10月1日の内定式を前に、内定辞退を防ぐには?中小企業の対応

人事労務に関するFAQ

10月1日の内定式を前に、内定辞退を防ぐには?中小企業の対応

目次

この記事でわかること

  • 新卒採用における「正式な内定日」が10月1日以降とされている背景
  • 内定辞退が起こりやすいタイミングと主な理由
  • 内定式前後に企業ができる内定者フォローの具体策
  • 内定者を過度に拘束する「オワハラ」に当たらないための注意点

結論

内閣官房・厚生労働省等の関係省庁連絡会議は、2026年度卒業・修了予定者等について、正式な内定日を「卒業・修了年度の10月1日以降」とするよう経済団体等に要請しています。多くの企業で10月1日前後に内定式が行われる一方、この時期は内定辞退が表面化しやすいタイミングでもあります。企業は、内定者の不安に寄り添ったフォローを行いつつ、就職活動の継続を過度に妨げる「オワハラ」に当たる対応を避けることが重要です。

内定式・内定辞退防止とはどのような課題か

内閣官房の要請文書によれば、2026年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動については、広報活動の開始が卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、採用選考活動の開始が卒業・修了年度の6月1日以降、正式な内定日が卒業・修了年度の10月1日以降とされています(専門活用型インターンシップを通じた一部の学生については、より早いタイミングから選考プロセスに移行できる特例があります)。このスケジュールにあわせ、多くの企業が10月1日前後に内定式を実施しますが、内定式を境に、複数の内定を保持していた学生が就職先を一社に絞り込むため、内定辞退が表面化しやすい時期でもあります。

なぜ中小企業の実務で重要なのか

中小企業では、採用予定人数が少数であるため、1人の内定辞退が採用計画全体に大きな影響を与えやすいという特徴があります。知名度や採用予算で大企業に劣る場合、内定者が他社(特に知名度の高い企業)へ流れてしまうリスクも相対的に高くなります。一方で、内定辞退を防ごうとするあまり、他社への就職活動を妨げるような対応(いわゆるオワハラ)を取ってしまうと、企業の評判を損ない、かえって人材確保を難しくするおそれがあります。内定者の不安に寄り添いながら、適切な範囲でフォローすることが重要です。

実務上起こりやすい課題

  • 内定を出した後、内定式までの間に内定者との接点がほとんどなく、不安を抱えたまま他社に流れてしまう
  • 内定式や懇親会への参加を強く求めすぎて、内定者に負担を感じさせてしまう
  • 「他社の選考を辞退するように」と直接的に求めてしまい、オワハラと受け取られる
  • 内定者一人ひとりの状況(他社との比較検討状況、不安な点)を把握できていない

課題別の対応策

内定式までの定期的な接点づくり

内定から内定式までの間、面談や懇親の機会を通じて、入社後の仕事内容やキャリアパスについて具体的にイメージできるような情報提供を行います。先輩社員との交流機会を設けることも、不安の軽減に有効とされています。

内定者一人ひとりの状況把握

内定者が抱えている不安や、他社との比較検討状況を、面談等を通じて丁寧に把握します。一律の対応ではなく、内定者ごとの状況に応じたフォローを行うことが効果的です。

オワハラに当たらない範囲での対応

他社への就職活動を継続する自由は学生側にあります。内定式や懇親会への参加を強要したり、他社の選考辞退を強く求めたりする対応は、オワハラとして問題視されるおそれがあるため避ける必要があります。

具体的な対応ステップ

  1. 内定者ごとに、内定式までの面談・接点のスケジュールを設定する
  2. 入社後の仕事内容・キャリアパスについて具体的な情報を提供する
  3. 先輩社員との交流機会(座談会等)を設ける
  4. 内定式・懇親会は任意参加を基本とし、強制と受け取られない案内文言にする
  5. 内定者から寄せられた不安・質問には、早期かつ丁寧に回答する
  6. 内定式後も、入社までの間、定期的な情報提供・接点を継続する

内定者フォロー施策のチェックリスト

確認項目内容
接点の頻度内定から入社まで、定期的な接点を設けているか
情報提供の具体性仕事内容・キャリアパスを具体的に伝えられているか
参加の任意性内定式・懇親会等の案内が強制と受け取られない内容になっているか
個別対応内定者ごとの不安・状況を把握し、個別にフォローできているか

注意点・法的リスク

内定は、一般に「始期付解約権留保付労働契約」に当たると考えられており、企業側から一方的に内定を取り消す場合には、客観的に合理的で社会通念上相当と認められる理由が必要とされています。一方、内定者側からの内定辞退は、労働者の退職の自由と同様の考え方に基づき、基本的に制限することはできないとされています。他社への就職活動の継続を妨げる行為(いわゆるオワハラ)は、学生の職業選択の自由を不当に制約するものとして社会的に問題視されており、企業のレピュテーションにも影響します。個別の内定取消し・辞退に関する法的な取り扱いについては、弁護士・社会保険労務士にご確認ください。

