標準労務費とは?第三次・担い手3法における位置づけを解説

人事制度や労務管理に関する最新トレンドを分かりやすく解説しています。

建設業向け

評価シートサンプルが無料でダウンロードができます。

sample





    標準労務費とは?第三次・担い手3法における位置づけを解説

    標準労務費とは、建設業法の改正により中央建設業審議会が作成・勧告する、建設技能者の労務費に関する基準です。著しく低い労務費相当額での見積り・契約を防ぎ、技能者の適正な賃金水準を確保することを目的としています。

    目次

    用語が注目される背景

    建設業では、下請として受注する工事の見積り・契約における労務費が、実際の技能者の賃金水準に見合わない水準で決まってしまいやすいという構造的な課題が指摘されてきました。こうした課題を踏まえ、令和6年6月14日に公布された第三次・担い手3法(建設業法・入契法・品確法の一体改正)により、労務費の適正な確保に向けた新しい枠組みとして、標準労務費の勧告制度が創設されました。人手不足が続く建設業において、技能者の処遇改善と持続可能な事業環境の整備を図る観点から注目されています。

    制度・仕組み・構成要素

    標準労務費に関する主な仕組みは次のとおりです。

    • 中央建設業審議会が、工種等に応じた労務費の基準を作成し、勧告する
    • 元請負人には、著しく低い労務費相当額での見積り・契約締結を行わないよう配慮する努力義務が課される
    • 著しく低い労務費相当額での見積り・契約が繰り返されるなど悪質な場合は、行政による勧告・公表の対象となり得る
    • 入契法においても、国が労務費・資材費等の適切な反映や適正な工期設定に関する基準を作成・公表する

    具体的な勧告内容・水準は工種等によって異なるため、最新の情報は国土交通省の公式発表でご確認ください。

    類似用語との違い

    「標準労務費」と「建設キャリアアップシステム(CCUS)」は、いずれも建設業の処遇改善に関わる仕組みですが、対象が異なります。

    用語対象目的
    標準労務費見積り・契約における労務費の水準下請契約における労務費の適正な確保
    CCUS(建設キャリアアップシステム)個々の技能者の就業履歴・技能レベル技能者個人の経験・技能の見える化

    CCUSについては、前回作成分の記事(両記事の公開後にリンクを設定予定)もあわせてご確認ください。

    人事労務上のメリット

    • 労務費の基準ができることで、自社の見積り・積算が適正な水準にあるかを客観的に確認しやすくなる
    • 技能者に支払う賃金水準を標準労務費と照らして検討する材料になる
    • 元請・下請間での労務費に関する交渉材料として活用できる可能性がある

    実務上の課題・注意点

    標準労務費が勧告された場合でも、これに従うことが法律で一律に義務付けられているわけではなく、著しく低い場合の防止という位置づけである点に注意が必要です。自社の見積りが標準労務費とどの程度乖離しているかを把握しないまま放置すると、著しく低い見積りに該当するリスクに気づきにくくなります。また、標準労務費の水準を賃金制度にどう反映するかは、企業ごとに検討が必要な事項です。

    中小企業における活用方法

    積算・見積りの専門部署を持たない中小の建設業者では、標準労務費が公表された際に自社の見積りと比較できるよう、あらかじめ過去の受注工事における労務費水準を整理しておくことが実務上の準備になります。あわせて、標準労務費の水準を踏まえた賃金テーブルの見直しを検討することで、技能者の定着にもつなげやすくなります。

    導入・対応手順

    1. 国土交通省の公表情報で、自社が関係する工種の標準労務費の内容を確認する
    2. 自社の過去の見積り・契約における労務費水準と比較する
    3. 著しく低い水準になっていないか、下請契約を含めて点検する
    4. 必要に応じて賃金制度・等級制度の見直しを検討する

    確認チェックリスト

    確認項目内容
    標準労務費の把握自社が関係する工種の基準を確認したか
    見積りとの比較自社の見積り・契約と乖離がないか確認したか
    賃金制度との連動標準労務費を賃金テーブルの見直しに活用できるか検討したか

    よくある質問

    標準労務費を下回る契約は違法になりますか。

    標準労務費への適合が一律の法的義務とされているわけではありませんが、著しく低い労務費相当額での見積り・契約は、行政による勧告・公表の対象となり得るとされています。

