第三次・担い手3法が全面施行。建設業の中小企業は何を準備すべき?

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    第三次・担い手3法が全面施行。建設業の中小企業は何を準備すべき?

    目次

    この記事でわかること

    • 第三次・担い手3法とはどのような改正で、いつ施行されるのか
    • 標準労務費の勧告制度など、主要な改正内容
    • 建設業の中小企業が実務上直面しやすい課題
    • 見積り・契約・就業規則の見直しにおける具体的な対応ステップ

    結論

    建設業法・入契法・品確法を一体改正した第三次・担い手3法は、2024年6月14日に公布され、一部規定を除き公布から2年以内、すなわち2026年6月14日までに全面施行されるとされています。中小の建設業者は、標準労務費を踏まえた見積り・契約の適正化と、施工時期の平準化への対応を中心に、社内の実務を点検する必要があります。

    第三次・担い手3法とはどのような改正か

    担い手3法とは、建設業法、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)、公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)の3つの法律を指す通称です。建設業の深刻な人手不足、労働者の高齢化、長時間労働という課題を踏まえ、平成26年の初回改正、令和元年の「新・担い手3法」に続く3回目の一体改正として、令和6年6月14日に第三次・担い手3法が公布されました。

    改正は「担い手確保・育成」「生産性向上」「持続可能な事業環境整備」の3つを柱としており、一部規定(時間外労働規制に関連する工期基準等)は公布から6か月以内、それ以外の規定は原則として公布から2年以内に施行されるとされています。国土交通省のポータルサイトでは、令和7年12月施行分の存在も確認できることから、段階的に施行が進んでいる状況です。詳細な施行日の一覧は、公開前に国土交通省の最新情報でご確認ください。

    なぜ中小企業(建設業)の実務で重要なのか

    建設業の中小企業では、下請として受注する見積り・契約の労務費部分が、実際の技能者の賃金水準に見合わない水準で決まってしまいやすいという構造的な課題が指摘されてきました。今回の改正では、中央建設業審議会が「標準労務費」を勧告する制度が創設され、著しく低い労務費相当額での見積り・契約締結を行わないよう元請負人に配慮の努力義務が課されるなど、労務費の適正な確保に向けた枠組みが整備されています。あわせて、発注者には施工時期の平準化や適正な工期設定への配慮責務が明確化されており、週休2日の実現や長時間労働是正といった働き方改革とも密接に関わる改正です。

    実務上起こりやすい課題

    • 標準労務費という新しい仕組みの存在は知っていても、自社の見積り作成にどう反映すればよいかわからない
    • 下請契約における労務費の内訳が明確になっておらず、著しく低い見積りに該当するかどうかの判断がつかない
    • 施工時期の平準化・週休2日への対応が、就業規則や賃金制度の見直しとセットで検討されていない
    • 主任技術者の複数現場兼任要件の緩和など、生産性向上に関する改正内容を把握できていない

    課題別の対応策

    見積り・契約の点検

    自社が作成する見積りに、労務費相当額が内訳として明示されているかを確認します。標準労務費が勧告された場合は、その水準を参考に、著しく低い見積りとならないよう社内の積算基準を見直します。

    就業規則・賃金制度との連動

    施工時期の平準化や週休2日への対応は、シフト管理や時間外労働の運用と直結します。標準労務費の水準を踏まえた賃金テーブルの見直しや、就業規則における休日設定の見直しをあわせて検討します。

    技術者配置の見直し

    主任技術者の複数現場兼任要件の緩和など、生産性向上に関する改正内容を確認し、自社の現場体制にどう活用できるかを検討します。

    具体的な対応ステップ

    1. 国土交通省「第三次・担い手3法」ポータルサイトで、自社の業務に関係する改正事項と施行時期を確認する
    2. 標準労務費が勧告された場合、自社の見積り・積算基準と照らして乖離がないか確認する
    3. 下請契約を結ぶ際の労務費内訳の明示方法を整理する
    4. 施工時期の平準化・週休2日への対応を踏まえ、就業規則・シフト運用を点検する
    5. 標準労務費を踏まえた賃金制度・等級制度の見直しの要否を検討する
    6. 必要に応じて業界団体や専門家に最新の施行状況を確認する