中小企業ならではの対応方法

採用専任の担当者を置いていない中小企業では、内定者フォローが後回しになりがちです。まずは内定者一人ひとりに対し、入社までの間に最低限どのような接点(面談・情報提供の回数)を持つかを決めておくだけでも、内定辞退の防止につながりやすくなります。あわせて、自社ならではの魅力(働きやすさ、裁量の大きさ、成長機会等)を、内定者に対して具体的に言語化して伝えることも有効です。

まとめ

正式な内定日が卒業・修了年度の10月1日以降とされる中、内定式前後は内定辞退が表面化しやすい時期です。中小企業は、内定者一人ひとりの不安に寄り添った丁寧なフォローを行いつつ、他社への就職活動を妨げるオワハラに当たる対応は避けることが重要です。

HRCへの相談案内

内定辞退の防止は、内定式前後のフォローだけでなく、「自社で働く魅力をどう言語化し、採用活動全体でどう伝えるか」という、より広い採用・処遇制度の設計課題につながっています。自社の魅力をどう整理し、どの場面で伝えるべきかは、自社だけで判断するのが難しい場合があります。

まずは自社の採用活動・処遇制度の現状を確認するところから始めるのか、評価・賃金制度を含めた人事制度全体を見直すところから着手するのかは、企業ごとの状況によって異なります。有限会社ヒューマンリソースコンサルタントでは、中小企業の人事制度の設計を支援しています。自社の状況に合わせた進め方について相談したい場合は、お問い合わせページよりご連絡ください。

関連するよくある質問

内定式への参加を義務付けることはできますか。

内定式は入社前の任意の行事として位置づけられることが一般的であり、参加を強制することは望ましくないとされています。案内文言が強制と受け取られないよう配慮する必要があります。

内定辞退を申し出た学生に、理由を執拗に聞いてもよいですか。

辞退理由を確認すること自体は問題ありませんが、執拗な引き止めや、他社の選考辞退を強く求める対応はオワハラと受け取られるおそれがあるため、避けることが望ましいとされています。

内定式の日程は必ず10月1日にしなければなりませんか。

内閣官房の要請は「正式な内定日を10月1日以降とする」というものであり、内定式の具体的な開催日を10月1日に限定するものではありません。多くの企業が10月1日前後に実施する慣行があるものと理解されます。

関連記事・関連サービス

公的情報源・参考資料

本記事の情報確認日:2026年9月25日。内定の法的性質に関する記述は、判例に基づく一般的な解説を紹介したものであり、個別の事案への当てはめは弁護士・社会保険労務士にご確認ください。

なぜ中小企業にHRCが選ばれるのか?

完全請負制で追加費用なし・月額分割も可能

自社専用オリジナル人事制度構築:総額 900,000円(税込990,000円)〜

コンサルティング期間(標準6ヶ月)での月額分割払い(月額15万円〜)に対応。
契約後の追加費用は一切発生いたしません。

★ 定着するまで絶対に投げ出さない「2年間の無償サポート」

制度は「作って終わり」ではなく「運用してから」が本番です。HRCでは導入後2年間、以下の運用サポートを無償でご提供します。

  • 評定会議への同席・アドバイス: 評価のブレをプロの目線で補正します。
  • 昇給・賞与検討用資料の作成支援: 経営を圧迫しない適正な配分をアドバイスします。
  • 制度メンテナンス・微修正: 運用で見えた課題を随時調整します。

※上記を超える実務作業(評価シートの全面改訂、新たな研修の企画・代行登壇など)が発生する場合は、必ず事前にお見積りをご提示し、ご納得いただいた上での対応となります。

はじめての人事制度・制度設計サポート

制度設計サポート(はじめての人事制度)

社員数50名以下の中小企業様へ。本サービスでは、評価制度と賃金制度をトータルで設計し、一貫性のある「はじめての人事制度づくり」を支援します。何をどうすれば評価され、処遇に反映されるのかが一目瞭然となる、シンプルで分かりやすい仕組みを構築。採用に強い賃金表や、社員の強みを活かすキャリアコースの設計を通じ、人材の定着と育成を後押しします。

サービス詳細を見る
制度運用サポート(はじめての人事制度)

制度運用サポート(はじめての人事制度)

「制度を作ったものの、正しく運用できるか不安…」そんなお悩みを解決します。本サービスでは、評価のバラつきを防ぎ、部下の育成につなげる「評価者研修」と、評価集計から昇給・賞与の資料作成までを丸ごと任せられる「運用アウトソーシング」の2本柱で手厚くサポート。人事担当者の負担を大幅に削減しながら、納得感の高い制度の定着を実現します。

サービス詳細を見る
目次