令和8年度診療報酬改定のベースアップ評価料、医療機関はどう賃上げに反映すべき?

人事労務に関するFAQ

医療機関向け

評価シートサンプルが無料でダウンロードができます。

sample





    医療機関向け人事戦略連載コラム

    連載:医療機関の人事制度・評価制度改善

    医師の働き方改革への対応や、看護師・コメディカルの採用難にお悩みの医療経営者様へ。本特集では、多職種連携を促し、職員の定着率を高めるための人事戦略を解説します。専門職としてのスキルと組織貢献をどうバランスよく評価するか。職員が納得し、組織全体が活性化する等級・賃金制度の設計手法について、豊富な支援実績を持つ専門コンサルタントが連載形式でお届けします。

    連載コラム一覧を見る

    令和8年度診療報酬改定のベースアップ評価料、医療機関はどう賃上げに反映すべき?

    目次

    この記事でわかること

    • ベースアップ評価料とはどのような仕組みか
    • 令和8年度診療報酬改定で対象職員の範囲がどう変わったか
    • 未対応の場合に生じ得る減算規定の考え方
    • 中小の医療機関が今から準備すべき実務ステップ

    結論

    令和8年度診療報酬改定では、医療従事者の賃上げを目的とした「ベースアップ評価料」が改定の柱の一つとされ、対象職員が医療職に限らず事務職員を含む「勤務する全職員」に拡大されています。未対応の医療機関には入院基本料等の減算が適用される仕組みが新設されているとされ、中小の医療機関も賃金改善計画の策定と対象職員の範囲確認を早めに進める必要があります。

    ベースアップ評価料とはどのような制度か

    ベースアップ評価料とは、医療機関が職員の基本給等を計画的に引き上げる取り組みを行った場合に、診療報酬に上乗せして評価される仕組みです。令和6年度診療報酬改定で導入され、令和8年度改定では賃上げ対応の比重がさらに高まったとされ、改定率のうち相当部分が賃上げ対応に充てられているとする専門メディアの報道が複数確認できます。

    令和8年度・令和9年度のそれぞれで一定率(専門メディアでは3.2%程度と報じられています)の給与総額の増加を実現する設計とされ、看護補助者や事務職員についてはさらに高い賃上げ目標(同5.7%程度)が設定されているとされています。これらの具体的な率は本記事作成時点で厚生労働省の告示本文を直接確認できていないため、確定的な数値としては扱わず、公開前に一次情報でのご確認をお願いします。

    なぜ中小の医療機関の実務で重要なのか

    これまでベースアップ評価料の対象は医療職が中心と理解されているケースが多く見られましたが、令和8年度改定では対象職員が「勤務する全職員」に拡大されたとされており、これまで対象外と考えていた事務職員も賃金改善計画に含める必要が生じます。また、賃上げを実施しない、または実施が不十分な医療機関には、入院基本料等での減算が適用される仕組みが新設されたとされており、単なる任意の取り組みにとどまらず、経営上の実質的な対応圧力が生じている点が実務上の重要なポイントです。

    実務上起こりやすい課題

    • ベースアップ評価料の対象職員の範囲が事務職員まで拡大されたことを把握できていない
    • 賃金改善計画の作成・届出・実績報告といった事務手続きの負担が大きい
    • 加算による収入増を、どの職種・どの手当にどう配分するかのルールが整理されていない
    • 継続的に賃上げを実施してきた医療機関とそうでない医療機関で報酬体系が異なるとされ、自院がどちらに該当するか判断がつかない
    • 未対応の場合の減算リスクを経営層が正確に把握できていない

    課題別の対応策

    対象職員の範囲の再確認

    従来「医療職のみ」と認識していた場合は、事務職員を含む勤務する全職員を対象に含めた賃金改善計画へ更新する必要があります。職種別に現在の給与水準と改善目標を一覧化し、誰がどの程度の賃上げの対象となるかを整理します。

    賃金改善計画の作成・規程反映

    加算による収入増をどの手当・どの等級に配分するかの方針を整理し、賃金規程・就業規則に反映します。配分ルールが不明確なまま実施すると、職員から不公平感の指摘を受けやすくなります。

