10月は中退共の「加入促進強化月間」|中小企業の退職金制度づくりに使える?

人事労務に関するFAQ

10月は中退共の「加入促進強化月間」|中小企業の退職金制度づくりに使える?

目次

この記事でわかること

  • 「加入促進強化月間」とはどのような取り組みか
  • 中退共(中小企業退職金共済)とはどのような制度か
  • 中退共を退職金制度づくりの選択肢として検討する際のポイント
  • 導入を検討する際に確認しておくべき実務ステップ

結論

厚生労働省は毎年10月を中小企業退職金共済(中退共)制度の「加入促進強化月間」と位置づけ、ポスターやウェブでの広報を強化しています。中退共は、退職金制度を単独で備えることが難しい中小企業のために設けられた国の共済制度で、掛金の一部に国の助成が受けられ、令和8年6月末時点で約55万の中小企業が加入しています。退職金制度がまだない、または見直しを検討している企業にとって、検討の選択肢の一つになります。

中退共(中小企業退職金共済)とはどのような制度か

中退共は、中小企業の事業主が退職金制度を単独で持つことが難しい場合に備え、複数の中小企業の事業主同士が掛金を拠出し合い、国の援助も受けながら退職金を用意する仕組みです。厚生労働省の案内では「中小企業の事業主同士が掛金を拠出しあう仕組みと、国の援助で成り立っている」制度と説明されています。事業主が毎月の掛金を金融機関に納付し、従業員が退職した際には、中退共本部から直接その従業員へ退職金が支払われる仕組みが特徴です。

厚生労働省は、この制度への加入を後押しするため、毎年10月を「加入促進強化月間」と位置づけ、ポスター・パンフレットの配布、マスメディアやインターネット・SNSでの広報、事業主団体への周知・啓発協力の要請、都道府県労働局でのポスター掲示などを行っています。令和8年6月末時点で約55万の中小企業が加入しているとされ、中小企業にとって一定の実績がある制度であることがうかがえます。

なぜ中小企業の実務で重要なのか

退職金制度は、人材の定着や長期的なキャリア形成への安心感につながる一方、自社単独で準備しようとすると、資金の積み立てや管理の仕組みづくりに相応の負担がかかります。中退共は、国の助成や税制上の優遇措置を活用しながら、比較的シンプルな管理で退職金制度を持てる選択肢として案内されています。求人票に「退職金制度あり」と記載できるかどうかは、採用活動における訴求力にも影響するため、退職金制度をこれから整備したい中小企業にとって検討価値のあるテーマです。

実務上起こりやすい課題

  • 退職金制度自体を持っていないため、採用時に他社と比較され見劣りしてしまう
  • 退職金制度を自社独自に設計・管理する体力(人員・ノウハウ)がない
  • 中退共という名称は知っているが、具体的にどのような会社が対象になるのか、既存の退職金制度からの切り替えができるのかがわからない
  • 加入促進強化月間という案内を目にしても、自社にとってのメリット・デメリットを整理できていない

課題別の対応策

自社の退職金制度の現状整理

現在、退職金制度が「ない」のか、「社内規程はあるが積立の裏付けがない」のか、「既に別の企業年金制度がある」のかによって、検討すべき選択肢は異なります。まずは自社の現状を整理することが出発点になります。

制度の仕組み・対象要件の確認

中退共は中小企業を対象とした制度ですが、対象となる企業規模の要件(資本金・従業員数等)は業種によって基準が異なります。自社が対象に該当するかどうかは、中退共の公式情報で個別に確認する必要があります。

他の退職金制度との比較検討

確定拠出年金(DC)・確定給付企業年金(DB)といった他の退職金制度の選択肢と比較し、自社の企業規模・従業員構成・管理体制に合った制度を選ぶことが重要です。

具体的な対応ステップ

  1. 自社の退職金制度の有無・現状を整理する
  2. 中退共の対象要件(企業規模等)に自社が該当するかを確認する
  3. 中退共と、DC・DBなど他の退職金制度の選択肢を比較する
  4. 国の助成・税制優遇の内容を踏まえ、自社の資金計画への影響を試算する
  5. 制度を選定し、必要書類を準備して加入手続きを進める
  6. 従業員へ、退職金制度の内容と自社にとっての位置づけを説明する

