まっても定着しないという会社の多くは、求人票に書く内容と、実際の処遇・キャリアの見通しとの間にギャップがあります。本記事では、最新の求人動向データを踏まえ、総合建設業、専門工事業、工務店、土木、設備工事など業態ごとの違いにも触れながら、等級・評価制度を土台にした求人票の作り方と採用力強化の実務対応を解説します。

    等級・評価制度に基づいた賃金レンジづくりの参考に、評価シートサンプルをご活用ください。

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    目次

    この記事で分かること

    • 2026年7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍、正社員有効求人倍率は1.00倍で、人手不足の基調が続いています。
    • 建設業の新規求人数(パートを除く)は前年同月比0.8%増、総合工事業に限ると1.4%増となっており、建設業の採用意欲は他業種と比べても底堅い状況です。
    • 新規求人数は建設業全体で69,033人、総合工事業で36,837人と、規模の大きい採用需要が続いています。
    • 応募が集まらない会社の多くは、求人票の賃金・評価基準の説明が不十分で、応募者が入社後の見通しを持てないことが原因になっています。
    • 等級・評価制度に基づいた賃金レンジとキャリアパスを求人票に落とし込むことが、採用競争力を左右します。

    一般職業紹介状況(令和8年7月分)の概要

    厚生労働省の発表によると、令和8年7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で前月と同水準、新規求人倍率(季節調整値)は2.10倍で前月比0.06ポイントの低下でした。正社員有効求人倍率は1.00倍で、こちらも前月と同水準です。原数値では、有効求人が前月比0.1%減、有効求職者が前月比0.6%増となっています(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)について」2026年8月28日公表)。

    産業別の新規求人状況(パートを除く)を見ると、建設業は前年同月比0.8%増、その中でも総合工事業は1.4%増と伸びが目立ちます。規模別では、29人以下の小規模企業で6.9%増、300〜499人規模の企業で1.5%増となっており、比較的小規模な会社でも求人数自体は増えていることが分かります。新規求人数の実数では、建設業全体で69,033人、総合工事業で36,837人の求人が出されました(同資料)。つまり、求人の「入り口」としての求人数は増えているにもかかわらず、正社員有効求人倍率が1.00倍で高止まりしていることは、企業側の採用意欲に対して、実際に転職・就職を検討する求職者の数が追いついていないことを示しています。

    新規求人倍率が前月比でわずかに低下した点についても、求人数そのものが減ったというより、新規求職者の動きが相対的に増えたことによる変化であり、労働市場全体としては引き続き「求人超過」の状態が続いていると読み取れます。建設業に限らず、宿泊飲食業のように新規求人が減少している業種もある中で、建設業・総合工事業の新規求人が増加を続けていることは、業界としての採用意欲の強さを裏づけています。裏を返せば、建設業の求職者は他業種からも声がかかりやすい状況にあるということでもあり、待遇や仕事内容の説明が曖昧な求人は、より条件の分かりやすい他社・他業種に流れてしまうリスクが高まっています。

    中小建設業に与える具体的な影響

    求人を出す会社が増えている一方で求職者数が伸び悩んでいるということは、求職者から「選ばれる求人」になれるかどうかが、これまで以上に採用結果を左右するということです。同じ職種・同じ地域で求人を出していても、賃金の決め方や昇給の見通しが明確に書かれている求人と、そうでない求人とでは、応募者の受け止め方が大きく変わります。特に総合工事業のように新規求人の伸びが大きい業態では、同業他社との人材の奪い合いが激しくなりやすく、求人票の情報量そのものが競争力になります。

    専門工事業や工務店では、求人媒体への掲載費用を抑えたいという事情から、求人票の記載を最低限にとどめているケースも見られます。しかし記載が薄い求人ほど、応募者は「この会社は評価や昇給の仕組みがきちんとしていないのでは」という不安を感じやすくなります。土木や設備工事のように現場が点在する業態では、勤務地や現場配属の考え方まで具体的に示すことが、応募のハードルを下げる要因になります。