    第三次・担い手3法の主な改正内容

    対象法律主な改正内容義務・努力義務の別
    建設業法標準労務費の勧告制度創設、著しく低い労務費相当額での見積り・契約締結の防止元請の配慮は努力義務。著しく低い場合の勧告・公表は行政の対応措置
    入契法労務費・資材費等の適切な反映や適正な工期設定に関する基準の作成・公表、施工体制情報のデジタル化国による基準作成・公表が中心
    品確法発注者の働き方改革(週休2日、適正工期等)・生産性向上への配慮責務の明確化、施工時期の平準化発注者の責務(努力義務的性格)

    注意点・法的リスク

    標準労務費を著しく下回る見積り・契約は、行政による勧告・公表の対象となり得るとされています。一方で、標準労務費そのものへの適合は法的な義務として一律に強制されるものではなく、努力義務や配慮責務として位置づけられている部分が多い点に注意が必要です。「標準労務費に従わなければ違法」といった誤解をしたまま社内周知を行うと、かえって混乱を招くおそれがあります。具体的な勧告内容や施行日の詳細は、公開前に国土交通省の一次情報で必ず確認してください。

    中小企業ならではの対応方法

    積算・見積りの専門部署を持たない中小の建設業者では、標準労務費という新しい概念をどう自社の見積りに反映すればよいか、戸惑うケースが多いと考えられます。まずは自社が過去に受注した工事の労務費水準を洗い出し、標準労務費が公表された際に比較できるよう準備しておくことが現実的な出発点です。あわせて、施工時期の平準化や週休2日への対応は、単独では実現が難しいため、発注者との対話や業界団体の情報を活用しながら段階的に進めることが望まれます。

    まとめ

    第三次・担い手3法は、2024年6月14日の公布から原則2年以内(2026年6月14日まで)に全面施行されるとされ、標準労務費の勧告制度や施工時期の平準化など、建設業の労務環境に直結する改正を含んでいます。中小の建設業者は、見積り・契約の労務費内訳の点検、就業規則・賃金制度との連動、技術者配置の見直しを、施行状況を確認しながら計画的に進めることが重要です。

    HRCへの相談案内

    標準労務費への対応は、見積り・積算実務の見直しにとどまらず、実際に技能者・従業員に支払う賃金水準や等級制度をどう設計するかという、人事制度全体の課題と直結しています。「見積りの労務費内訳をどう説明すればよいか」「標準労務費の水準を自社の賃金テーブルにどう反映すればよいか」といった論点は、積算担当者だけでなく人事労務の視点も含めて検討する必要があり、自社だけで判断するのは容易ではありません。

    まずは自社の賃金制度・等級制度の現状を確認する「制度分析」から始めるのか、標準労務費を踏まえた賃金制度の設計から着手するのかは、企業ごとの状況によって異なります。有限会社ヒューマンリソースコンサルタントでは、建設業向けの人事制度支援を行っています。自社の状況に合わせた対応について相談したい場合は、お問い合わせページよりご連絡ください。

    関連するよくある質問

    標準労務費に従わないと罰則がありますか。

    標準労務費そのものへの適合は法律で一律に義務付けられているものではありませんが、著しく低い労務費相当額での見積り・契約は行政による勧告・公表の対象となり得るとされています。詳細は国土交通省の一次情報でご確認ください。

    すでに施行されている規定はありますか。

    国土交通省のポータルサイトでは令和7年12月施行分の存在が確認できるなど、段階的に施行が進んでいます。全体のスケジュールは公開前に最新情報でご確認ください。

    元請だけでなく下請の中小企業にも関係がありますか。

    標準労務費や見積りの適正化は、元請・下請間の契約全体に関わる仕組みであり、下請の中小建設業者にとっても、自社が受け取る労務費相当額が適正かどうかを確認する上で関係します。

    週休2日への対応は義務ですか。

    品確法における発注者の配慮責務は努力義務的な性格を持つとされていますが、2024年4月から適用されている時間外労働の上限規制は法的な義務であり、別の枠組みとして遵守が必要です。

    関連記事・関連サービス

    公的情報源・参考資料

    本記事の内容は2026年9月5日時点で確認できた情報に基づいています。標準労務費の具体的な水準や個別規定の詳細な施行日は、公開前に必ず国土交通省の最新情報でご確認ください。

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