パート・契約社員人事制度構築
最低賃金の上昇や「同一労働同一賃金」への対応など、非正規雇用の労務管理は年々難易度を増しています。本サービスでは、単なる労働力の調整弁ではない、パート・契約社員の「戦力化」を実現する制度を構築。業務範囲に基づいた明確な評価・賃金テーブルを整備し、法的リスクを回避しつつ、モチベーション高く働ける環境を整えます。正社員登用制度の設計も支援します。
サービス詳細を見るパート・有期社員の基本給は職務評価で見直せる?中小企業の進め方
この記事でわかること
- 職務評価とはどのようなもので、基本給の見直しにどう使えるのか
- 2026年10月1日から適用される雇用管理指針の改正と、職務評価の関係
- 厚生労働省が紹介する「要素別点数法」の考え方
- 中小企業が無理なく進めるための手順と注意点
結論
パート・有期社員の基本給は、職務分析と職務評価を使って、正社員との職務内容の違いを点数で整理することで、根拠をもって点検できます。2026年10月1日からは、パートタイム・有期雇用労働法の雇用管理指針でも、職務内容や成果を公正に評価して昇給に反映することが望ましいとされます。まず一部の職務から試すのが現実的です。
職務評価とはどのようなものか
職務評価とは、仕事(職務)そのものの大きさや難しさ、責任の重さを、一定の基準で評価する手法です。人の能力や成果を評価する人事評価とは異なり、「その仕事にどれだけの価値があるか」を評価する点が特徴です。
厚生労働省は、パートタイム労働者と正社員との間の待遇の公正性を点検するため、「職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル」や「職務分析実施マニュアル」(2021年3月)を公表しています。その中で紹介されている方法の1つが、「要素別点数法」です。
要素別点数法は、「職務評価表」を使って職務の点数を計算する方法です。評価項目(たとえば専門性や裁量性など)、各項目の重要度を示すウェイト、点数を付けるための基準(スケール、通常は5段階など)の3つで構成され、各項目の点数は「ウェイト×スケール」で求めます。全項目の合計が、その職務のポイントになります。
なぜ中小企業の実務で重要なのか
厚生労働省が公表している、2026年10月1日施行・適用のパートタイム・有期雇用労働法施行規則と雇用管理指針の改正では、パートタイム・有期雇用労働者の雇入れ時や契約更新時の明示事項に、待遇の相違の内容・理由などについて説明を求めることができる旨が追加されます。あわせて雇用管理指針では、職務内容や成果を公正に評価し、賃金の決定や昇給に反映することが望ましいと明記されました。
待遇の違いについて説明を求められたとき、「正社員だから」「昔からそうだから」だけでは説明がしにくくなります。職務評価で職務の違いを客観的に整理しておくと、基本給の水準や昇給の考え方を、根拠をもって説明しやすくなります。
実務上起こりやすい課題
- 正社員とパート・有期社員の基本給の違いを、職務内容の違いから説明できない
- 社員ごとの基本給が、入社時の交渉や経緯で決まっており、基準が文書になっていない
- 職務の内容が人によって変わっており、職務分析の材料となる資料(職務記述書など)がない
- 職務評価に取り組みたいが、評価表の作り方や進め方がわからない
課題別の対応策
職務分析で仕事の中身を整理する
最初に、評価の対象とする職務を選び、その仕事の内容、必要な知識・技能、責任の範囲、判断の裁量、勤務の条件などを書き出します。これが職務分析です。すべての職務を一度に分析する必要はなく、正社員とパート・有期社員が似た仕事をしている職務から始めるのが現実的です。
職務評価で職務の大きさを点数にする
職務分析の結果をもとに、評価項目、ウェイト、スケールを決め、職務ごとに点数を付けます。ウェイトは、会社の事業の特性に応じて、重視する項目の重みを大きくします。評価は担当者1人で行わず、複数の人で確認すると、偏りを防げます。
点数と基本給を見比べて点検する
職務のポイントと現在の基本給を並べ、職務の大きさに見合った水準になっているかを点検します。差がある場合は、その理由を整理し、必要に応じて基本給の見直しを検討します。
昇給や評価の仕組みと合わせて整える
基本給を見直すだけでなく、昇給の基準や評価の方法も、職務内容や成果に基づくように整えます。評価の基準を、本人に説明できる形にしておくことが大切です。