    経営・人事・現場で起こりやすい課題

    経営者からは「求人広告費をかけているのに応募が来ない」という声、採用担当者からは「面接で給与や評価の質問にうまく答えられず辞退されてしまう」という声がよく聞かれます。施工管理部門の管理職からは「若手が欲しいのに、経験者ばかり応募してくる」という悩みも多く聞かれます。これらの共通点は、自社の等級・評価・賃金の仕組みが社内でも明文化されておらず、対外的に説明できる形になっていないことです。

    事務職員が求人票を作成する際、賃金欄に「経験・能力を考慮の上、優遇します」といった曖昧な表現にとどめてしまうと、応募者は自分がどの水準で処遇されるのか想像できません。若手の採用を目指す会社ほど、初任給だけでなく、3年後・5年後にどのポジション・賃金水準に到達できるのかという見通しを示すことが重要ですが、キャリアパスや等級制度が整備されていないと、この説明ができません。

    職種別に見ると、課題の中身も異なります。施工管理職では、資格取得(施工管理技士など)や担当できる工事規模の広がりが処遇にどう結びつくのかが不明確なまま求人を出しているケースが目立ちます。職人・技能者については、CCUS(建設キャリアアップシステム)のレベル判定など客観的な技能評価の仕組みがあっても、それを自社の賃金・等級制度に反映できておらず、求人票でアピール材料として使えていない会社も少なくありません。事務職の求人では、建設業特有の実行予算管理や労務・安全書類の対応など、他業種とは異なる業務内容の説明が不足しがちで、応募者が仕事のイメージを持ちにくいという課題があります。

    求人票に書ける等級・評価基準づくりについて、専門コンサルタントに直接ご相談いただけます。

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    等級・評価・賃金・採用への反映方法

    採用力を高める土台になるのは、等級制度とそれに連動した賃金レンジです。施工管理、職人、事務それぞれの職種について、等級ごとに求められる技能・資格・経験と、対応する賃金レンジを整理しておくことで、求人票に「入社後どう評価され、どう昇給していくか」を具体的に書けるようになります。評価制度の面では、評価項目を職種別に明確化しておくことで、面接時にも「当社ではこういう基準で評価します」と説明でき、応募者の安心材料になります。

    賃金制度の面では、経験者採用と未経験者採用とで賃金の決め方が異なる場合、その基準をあらかじめ整理しておくことが、内定後のミスマッチや早期離職を防ぐことにつながります。特に中途採用では、前職の給与水準をそのまま踏襲してしまうと、既存社員との公平性が崩れやすいため、等級制度に基づいた格付けのルールを持っておくことが重要です。

    実務対応の手順

    第一に、職種別・等級別の賃金レンジを整理し、求人票に記載できる形に落とし込みます。第二に、未経験者・経験者それぞれのキャリアパス(何年でどの等級に到達しうるか)をモデルケースとして用意します。第三に、求人票の賃金欄・待遇欄に、範囲を明示した賃金レンジと昇給の考え方を記載します。第四に、面接担当者向けに、等級・評価制度の説明資料を共有し、誰が対応しても同じ説明ができるようにします。第五に、内定後の処遇決定について、等級への格付け基準を明文化し、既存社員との公平性を確認したうえで運用します。

    比較表・チェックリスト・試算例

    求人票の記載レベルによる違い

    表1.求人票の記載レベルによる応募者の受け止め方の違い(目安)
    記載レベル賃金欄の書き方応募者の受け止め方
    最低限「経験・能力を考慮の上、優遇」処遇が不透明で不安
    中程度「月給25万円〜30万円」など範囲のみ目安は分かるが根拠が不明
    充実賃金レンジ+等級基準+昇給の考え方を明記評価の仕組みが伝わり安心材料になる

