15年後に大卒年齢人口が100万人を下回る時代に備えよう ~正しい採用面接の進め方編~

コンサル業務日報

15年後に大卒年齢人口が100万人を下回る時代に備えよう~正しい採用面接の進め方編~

就職活動、転職活動が活発になる季節です。
皆さんの会社では「採用活動」が適切に行われていますか?

本コラムでは、採用活動の中でも特に重要な「採用面接」について確認していきます。

採用面接が重要な理由を考えてみましょう。
最大の理由は「社員の適性を見定めて採用ミスマッチをなくす」ことにあると思います。
そのためには、だれが採用担当者として対応しても均質の採用面接が行えるように、
・採用面接でのヒアリング項目
・採用面接の採点基準
・採用面接での注意点
を明確にし担当者に理解させる必要があります。

今回は上記のポイントの中でも、『採用面接での注意点』を取り上げていきます。

公正な採用選考の基本

採用面接での注意点として、厚生労働省が公開している「公正採用選考特設サイト」があります。
こちらの内容を確認すると、以下の内容が「採用選考時に配慮すべき事項」として掲載されています。

【公正採用選考特設サイト】はこちらから

【採用選考時に配慮すべき事項】はこちらから

本人に責任のない事項の把握

①「本籍・出生地」に関すること
②「家族」に関すること(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)
③「住宅状況」に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)
④「生活環境・家庭環境など」に関すること

本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)の把握

⑤「宗教」に関すること
⑥「支持政党」に関すること
⑦「人生観・生活信条など」に関すること
⑧「尊敬する人物」に関すること
⑨「思想」に関すること
⑩「労働組合(加入状況や活動歴など)」、「学生運動などの社会運動」に関すること
⑪「購読新聞・雑誌・愛読書など」に関すること

採用選考の方法

⑫「身元調査など」の実施
⑬「本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類」の使用
⑭「合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断」の実施

また、その他にも、結婚の予定や交際相手などプライバシーに関する事項なども注意が必要です。

居住地・通勤時間による応募者の限定

こちらのパンフレットには、採用選考における具体例としての好事例と問題事例が紹介されており、例えば、問題事例の4番目では「居住地・通勤時間による応募者の限定」が紹介されています。

具体的には、事業主の主張としては、
・求人条件の内容が地域の相場よりも高く、応募者の増加が見込まれると考えた
・従業員に支給している通勤手当に上限があるため、当事者の通勤負担を考慮した
といった事情により、一定の制限を課した求人内容としましたが、基本的には「合理的な理由のない差別的排除」として違法と判断される恐れがあるとされています。

採用選考時の健康診断・診断書の提出

業種や職種によって健康状態の確認が必要と認められる場合(運転・配送業務で求人募集する際、失神等の発作が生じないか等)を除いて、適性と能力の把握を判断するうえで、合理的かつ客観的な必要性が認められないもの(既往歴の確認等)は違法とされる恐れがあります。

採用選考における質問事項のチェックリスト

厚生労働省が公表している「事業主向けリーフレット」に掲載してある「採用選考における質問事項のチェックリスト」では以下の質問項目が挙げられています。

【事業主向けリーフレット】はこちらから

エントリーシート編

□本籍や帰省先を記入する欄がある
□健康状態や既往歴を記入する欄がある
□家族構成や家族の職業など、家族に関することを記入する欄がある

採用面接編

□場を和ませるつもりで、家族や出身地に関することを聞いている
□家の間取りや、借家・持ち家などの住宅状況について聞いている
□思想や信条に関すること、愛読書などについて聞いている

これらの項目に1つでもチェックが入ったら「不適切」となります。

これらの内容について、総務人事担当者が理解し、実践することはもちろんですが、営業所の所長や求人部門の責任者等、採用面接に携わる可能性のある従業員も対象とした説明会や研修会を企画し、会社として採用面接力の向上を図ることが重要となります。

まとめ

採用活動の見直しとして、採用サイトの設置やSNS活用など、広報活動の見直しは必須の取り組みです。
しかしながら、広報活動を強化し、求職者を増やしたとしても、次のステップとなる採用面接に問題があっては良い人材を採用できないだけでなく、会社の悪評につながってしまう可能性もあります。

厚生労働省が公開している「公正採用選考特設サイト」では採用面接に限った内容だけでなく、採用選考の具体的な方法として採用活動全体の見直しを含めた様々な改善アイデアが紹介されています。

【採用選考の具体的な方法】はこちらから

参考となる動画も色々と用意されているので、ぜひ一度、確認してみてください。

【解説動画】はこちらから

人口推移をみてみると、人手不足が本格化するのはこれから10年後と言われています。
10年後には18歳人口が100万人を切り、その4年後には大卒年齢人口、つまり新卒対象年齢人口が100万人を切ります。
確実に訪れる将来を踏まえ、今から採用活動を見直し、来るべき未来へ備えていきましょう。

【厚生労働省の特設サイト】はこちらから

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投稿者プロフィール

猪基史
猪基史
アパレル会社勤務後、2000年、中小企業診断士資格取得と同時にコンサルタント会社に転職。営業(販促)支援、個別対応型管理者育成、業績管理制度構築・運用といった現場実戦型コンサルティングを中心に中小企業の支援を行う。その活動の中、経営者の方針=想いを実現させるためには従業員がやりがいを持って働ける環境を整備することが不可欠であると痛感し、会社と社員が共存共栄の関係を築ける「人事制度改革」に特化した中小企業支援を自らの専門領域として確立する。