賃金制度・給与体系構築
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サービス詳細を見る派遣社員を受け入れる企業は、労使協定方式の一般賃金水準改定にどう対応すべき?
この記事でわかること
- 派遣労働者の同一労働同一賃金における「労使協定方式」とはどのような仕組みか
- 一般賃金水準が毎年度改定される仕組みと、派遣先企業への影響
- 令和8年10月1日施行のガイドライン改正で何が変わるか
- 派遣先企業として確認すべき実務ポイント
結論
派遣労働者の同一労働同一賃金には、派遣元が労使協定を締結して待遇を決定する「労使協定方式」と、派遣先の通常労働者との均等・均衡を図る「派遣先均等・均衡方式」の2つの方式があります。労使協定方式では、厚生労働省が毎年度公表する「一般賃金水準」以上の待遇を確保する必要があり、令和8年度適用分は2025年8月に公表されています。加えて令和8年10月1日には、公布日令和8年4月28日の改正省令・告示に基づき、同一労働同一賃金ガイドラインがさらに改正される予定であり、派遣社員を受け入れる企業(派遣先)も、派遣元との連携や情報提供の面で実務対応が必要になります。
労使協定方式とはどのような仕組みか
労働者派遣法に基づき、派遣労働者の待遇は、派遣元が労働者派遣法第30条の4に基づき労使協定を締結して決定する「労使協定方式」、または派遣先の通常労働者との間で労働者派遣法第30条の3に基づき不合理な待遇差をなくす「派遣先均等・均衡方式」のいずれかで決定されます。実務上は、派遣先ごとに待遇水準が変動しやすい均等・均衡方式よりも、派遣元が一定の基準に基づいて待遇を決定できる労使協定方式を採用する派遣元事業者が多いとされています。
労使協定方式では、派遣労働者と同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金と同等以上の待遇を確保することが求められ、その基準となる「一般賃金水準」は、賃金構造基本統計調査や職業安定業務統計等をもとに、厚生労働省の職業安定局長通知として毎年度公表されます。令和8年度(令和8年4月から令和9年3月まで)適用分の一般賃金水準は2025年8月22日に公表されたことが確認できています。
なぜ中小企業の実務で重要なのか
派遣社員を受け入れる企業(派遣先)自身が労使協定を締結するわけではありませんが、労使協定方式が正しく運用されているかどうかは、派遣先が支払う派遣料金や、派遣契約の内容に影響します。一般賃金水準は毎年度改定されるため、派遣元が前年度の協定をそのまま使い続けていると、法令上の要件を満たさなくなるおそれがあります。また、令和8年10月1日施行のガイドライン改正では、待遇の相違に関する説明義務がパート・有期雇用労働者と派遣労働者の双方について強化される方向とされており、派遣先としても、派遣元からの照会に対応できる体制を整えておく必要があります。
実務上起こりやすい課題
- 派遣元が労使協定方式を採用しているか、派遣先均等・均衡方式を採用しているかを派遣先企業が把握していない
- 一般賃金水準が毎年度改定されることを知らず、派遣料金の見直し交渉のタイミングを逃してしまう
- 派遣先均等・均衡方式が適用される場合、派遣先の通常労働者の待遇情報の提供が必要になることを把握していない
- 令和8年10月のガイドライン改正で説明義務がどう強化されるか、具体的な実務イメージが持てていない
課題別の対応策
派遣元との方式の確認
取引のある派遣元が労使協定方式・派遣先均等均衡方式のいずれを採用しているかを確認します。労使協定方式の場合は、協定書の写しの提供を受けられるかどうかも確認しておくと安心です。
派遣料金の見直しタイミングの把握
一般賃金水準の改定にあわせて、派遣元から派遣料金の見直しの相談を受ける可能性があることを踏まえ、自社の予算計画にあらかじめ織り込んでおきます。
待遇情報の提供体制の整備
派遣先均等・均衡方式が適用される派遣契約がある場合、派遣先の通常労働者の待遇情報を派遣元へ提供する体制が整っているかを確認します。
具体的な対応ステップ
- 自社が受け入れている派遣社員について、派遣元がどちらの方式を採用しているかを確認する
- 労使協定方式の場合、直近の一般賃金水準の改定内容と、派遣元の協定への反映状況を確認する