退職金制度の選択肢比較(考え方の整理)

制度特徴
中退共(中小企業退職金共済)中小企業を対象とした国の共済制度。掛金の一部に国の助成があり、管理の仕組みが比較的シンプルとされる
確定拠出年金(DC)掛金額があらかじめ確定し、運用実績によって将来の受取額が変動する仕組み
確定給付企業年金(DB)将来の給付額があらかじめ確定している仕組み。運用リスクは企業側が負う

各制度の対象要件・掛金の考え方・税務上の取り扱いの詳細は、公開前に中退共および各制度の公式情報でご確認ください。

注意点・法的リスク

中退共は加入企業に一定のメリットがある制度として案内されていますが、加入後に業績が悪化した場合でも掛金を一方的に減額・中断することは基本的にできない設計とされています。加入前に、自社が中長期的に掛金負担を継続できるかどうかを慎重に検討する必要があります。また、退職金制度は一度導入すると、就業規則・賃金規程との整合や、将来的な制度変更(不利益変更)の難しさも伴います。具体的な掛金月額の設定や、既存の退職金制度からの移行方法については、個別の事情に応じて中退共・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

中小企業ならではの対応方法

専任の人事・経理担当者を置いていない中小企業では、退職金制度の検討自体が後回しになりがちです。まずは「加入促進強化月間」をきっかけに、自社に退職金制度が必要かどうか、必要な場合はどの制度が自社の規模・体力に合っているかを整理するところから始めることが現実的な一歩になります。

まとめ

毎年10月の「加入促進強化月間」は、中小企業が退職金制度を検討する一つのきっかけになります。中退共は、退職金制度を単独で備えることが難しい中小企業向けに、国の助成を受けながら比較的シンプルな管理で運用できる制度として案内されています。自社の現状を整理したうえで、他の退職金制度の選択肢とあわせて比較検討することが重要です。

HRCへの相談案内

退職金制度をどの仕組みで整備するかは、単に中退共に加入するかどうかだけでなく、自社の等級制度・賃金制度・嘱託再雇用制度全体との整合をどう取るかという、より広い制度設計の課題につながっています。どの制度を選ぶべきか、既存の賃金制度とどう連動させるべきかは、自社だけで判断するのが難しい場合があります。

まずは自社の退職金制度・賃金制度の現状を確認するところから始めるのか、退職金制度そのものを新たに設計するところから着手するのかは、企業ごとの状況によって異なります。有限会社ヒューマンリソースコンサルタントでは、中小企業の退職金制度・嘱託再雇用制度の設計を支援しています。自社の状況に合わせた進め方について相談したい場合は、お問い合わせページよりご連絡ください。

関連するよくある質問

中退共はどのような企業でも加入できますか。

中小企業を対象とした制度であり、業種によって資本金・従業員数の対象要件が異なります。自社が対象に該当するかどうかは、中退共の公式情報で個別にご確認ください。

既に退職金制度がある企業でも中退共に加入できますか。

既存の制度の内容によって扱いが異なる場合があります。個別の状況については、中退共・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

中退共に加入した後、掛金を減額することはできますか。

掛金の減額には一定の手続き・要件が定められているとされ、業績悪化のみを理由に一方的に減額できる設計ではないとされています。詳細は中退共の公式情報でご確認ください。

関連記事・関連サービス

公的情報源・参考資料

本記事の情報確認日:2026年9月25日。掛金月額の具体的な区分・助成率の詳細は本記事作成時点で一次情報本文を確認できていないため記載していません。公開前に中小企業退職金共済事業本部の公式サイトでご確認ください。

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