    減算リスクの経営層への説明

    未対応・対応不十分の場合に生じ得る減算の考え方を整理し、経営層に対して賃上げ対応の必要性を数値感を持って説明できるようにします。

    具体的な対応ステップ

    1. 自院が現在ベースアップ評価料等の加算をどこまで算定しているかを確認する
    2. 厚生労働省の最新の告示・通知で、対象職員の範囲と賃上げ目標の具体的な数値を確認する
    3. 職種ごとの現在の給与水準を棚卸しし、目標水準との差分を把握する
    4. 加算による収入増の配分方針(基本給・手当等)を整理し、賃金改善計画を作成する
    5. 賃金規程・就業規則へ反映し、対象職員へ周知する
    6. 必要な届出・実績報告のスケジュールを確認し、期限内に対応する

    チェックリスト:ベースアップ評価料対応

    確認項目内容
    対象職員の範囲確認事務職員を含む全職員を賃金改善計画の対象に含めているか
    賃上げ目標水準の確認厚生労働省の最新告示で職種別の目標水準を確認したか
    賃金改善計画の作成配分方針を明文化した計画を作成しているか
    賃金規程への反映計画の内容が賃金規程・給与明細と一致しているか
    減算リスクの把握未対応の場合の減算内容を経営層と共有しているか
    届出・実績報告必要な手続きの期限を確認し、準備を進めているか

    注意点・法的リスク

    ベースアップ評価料の算定自体は医療機関の選択(任意の届出制)ですが、算定しない、または算定要件を満たさない場合には、入院基本料等での減算という形で実質的な影響が生じる仕組みが導入されているとされています。「賃上げをしなくても罰則はない」という理解のまま放置すると、報酬面で不利になる可能性があるため、任意の制度であっても経営判断として早期の対応検討が重要です。具体的な減算点数、算定要件、対象職員の詳細な定義は、本記事作成時点で厚生労働省の告示本文を直接確認できていないため、公開前に必ず一次情報でご確認ください。

    中小の医療機関ならではの対応方法

    専任の人事労務担当者を置いていない中小規模の病院・診療所では、事務長や経理担当者が診療報酬改定への対応と賃金計算を兼務しているケースが多く見られます。まずは対象職員の範囲拡大という変更点だけでも早期に把握し、既存の給与体系のどこに手当を上乗せするかという配分の骨子を決めておくことで、詳細な制度設計や届出書類の作成をスムーズに進めやすくなります。

    まとめ

    令和8年度診療報酬改定では、ベースアップ評価料を中心とした賃上げ対応が改定の柱とされ、対象職員が事務職員を含む全職員に拡大されています。中小の医療機関は、対象職員の範囲確認、賃金改善計画の作成、賃金規程への反映という一連の対応を、未対応時の減算リスクも踏まえて早めに進めることが重要です。

    HRCへの相談案内

    ベースアップ評価料への対応では、加算の届出手続き以上に、「加算による収入増をどの職種・どの手当にどう配分すれば、職員の納得感につながるか」という、自院の賃金制度全体に関わる検討が難しいという声をよく耳にします。特に、医療職と事務職員という異なる職種を含めた配分ルールの設計は、既存の等級制度・賃金テーブルとの整合性が求められるため、自院だけで判断するのが難しい場合があります。

    まずは自院の現行の賃金制度が診療報酬改定の趣旨に沿った設計になっているかを確認する「制度分析」から始めるのか、配分ルールや賃金規程そのものを整備する「制度設計」から着手するのかは、医療機関ごとの状況によって異なります。有限会社ヒューマンリソースコンサルタントでは、医療機関向けの人事制度支援を行っています。自院の状況に合わせた対応について相談したい場合は、お問い合わせページよりご連絡ください。

    関連するよくある質問

    ベースアップ評価料の算定は義務ですか。

    算定自体は医療機関による届出に基づく任意の仕組みとされていますが、算定しない場合には別途、入院基本料等での減算が適用される仕組みが設けられているとされています。詳細は厚生労働省の告示でご確認ください。

