月経・更年期など女性特有の健康課題に職場はどう配慮する?指針改正を踏まえた中小企業の進め方

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月経・更年期など女性特有の健康課題に職場はどう配慮する?指針改正を踏まえた中小企業の進め方

目次

この記事でわかること

  • 改正された健康保持増進の指針が、女性特有の健康課題としてどのような症状を挙げているか
  • 労働基準法に定められた生理日の就業が著しく困難な女性への措置との違い
  • 相談しやすい窓口、勤務の配慮、管理職の対応の整え方
  • 不公平感や個人情報の問題を避けるための注意点

結論

2026年10月19日に改正された健康保持増進の指針は、月経不順、月経困難症、過多月経、月経前症候群、更年期障害などを「女性特有の健康課題」として明記しました。これは事業主の努力義務の枠組みです。一方、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときの扱いは、労働基準法に別の定めがあります。両者を区別し、相談窓口と配慮の手順を整えましょう。

指針が示した女性特有の健康課題とは

厚生労働省の新旧対照表によると、改正後の指針は、健康保持増進対策の基本的な考え方の中で、女性特有の健康課題として「月経不順、月経困難症、過多月経、月経前症候群、更年期障害等」を例示しています。あわせて、二次予防の取組として、女性特有の健康課題、歯科疾患、骨粗しょう症、眼科疾患などに係る検査と、その結果にもとづく専門医への受診勧奨が示されています。

この指針は、労働安全衛生法第69条第1項の健康保持増進措置に関するもので、事業者が努力して取り組む事項の考え方を示すものです。症状への対応を従業員に義務づけたり、会社に特定の休暇の付与を一律に求めたりするものではありません。

なぜ中小企業の実務で重要なのか

月経に伴う症状や更年期の症状は、体調に波があり、本人が周囲に伝えにくいことが少なくありません。症状の影響で、欠勤、遅刻、早退、業務のミスが生じても、理由が共有されないまま、評価や人間関係の問題として扱われてしまう場合があります。

従業員数の少ない会社では、一人の欠員が与える影響が大きいため、本人が言い出せない状況が続くと、結果的に離職につながるおそれがあります。会社として相談しやすい仕組みを用意しておくことは、定着の面でも意味があります。

実務上起こりやすい課題

  • 相談先が上司だけで、男性の上司には話しにくいという声がある
  • 生理休暇の規定が就業規則にない、または従業員に知られていない
  • 体調不良による欠勤が、症状の説明なく勤怠や評価の問題として扱われる
  • 周囲の従業員への説明をどこまでしてよいか、判断に迷う
  • 更年期の症状が、本人も気づかないまま、勤務の質の低下として見られてしまう

課題別の対応策

相談の窓口を複数用意する

直属の上司以外にも、人事担当者、産業医、外部の相談窓口など、複数の相談先を用意します。本人の性別や関係性によって、相談しやすい相手が異なるためです。

生理日の就業が著しく困難な場合の措置を確認する

労働基準法第68条は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならないと定めています。就業規則に記載があるか、従業員が請求の方法を知っているかを確認します。同条は、症状全般への配慮を定めたものではなく、請求があった場合の就業の扱いに関する規定です。

勤務の配慮の選択肢を整理する

時間単位の年次有給休暇、時差出勤、在宅勤務、休憩の取り方の工夫など、症状に応じて使える制度を一覧にします。新しい制度をつくるときは、利用する人が不利益を受けないことを明確にします。

管理職の理解と対応を整える

管理職には、症状の内容を詮索しないこと、相談を受けたら本人の意向を確認すること、他の従業員に無断で情報を伝えないことを周知します。

具体的な対応ステップ

  1. 就業規則に、生理日の就業が著しく困難な女性に対する休暇の規定があるかを確認する
  2. 現在使える休暇・勤務の制度(時間単位年休、時差出勤など)を一覧にする
  3. 相談できる窓口を複数決め、従業員に周知する
  4. 管理職に、相談を受けたときの対応と情報管理のルールを伝える
  5. 従業員向けの啓発として、症状と受診の大切さを伝える資料を用意する
  6. 利用状況と従業員の声を確認し、1年後に見直す

制度の整理表

項目位置づけ会社が確認すること
労働基準法第68条の措置生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合の定め就業規則の記載、請求方法の周知
健康保持増進の指針女性特有の健康課題を含む健康づくりの考え方(努力義務の枠組み)相談窓口、受診の後押し、啓発
時間単位の年次有給休暇など会社が労使協定等で整える制度協定の有無、対象者、運用のルール
勤務の配慮(時差出勤・在宅勤務など)会社の判断で整える制度対象者、手続、評価での扱い

注意点・法的リスク

症状の内容や診断名は、重要な健康情報です。指針は、健康情報を含む労働者の個人情報の保護に配慮することを強調しています。本人の同意なく、周囲の従業員や取引先に症状を伝えることは避けてください。

症状を理由とした不利益な取扱いや、性別に関する不用意な言動は、ハラスメントの問題につながるおそれがあります。労働基準法第68条の適用や、個別の事案への当てはめは、社会保険労務士や労働局にご確認ください。

中小企業ならではの対応方法

少人数の会社では、制度の新設よりも、既にある休暇や勤務の柔軟な運用を整理して周知することが現実的です。時間単位の年次有給休暇や、遅刻・早退の事後的な調整など、使える手段を一枚にまとめて配るだけでも、相談のきっかけになります。

女性従業員が少ない会社でも、将来の採用や定着を見据えて、相談できる窓口を用意しておくと、性別を問わず「困りごとを話せる職場」という印象につながります。

まとめ

改正された健康保持増進の指針は、月経や更年期に関わる課題を、女性特有の健康課題として明記しました。努力義務の枠組みですが、労働基準法第68条の定めと区別したうえで、相談窓口、休暇・勤務の配慮、管理職の対応を整えることが、離職の防止と働きやすさにつながります。

HRCへの相談案内

症状への配慮を制度にする場合、休暇の種類、賃金の扱い、評価での扱い、他の従業員との公平性を、ひとつの人事制度として整える必要があります。配慮を受けた従業員の評価をどう扱うかは、自社だけでは判断しにくいことがあります。

休暇や勤務の規程の確認から始めるのか、評価や賃金を含めた見直しに進むのかは、会社の状況によって異なります。有限会社ヒューマンリソースコンサルタントでは、中小企業の人事制度の分析・設計・運用を支援しています。進め方を相談したい場合は、お問い合わせページよりご連絡ください。

関連するよくある質問

生理休暇は、会社が必ず有給にしなければなりませんか。

労働基準法第68条は、請求があったときに就業させないことを定めるもので、賃金の支払いの有無までは定めていないと説明されています。有給か無給かは就業規則で定めるため、規程を確認してください。

更年期の症状について、会社が休暇を設ける義務はありますか。

指針は更年期障害を女性特有の健康課題として例示していますが、特定の休暇の付与を一律に求めるものではありません。会社の判断で、既存の休暇の運用や勤務の配慮を整えることになります。

症状について、上司が詳しく聞いてもよいですか。

必要以上に詳細を尋ねることは避けてください。業務の調整に必要な範囲にとどめ、本人の意向を確認しながら進めることが大切です。

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