    職種別の採用課題と対応策

    表2.職種別に見た採用課題と求人票での対応策(一部抜粋)
    職種起こりやすい課題求人票での対応策
    施工管理職資格取得や担当規模の拡大が処遇にどう結びつくか不明確等級ごとの資格要件と賃金レンジを明記する
    職人・技能者CCUSのレベル判定など技能評価を賃金に反映できていない技能・資格に応じた手当や等級への反映方法を示す
    事務職建設業特有の業務内容が伝わらない実行予算管理や安全書類対応など具体的な業務内容を記載する

    採用力点検チェックリスト

    • 職種別・等級別の賃金レンジを求人票に落とし込めているか
    • 未経験者向けのキャリアパスをモデルケースとして示せているか
    • 面接担当者ごとに説明内容がばらついていないか
    • 中途採用者の格付け基準が明文化されているか
    • 内定後の処遇について、既存社員との公平性を確認する仕組みがあるか

    計算例(架空のモデル事例)

    従業員45名の総合建設業B社(実在の企業ではなく説明用の架空の設例です)では、施工管理職の求人に月給22万円〜28万円という表示のみを掲載していましたが、応募数が伸び悩んでいました。等級制度を整理した結果、施工管理職を3等級に分け、1等級(未経験〜3年目)月給22万〜24万円、2等級(現場代理人補佐クラス)月給25万〜28万円、3等級(現場代理人クラス)月給29万〜33万円という賃金レンジと、資格取得や担当工事規模など昇格の目安を求人票に明記したところ、応募者から「入社後の見通しが分かりやすい」との反応があり、面接時の質問対応もしやすくなりました。数値はあくまで説明のためのモデルであり、実際の等級設計は自社の業容や地域相場に応じて検討する必要があります。

    人事コンサルタントからのアドバイス

    採用力を見直す際、経営者にまず確認していただきたいのは、直近1年間の求人媒体ごとの応募数・面接実施数・内定辞退数のデータと、現在の求人票の記載内容です。この二つを突き合わせると、どの段階で応募者が離脱しているのかが見えてきます。制度整備の優先順位としては、まず自社の等級・賃金レンジを整理することを先行させ、その内容を求人票に反映させる、という順番が効果を実感しやすい進め方です。評価制度そのものを一から作り込むには時間がかかるため、まずは「入口の説明材料」を整えることを優先してください。

    現場に定着させる際の注意点は、求人票に書いた等級・賃金の説明と、実際の運用が食い違わないようにすることです。求人票で示したキャリアパスどおりに昇格・昇給が進まないと、早期離職や社内の不信感につながります。中途採用者の格付けや、既存社員との賃金バランスの調整など、専門的な判断が必要な場面では、社会保険労務士や人事コンサルタントに相談しながら進めることをおすすめします。また、求人票の見直しは一度作って終わりではなく、応募状況や採用市場の動きに合わせて年に一度は内容を点検し、賃金レンジや資格要件が実態と乖離していないか確認する運用を組み込んでおくと、効果が長続きします。

    用語集

    有効求人倍率
    公共職業安定所(ハローワーク)に登録されている有効求人数を、有効求職者数で割った指標です。1倍を上回るほど、働き手に対して求人が多い状態を示します。
    新規求人倍率
    その月に新たに受け付けた求人数を、新規求職者数で割った指標です。有効求人倍率より短期的な労働市場の動きを示します。
    キャリアパス
    入社してから昇進・昇格していくまでの道筋を示したものです。等級制度と連動させることで、社員が将来の姿を具体的にイメージできるようになります。
    等級制度
    社員の役割や能力、貢献度に応じて序列を定める仕組みです。等級ごとに求められる基準や賃金レンジを設定することで、評価・賃金制度の土台になります。
    賃金レンジ
    等級や職種ごとに設定する、賃金の上限と下限の幅のことです。求人票に明記することで、応募者に入社後の処遇の見通しを示すことができます。
    求人票
    ハローワークや求人媒体に掲載する、募集職種・賃金・労働条件などを記載した書類です。2024年4月の職業安定法改正により、明示すべき労働条件の項目が追加されています。
    現場代理人
    建設現場において、工事請負契約に基づき発注者との連絡調整や現場管理を行う責任者のことです。施工管理のキャリアパスにおける重要な到達点の一つとされます。

