「同一労働同一賃金」への対応として、具体的にどこまで賃金格差を是正すべきですか?【不合理な差の判断基準】
【結論】同一労働同一賃金への対応では、「①職務内容や責任の程度が同じであれば、全ての待遇を同じにする(均等待遇)」ことが原則です。職務内容などに違いがある場合でも、「②その違いに応じた合理的な範囲で差を設ける(均衡待遇)」必要があります。「正社員だから」という理由だけで、手当や賞与に差を設けることは、不合理として違法と判断されるリスクが極めて高くなります。
中小企業に全面適用された同一労働同一賃金への対応は、賞与、退職金、各種手当における格差是正の実務が最も重要です。具体的な是正の判断基準を解説します。
格差が「不合理」と判断される判断基準
最高裁判例に基づき、待遇差が不合理と判断されるか否かは、以下の要素を総合的に考慮します。
1. 賞与(ボーナス)
賞与が「会社の業績への貢献」を目的としている場合、正社員と非正規社員で同じ職務内容であれば、賞与額に差を設けることは原則不合理とされます。貢献度が異なれば差は許容されますが、支給そのものを非正規社員にしないことはリスクが高いです。
2. 各種手当(通勤手当、皆勤手当、食事手当など)
- 不合理な例: 通勤手当、皆勤手当、食事手当など、「業務遂行や生活の補助」を目的とする手当は、支給しないこと自体が不合理と判断されます(金額差は許容される場合あり)。
- 合理的な例: 役職手当や、配置転換を伴う責任に対する手当は、職務内容が異なれば差を設けることが可能です。
3. 退職金
退職金が「長期的な勤続への功績」を目的としている場合、無期の非正規社員に退職金を一切支給しないことは、不合理と判断されるリスクがあります。
中小企業が取るべき是正の実務手順
手順1: 職務分析の実施
まず、正社員と非正規社員の「職務内容」「責任の程度」「配置変更の範囲」の3点について、具体的な業務実態を比較分析します。
手順2: 待遇差の根拠の明確化
待遇差がある項目について、「この手当は、〇〇という職務の特殊性・責任の重さに対して支払っている」という根拠文書(賃金規程)を作成・整備します。
手順3: 不合理な格差の是正と説明義務の履行
合理的な説明ができない手当は是正し、非正規社員から求められた場合、待遇差の具体的な内容と理由を説明できる体制を整備します。
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