具体的な対応ステップ
- 評価の対象とする職務(まずは数職務)を選ぶ
- 職務の内容、必要な知識・技能、責任の範囲などを書き出す(職務分析)
- 評価項目、ウェイト、スケールを決め、職務評価表を作る
- 職務ごとに点数を付け、複数の担当者で確認する
- 職務ポイントと現在の基本給を比較し、差が出た理由を整理する
- 基本給や昇給の見直しが必要な場合は、方針と進め方を決める
- 見直しの結果と考え方を、対象となる従業員にわかりやすく説明できるよう資料にまとめる
要素別点数法の考え方(整理)
| 構成要素 | 内容 |
|---|---|
| 評価項目 | 職務の大きさを測るための視点。たとえば専門性、裁量性など |
| ウェイト | 会社の事業特性に応じた、各評価項目の重要度。重要な項目ほど大きく設定する |
| スケール | 項目ごとに点数を付けるための基準。通常は5段階などで設定する |
| 職務ポイント | 各項目について「ウェイト×スケール」で求めた点数の合計 |
評価項目の例や評価表の様式は、厚生労働省のマニュアルや「パートタイム・有期雇用労働者総合サイト」に掲載されています。自社に合わせて調整してください。
注意点・法的リスク
職務評価の点数は、基本給の水準を点検するための材料です。点数だけで賃金が自動的に決まるものではなく、人事評価、勤務の条件、会社の賃金体系など、他の要素も踏まえた総合的な判断が必要です。
待遇の相違が不合理かどうかは、職務内容、配置の変更の範囲、その他の事情を考慮して、個別に判断されます。点検の結果、正社員との差を縮める場合は、正社員の労働条件を不利益に変更するのではなく、パート・有期社員の条件の改善を図ることが求められる点に注意が必要です。この点は、厚生労働省が示すガイドラインの改正点にも関わるため、個別の判断は弁護士や社会保険労務士にご確認ください。
中小企業ならではの対応方法
従業員数が少ない会社では、職務の種類も限られるため、まず2〜3の主要な職務に絞って職務評価を試すだけでも、基本給の考え方を整理する手がかりになります。職務記述書の整備や評価表の作成は、外部の専門家の力を借りながら進めると、負担を抑えられます。
完成度の高い評価表を目指すよりも、自社の職務を「同じものさし」で見比べられる状態をつくることが、最初の目標です。
まとめ
パート・有期社員の基本給は、職務分析と職務評価によって、正社員との職務の違いを客観的に整理し、点検できます。2026年10月1日から、雇用管理指針では、職務内容や成果を公正に評価し昇給に反映することが望ましいとされます。まずは数職務から試し、根拠をもって説明できる状態を目指すことが大切です。
HRCへの相談案内
職務評価は、点数を付けて終わりではなく、等級制度や賃金制度、昇給の仕組みと結びつけて初めて、運用に生きる仕組みになります。自社の職務をどう整理し、どの制度にどう反映するかは、自社だけで判断するのが難しい場合があります。
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関連するよくある質問
職務評価と人事評価は、何が違いますか。
職務評価は仕事そのものの大きさを評価するもので、人事評価は、その仕事を担う人の能力や成果、行動を評価するものです。目的が異なるため、混同しないようにしてください。
職務評価は、必ず実施しなければなりませんか。
本記事で確認できた範囲では、職務評価の実施を法律で一律に義務づける記述は確認できていません。待遇の相違を説明する際の根拠を整理する手段の1つです。
評価表は自社で作れますか。
厚生労働省のマニュアルや総合サイトに、評価項目の例や様式が掲載されています。それらを参考に、自社の事業内容に合わせて作成できます。難しい場合は、専門家に相談する方法もあります。
関連記事・関連サービス
公的情報源・参考資料
- 厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法施行規則/雇用管理指針の主な改正事項(施行・適用期日:令和8年10月1日)」
- 厚生労働省 パートタイム・有期雇用労働者総合サイト「要素別点数法|職務分析・職務評価」
本記事の情報確認日:2026年10月2日。職務評価の様式や詳細な手順は、厚生労働省のマニュアルで最新の内容をご確認ください。
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