    よくある質問(FAQ)

    Q1.求人票に賃金レンジを載せると、既存社員に知られて不公平感が出ませんか。

    A.賃金レンジは等級ごとの幅を示すものであり、個人の実際の賃金額そのものではないため、既存社員との比較で直接的な不公平感にはつながりにくいものです。むしろ等級制度が整理されていない状態のほうが、社員間で「なぜあの人と自分の給与が違うのか」という不満が生じやすいため、等級基準を明確にすることをおすすめします。

    Q2.等級制度を作るのに、どのくらいの期間や費用がかかりますか。

    A.自社の職種数や規模にもよりますが、等級区分と評価基準の骨子を整理するだけであれば数か月程度で着手可能です。本格的な制度設計をコンサルタントに依頼する場合は、規模や範囲に応じた費用が発生しますので、複数の選択肢を比較したうえで検討することをおすすめします。

    Q3.未経験者採用と経験者採用で、等級の当てはめ方を変えてもよいのでしょうか。

    A.問題ありません。未経験者は入社後の育成計画に基づいて等級を設定し、経験者は保有資格や実務経験を基準に格付けするなど、採用区分ごとにルールを分けて運用することは一般的です。ただし基準が曖昧なまま個別判断を重ねると不公平感につながるため、あらかじめルール化しておくことが重要です。

    Q4.求人票の賃金の書き方について、法律上の注意点はありますか。

    A.2024年4月の職業安定法改正により、労働条件の明示事項が追加されており、賃金についても具体的で誤解のない記載が求められます。実際の記載内容が法令の要件を満たしているかは、社会保険労務士や所轄のハローワークに確認することをおすすめします。

    Q5.中途採用者の給与を前職水準に合わせて決めてもよいのでしょうか。

    A.前職水準をそのまま踏襲すると、既存社員との等級・賃金のバランスが崩れることがあります。前職の経験・実績を自社の等級基準に照らして格付けし、その等級の賃金レンジ内で決定する方法のほうが、社内の公平性を保ちやすくなります。特に施工管理職や技能者の中途採用では、前職での担当工事規模や保有資格を等級基準に当てはめて確認する手順を、あらかじめ決めておくとよいでしょう。

    出典・参考情報/留意事項

    留意事項:本記事で紹介した企業事例は、いずれも説明のために作成した架空のモデル事例であり、実在する特定の企業の情報ではありません。数値は理解を助けるための試算であり、実際の制度設計や賃金水準は自社の実情に応じて個別に検討してください。

    まとめ

    有効求人倍率が高止まりし、建設業の新規求人数が増加している今、採用の入り口である求人票の情報量が、応募の集まりやすさを左右します。賃金欄を曖昧なままにせず、等級・評価制度に基づいた賃金レンジとキャリアパスを具体的に示すことが、同業他社との違いを生み出す近道です。総合建設業か専門工事業かなど業態によって採用課題は異なりますが、いずれの場合も「入社後どう評価され、どう昇給していくか」を説明できる仕組みづくりが土台になります。有限会社ヒューマンリソースコンサルタント(HRC)では、建設業に特化した等級・評価・賃金制度の設計を支援しており、求人票づくりの土台となる評価シートのサンプルもご案内しています。自社の求人票を見直したい方はまず評価シートのサンプルをご確認いただき、制度設計から相談したい方は建設業向けの無料相談をご活用ください。施工管理、職人、事務のどの職種を優先して採用したいのかによって、求人票で強調すべきポイントも変わってきますので、職種別の課題を整理したうえで見直しに着手することをおすすめします。

    求人票の見直しは評価シートサンプルから、制度設計まで踏み込みたい場合は無料相談から、お気軽にお進みください。

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