人材確保等支援助成金の令和8年度改正、中小企業はどう活用すべき?
この記事でわかること
- 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)とはどのような助成金か
- 令和8年度改正で支給額・要件がどう変わったとされているか
- 中小企業が活用を検討する際の実務ポイント
- 申請から支給までの大まかな流れ
結論
人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)は、雇用管理制度の整備や業務負担軽減機器の導入等により離職率の低下を実現した事業主を支援する雇用関係助成金です。令和8年度の改正では、賃金要件が3%以上・5%以上・7%以上の3段階に細分化され、賃上げをあわせて行うことで支給額が拡充される仕組みになったとされています。中小企業は、離職率低下という支給要件を踏まえたうえで、自社の雇用管理制度の整備計画に活用できるかを検討する必要があります。
人材確保等支援助成金とはどのような制度か
人材確保等支援助成金は、雇用管理制度の導入や業務負担軽減機器の導入等を通じて、従業員の離職率低下や職場定着を図る事業主を支援する雇用関係助成金です。複数のコースが設けられており、そのうち雇用管理制度・雇用環境整備助成コースでは、評価・処遇制度や研修制度といった雇用管理制度の導入、あるいは介護・保育等の現場における業務負担軽減機器等の導入に対して助成が行われるとされています。
令和8年度の改正では、賃金要件が3%以上・5%以上・7%以上の3段階に細分化され、特に7%以上の賃上げを業務負担軽減機器の導入とあわせて行った場合には、助成率や支給上限額がさらに拡充されるとされています。支給額の具体的な内訳(雇用管理制度導入で最大100万円程度、業務負担軽減機器等で最大150万円〜225万円程度等)は本記事作成時点で厚生労働省の一次情報本文を直接確認できていないため、公開前にご確認ください。
なぜ中小企業の実務で重要なのか
人手不足が続く中、離職率の低下・人材の定着は多くの中小企業にとって喫緊の課題です。評価制度・賃金制度の見直しや研修制度の整備には一定のコストがかかりますが、人材確保等支援助成金を活用できれば、その負担の一部を軽減しながら制度整備を進めることができます。特に、支給要件として一定の離職率低下目標の達成が求められる点は、単に制度を導入するだけでなく、実際に定着率向上という成果を出すことを後押しする仕組みになっているといえます。
実務上起こりやすい課題
- 助成金の存在は知っていても、どのコース・要件が自社に該当するか整理できていない
- 雇用管理制度の導入だけを目的にしてしまい、実際の離職率低下という成果につながらない
- 計画書の提出から支給までの期間が長期にわたることを把握しておらず、スケジュールに無理が生じる
- 賃金要件(3%・5%・7%)のどの水準を目指すかによって支給額が変わることを踏まえた検討ができていない
課題別の対応策
自社の課題と該当コースの整理
離職率の高さが課題なのか、評価・処遇制度の未整備が課題なのかを整理し、雇用管理制度助成コースと雇用環境整備助成コースのどちらが自社の状況に合うかを検討します。
離職率低下目標の実現可能性の検討
支給要件として求められる離職率低下目標を、自社の現状の離職率や従業員規模を踏まえて達成できる見込みがあるかを確認します。目標達成が難しい場合、助成金の活用よりも先に、離職の原因分析から着手する必要があるかもしれません。
制度導入と賃上げの組み合わせの検討
賃金要件の水準(3%・5%・7%)によって支給額が変わるとされているため、自社の賃上げ計画とあわせてどの水準を目指すかを検討します。
具体的な対応ステップ
- 自社の離職率の現状と、離職の主な原因を確認する
- 厚生労働省・労働局の最新情報で、コースごとの支給要件・支給額を確認する
- 導入を検討する雇用管理制度(評価制度・賃金制度・研修制度等)の内容を具体化する
- 計画書を作成し、計画開始の6か月前から1か月前までの間に労働局へ提出する
- 認定後、定められた期間内に制度を導入する
- 評価期間終了後、離職率の低下実績を確認し、支給申請を行う
申請から支給までの流れ(イメージ)
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 計画書提出 | 計画開始日の6か月前から1か月前までに都道府県労働局へ提出 |
| 制度導入 | 認定後、一定期間内(3か月以上1年以内等とされる)に雇用管理制度等を導入 |
| 評価期間 | 制度導入後、一定期間(12か月間等とされる)の離職率を測定 |
| 支給申請 | 評価期間終了後、一定期間内(2か月以内等とされる)に支給申請 |
認定から支給までに長期間を要するとされているため、早期の準備が重要です。具体的な期間は最新の要領でご確認ください。
注意点・法的リスク
人材確保等支援助成金は雇用保険適用事業主であることなど、一定の要件を満たす事業主が任意に申請する助成金であり、法的な義務ではありません。離職率低下目標を達成できなかった場合は支給を受けられない可能性があるため、制度導入を先行させても目標未達となるリスクがある点に注意が必要です。本記事で紹介した支給額・要件の具体的な数値は二次情報に基づくものであり、公開前に必ず厚生労働省・労働局の一次情報でご確認ください。
中小企業ならではの対応方法
専任の人事労務担当者を置いていない中小企業では、助成金の要件確認と実際の制度設計を並行して進めることが難しい場合があります。まずは自社が本当に必要としている雇用管理制度(評価制度の整備なのか、研修制度の整備なのか)を明確にしたうえで、その制度整備に活用できる助成金がないかを確認する順序で進めると、助成金要件に振り回されずに実効性のある制度導入を進めやすくなります。
まとめ
人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)は、令和8年度改正で賃金要件が3段階に細分化され、支給額が拡充されたとされています。中小企業は、自社の離職率の課題を整理したうえで、離職率低下目標の実現可能性を踏まえながら活用を検討することが重要です。
HRCへの相談案内
人材確保等支援助成金の活用を検討する際は、助成金の要件を満たすための制度導入にとどまらず、「自社の離職の根本原因は何か」「どのような評価制度・賃金制度であれば従業員の定着につながるか」という、人事制度全体の設計を踏まえた検討が重要です。助成金の申請要件と自社の等級制度・評価制度との整合性は、自社だけで判断するのが難しい場合があります。
まずは自社の離職率・雇用管理制度の現状を確認する「制度分析」から始めるのか、評価制度・賃金制度そのものを設計し直す「制度設計」から着手するのかは、企業ごとの状況によって異なります。有限会社ヒューマンリソースコンサルタントでは、中小企業の人事制度の設計・運用を支援しています。自社の状況に合わせた進め方について相談したい場合は、お問い合わせページよりご連絡ください。
関連するよくある質問
すべての中小企業が対象になりますか。
雇用保険適用事業であること、計画認定を受けること等の要件を満たす必要があります。詳細は厚生労働省・労働局の最新の案内でご確認ください。
離職率低下目標を達成できなかった場合はどうなりますか。
目標を達成できない場合、支給を受けられない可能性があるとされています。制度導入前に目標の実現可能性を十分に検討することが望まれます。
申請から支給までどれくらいの期間がかかりますか。
計画書提出から支給申請まで複数の段階を経るため、一定の期間を要するとされています。具体的な期間は最新の案内でご確認ください。
関連記事・関連サービス
公的情報源・参考資料
本記事の内容は2026年9月12日時点で確認できた二次情報(補助金専門メディアの解説記事)に基づいています。支給額・支給要件の詳細は、公開前に必ず厚生労働省の一次情報でご確認ください。
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