- 令和8年10月1日施行のガイドライン改正の内容を、厚生労働省の最新情報で確認する
- 派遣元から待遇情報の提供や説明を求められた際の社内対応窓口を明確にする
- 派遣料金の見直しが必要になった場合の予算対応を検討する
2つの方式の比較
| 方式 | 待遇決定の考え方 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 労使協定方式 | 派遣元が労使協定に基づき、同種業務の一般労働者の平均的な賃金と同等以上の待遇を確保 | 労働者派遣法第30条の4 |
| 派遣先均等・均衡方式 | 派遣先の通常労働者との間で、基本給・賞与・手当等について不合理な待遇差をなくす | 労働者派遣法第30条の3 |
注意点・法的リスク
労使協定方式・派遣先均等均衡方式のいずれについても、待遇決定の一次的な責任は派遣元にありますが、派遣先均等・均衡方式が適用される場合、派遣先が待遇情報を適切に提供しなければ、派遣元が法令上の義務を果たせなくなる可能性があります。派遣先として「自社には関係のない話」と捉えず、派遣元との情報連携を適切に行うことが求められます。一般賃金水準の具体的な金額や、ガイドライン改正の詳細な内容は、本記事作成時点で厚生労働省の告示・省令本文を直接確認できていないため、公開前に必ず一次情報でご確認ください。
中小企業ならではの対応方法
専任の人事労務担当者を置いていない中小企業では、派遣社員の受け入れを部署ごとに個別に行っており、労使協定方式か均等均衡方式かといった制度面まで把握できていないケースが少なくありません。まずは自社が取引しているすべての派遣元について、採用している方式を一覧化しておくことで、一般賃金水準の改定やガイドライン改正があった際に、影響の有無を素早く確認できる体制を整えることができます。
まとめ
派遣労働者の同一労働同一賃金には労使協定方式と派遣先均等・均衡方式があり、労使協定方式では一般賃金水準が毎年度改定されます。あわせて令和8年10月1日にはガイドラインの改正も予定されており、派遣社員を受け入れる中小企業は、派遣元との情報連携体制を整え、派遣料金や説明対応への影響を早めに把握しておくことが重要です。
HRCへの相談案内
派遣社員の受け入れにあたっては、法令対応の確認だけでなく、「自社の正社員の賃金制度・評価制度と、派遣社員の位置づけをどう整理するか」という制度設計上の課題も生じます。派遣先均等・均衡方式が適用される場合には、自社の通常労働者の待遇情報を整理して提供できる状態にしておく必要があり、これは自社の賃金制度・等級制度が明確に整理されていることが前提になります。
まずは自社の賃金制度・等級制度の現状を確認する「制度分析」から始めるのか、派遣社員も含めた人事制度全体を設計し直す「制度設計」から着手するのかは、企業ごとの状況によって異なります。有限会社ヒューマンリソースコンサルタントでは、中小企業の賃金制度・等級制度の設計・運用を支援しています。自社の状況に合わせた進め方について相談したい場合は、お問い合わせページよりご連絡ください。
関連するよくある質問
派遣先企業が労使協定を締結する必要がありますか。
労使協定を締結するのは派遣元事業主であり、派遣先企業が締結するものではありません。ただし、派遣先均等・均衡方式が適用される場合は、待遇情報の提供等で派遣先の協力が必要になります。
一般賃金水準はどこで確認できますか。
厚生労働省が職業安定局長通知として毎年度公表しています。最新の内容は厚生労働省の公式ページでご確認ください。
派遣料金は必ず値上げされますか。
一般賃金水準の改定に伴い、派遣元から派遣料金の見直しを相談されることがありますが、必ず値上げになると一律に決まっているわけではありません。個別の契約内容によります。
令和8年10月のガイドライン改正はパート社員だけが対象ですか。
本記事作成時点で確認できた情報では、パート・有期雇用労働者と派遣労働者の両方が対象とされています。詳細は厚生労働省の一次情報でご確認ください。
関連記事・関連サービス
公的情報源・参考資料
本記事の内容は2026年9月12日時点で確認できた情報に基づいています。一般賃金水準の具体的な金額、令和8年10月施行のガイドライン改正の詳細は、公開前に必ず厚生労働省の一次情報でご確認ください。
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