    事務職員も対象に含める必要がありますか。

    令和8年度改定では、対象職員が医療職に限らず勤務する全職員に拡大されたとされています。自院の対象範囲は最新の告示・通知で個別にご確認ください。

    すでに賃上げを実施している医療機関にもメリットはありますか。

    令和6・7年度から継続して賃上げを実施してきた医療機関とそれ以外とで異なる報酬体系が適用されるとされています。自院がどちらに該当するかは、最新の告示でご確認ください。

    施行時期はいつですか。

    専門メディアの報道では令和8年6月からの施行、令和9年6月に点数が引き上げられる段階的な設計とされています。正式な告示日・施行日は公開前に厚生労働省の一次情報でご確認ください。

    関連記事・関連サービス

    公的情報源・参考資料

    本記事の内容は2026年9月5日時点で確認できた二次情報(専門メディアの解説記事)に基づいています。改定率・賃上げ目標の具体的な数値、施行時期の詳細は、公開前に必ず厚生労働省の一次情報でご確認ください。

    医療機関向け人事戦略連載コラム

    連載:医療機関の人事制度・評価制度改善

    医師の働き方改革への対応や、看護師・コメディカルの採用難にお悩みの医療経営者様へ。本特集では、多職種連携を促し、職員の定着率を高めるための人事戦略を解説します。専門職としてのスキルと組織貢献をどうバランスよく評価するか。職員が納得し、組織全体が活性化する等級・賃金制度の設計手法について、豊富な支援実績を持つ専門コンサルタントが連載形式でお届けします。

    連載コラム一覧を見る

    なぜ中小企業にHRCが選ばれるのか?

    完全請負制で追加費用なし・月額分割も可能

    自社専用オリジナル人事制度構築:総額 900,000円(税込990,000円)〜

    コンサルティング期間(標準6ヶ月)での月額分割払い(月額15万円〜)に対応。
    契約後の追加費用は一切発生いたしません。

    定着するまで絶対に投げ出さない「2年間の無償サポート」

    制度は「作って終わり」ではなく「運用してから」が本番です。HRCでは導入後2年間、以下の運用サポートを無償でご提供します。

    • 評定会議への同席・アドバイス: 評価のブレをプロの目線で補正します。
    • 昇給・賞与検討用資料の作成支援: 経営を圧迫しない適正な配分をアドバイスします。
    • 制度メンテナンス・微修正: 運用で見えた課題を随時調整します。

    ※上記を超える実務作業(評価シートの全面改訂、新たな研修の企画・代行登壇など)が発生する場合は、必ず事前にお見積りをご提示し、ご納得いただいた上での対応となります。

    はじめての人事制度・制度設計サポート

    制度設計サポート(はじめての人事制度)

    社員数50名以下の中小企業様へ。本サービスでは、評価制度と賃金制度をトータルで設計し、一貫性のある「はじめての人事制度づくり」を支援します。何をどうすれば評価され、処遇に反映されるのかが一目瞭然となる、シンプルで分かりやすい仕組みを構築。採用に強い賃金表や、社員の強みを活かすキャリアコースの設計を通じ、人材の定着と育成を後押しします。

    サービス詳細を見る
    制度運用サポート(はじめての人事制度)

    制度運用サポート(はじめての人事制度)

    「制度を作ったものの、正しく運用できるか不安…」そんなお悩みを解決します。本サービスでは、評価のバラつきを防ぎ、部下の育成につなげる「評価者研修」と、評価集計から昇給・賞与の資料作成までを丸ごと任せられる「運用アウトソーシング」の2本柱で手厚くサポート。人事担当者の負担を大幅に削減しながら、納得感の高い制度の定着を実現します。

    サービス詳細を見る

    医療機関向け

    評価シートサンプルが無料でダウンロードができます。

    sample





      医療福祉業向け

      簡易版賃金分析Excelの無料ダウンロードができます。





        医療福祉業向け

        簡易版賃金分析Excelの無料ダウンロードができます。





          目次