    標準労務費は誰が決めますか。

    中央建設業審議会が工種等に応じた基準を作成し、勧告する仕組みとされています。

    下請の中小建設業者にも関係がありますか。

    元請・下請間の契約全体に関わる仕組みであり、下請の中小建設業者にとっても、自社が受け取る労務費相当額が適正かどうかを確認する上で関係します。

    まとめ

    標準労務費とは、中央建設業審議会が勧告する建設技能者の労務費の基準であり、第三次・担い手3法により創設された仕組みです。著しく低い労務費相当額での見積り・契約を防ぎ、技能者の適正な処遇確保を目指すものであり、中小建設業者は自社の見積り・契約の水準を点検することが重要です。

    関連記事・関連サービス

    公的情報源・参考資料

    本記事の情報確認日:2026年9月5日。標準労務費の具体的な水準は、公開前に国土交通省の最新情報でご確認ください。

    なぜ中小企業にHRCが選ばれるのか?

    完全請負制で追加費用なし・月額分割も可能

    自社専用オリジナル人事制度構築:総額 900,000円(税込990,000円)〜

    コンサルティング期間(標準6ヶ月)での月額分割払い(月額15万円〜)に対応。
    契約後の追加費用は一切発生いたしません。

    定着するまで絶対に投げ出さない「2年間の無償サポート」

    制度は「作って終わり」ではなく「運用してから」が本番です。HRCでは導入後2年間、以下の運用サポートを無償でご提供します。

    • 評定会議への同席・アドバイス: 評価のブレをプロの目線で補正します。
    • 昇給・賞与検討用資料の作成支援: 経営を圧迫しない適正な配分をアドバイスします。
    • 制度メンテナンス・微修正: 運用で見えた課題を随時調整します。

    ※上記を超える実務作業(評価シートの全面改訂、新たな研修の企画・代行登壇など)が発生する場合は、必ず事前にお見積りをご提示し、ご納得いただいた上での対応となります。

    はじめての人事制度・制度設計サポート

    制度設計サポート(はじめての人事制度)

    社員数50名以下の中小企業様へ。本サービスでは、評価制度と賃金制度をトータルで設計し、一貫性のある「はじめての人事制度づくり」を支援します。何をどうすれば評価され、処遇に反映されるのかが一目瞭然となる、シンプルで分かりやすい仕組みを構築。採用に強い賃金表や、社員の強みを活かすキャリアコースの設計を通じ、人材の定着と育成を後押しします。

    サービス詳細を見る
    制度運用サポート(はじめての人事制度)

    制度運用サポート(はじめての人事制度)

    「制度を作ったものの、正しく運用できるか不安…」そんなお悩みを解決します。本サービスでは、評価のバラつきを防ぎ、部下の育成につなげる「評価者研修」と、評価集計から昇給・賞与の資料作成までを丸ごと任せられる「運用アウトソーシング」の2本柱で手厚くサポート。人事担当者の負担を大幅に削減しながら、納得感の高い制度の定着を実現します。

    サービス詳細を見る
    賃金制度・給与体系構築

    賃金制度・給与体系構築

    採用難や離職の裏には、魅力に欠ける給与体系があるかもしれません。本サービスでは、世間相場や貴社の収益構造を踏まえた、公正で競争力のある賃金制度を構築します。基本給テーブルの設計から、諸手当、賞与ルールの明確化までをトータルサポート。社員が将来に希望を持てるキャリアパスと連動した給与体系が、組織の定着率と生産性を劇的に高めます。

    サービス詳細を見る
    建設業向け人事戦略連載コラム

    連載:建設業界を支える人事戦略

    2024年問題や若手不足など、建設業界が直面する課題を人事制度で解決するための実践的なノウハウを公開中。現場監督の負担軽減、技術継承を支える評価基準、定着率を高める賃金体系など、数多くの建設会社を支援してきた専門コンサルタントが徹底解説します。これからの時代を勝ち抜く「組織の作り方」を網羅した、経営者・人事担当者必読の連載コラムです。

    連載コラム一覧を見る

    建設業向け

    簡易版賃金分析Excelの無料ダウンロードができます。





      目次