2023年最新人事労務トレンド解説 | ベースアップの具体的な進め方と「次の一手」

コンサル業務日報

人事コンサルタントの実務ノウハウに基づくワンポイントアドバイス

皆さん、こんにちは。ヒューマンリソースコンサルタントの 猪 です。

今回のワンポイントアドバイスは、日本経済団体連合会が令和6年1月16日に公表した「2023年人事・労務に関するトップマネジメント調査結果」を用いて今後の人事労務のトレンドを解説していきます。

はじめに

労働組合との団体交渉の内容を見ると、今年の春闘でも争点となるベースアップと定期昇給が大勢を占めています。
また、具体的なベースアップの方法や配分対象の決定など、参考となるデータが公表されています。

一方、企業側の人事施策に関する回答内容には、企業を取り巻く経営環境や人事課題が色濃く反映されています。
本回答を確認することで、今後の人事施策の方向性や取組みを検討するネタになるのではないでしょうか。

まずは、労働組合等との交渉内容と結果について確認していきます。

労働組合との団体交渉のトレンド

23年春闘の労働組合要求事項

 1位)基本給のベースアップ(89.2%)
 2位)定期昇給の実施、賃金体系の維持(63.5%)
 3位)初任給の引上げ(28.6%)
 ※ 一般社団法人日本経済団体連合会「2023年人事・労務に関するトップマネジメント調査結果

ベースアップの具体的配分方法

 1位)一律定額配分(53.1%)
 2位)若年層(30歳程度まで)へ重点配分(30.2%)
 3位)職務・資格別の配分(23.3%)
 ※ 一般社団法人日本経済団体連合会「2023年人事・労務に関するトップマネジメント調査結果

ベースアップは額ですか?率ですか?
ベースアップは基本給を対象にしないといけないですか?
ベースアップは全社員一律に実施しないといけないですか?

実際に、23年度の昇給時には、新卒採用をしているクライアントは全社員一律のベースアップと若年層の賃金カーブの是正に昇給予算を当てた会社が大半でした。

続いて、企業として労働組合との交渉以外で主体的に取り組んだ人事施策を確認してみます。

企業が実施した人事施策

労働組合からの要求事項以外の実施施策

 1位)定期昇給の実施、賃金体系の維持(66.9%)
 2位)初任給の引上げ(65.9%)
 3位)基本給のベースアップ(50.5%)
 4位)有期雇用社員・パートタイム社員等の処遇改善(40.3%)
 5位)定年後の継続雇用社員の処遇改善(33.4%)
 ※ 一般社団法人日本経済団体連合会「2023年人事・労務に関するトップマネジメント調査結果

労働組合からの要求事項以外の実施施策を見てみると、「人材確保」の観点がとても重要視されていることが確認できます。

人材確保のキーワードは「多様な人材の確保と戦力化」

・基幹社員となる若手新卒社員の採用
・パートや有期契約社員の確保
・定年後再雇用社員の有効活用

企業が必要とする人材の採用と定着・確保は今後の人口動態(学生数の減少や労働力人口の減少など)を踏まえると、当然の施策が挙げられていると感じます。

昨今、定年年齢を65歳に引き上げる検討を進めているクライアントも増えてきており、多様な人材の確保は待ったなしの人事施策です。

賃金以外で労働組合と議論した項目のうち、今後重視したい項目

 1位)労働生産性の改善・向上策(業務遂行方法の見直しやデジタル化の推進など)(38.5%)
 2位)人材育成施策の導入・拡充(自己啓発・能力開発の支援など)(29.6%)
 3位)時間外労働の削減(28.6%)
 4位)D&I、DE&Iの推進策(多様な人材の活躍支援)(28.2%)
 ※ 一般社団法人日本経済団体連合会「2023年人事・労務に関するトップマネジメント調査結果

また、今後重視する施策に目を移すと、多様な人材の確保、定着の先に、「人材の戦力化と活用」「労働生産性の改善と主要業務の選択と集中」といった方向性が見て取れるのではないでしょうか。


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本日の記事でご紹介したデータは以下のものを参照しています。
【調査概要】
一般社団法人日本経済団体連合会「2023年人事・労務に関するトップマネジメント調査結果」より
2024年1月16日公表
調査対象:経団連会員企業(1,504社)
回答状況:347社(500人以上85% 500人未満15%)

投稿者プロフィール

猪基史
猪基史
アパレル会社勤務後、2000年、中小企業診断士資格取得と同時にコンサルタント会社に転職。営業(販促)支援、個別対応型管理者育成、業績管理制度構築・運用といった現場実戦型コンサルティングを中心に中小企業の支援を行う。その活動の中、経営者の方針=想いを実現させるためには従業員がやりがいを持って働ける環境を整備することが不可欠であると痛感し、会社と社員が共存共栄の関係を築ける「人事制度改革」に特化した中小企業支援を自らの専門領域として確立する。