「社内副業(社内ギグ)」制度を導入する際の、賃金支払いの注意点と制度設計のコツは?
【結論】他部署の業務を兼務する「社内副業(社内ギグ)」を導入する際は、「①本業と社内副業の労働時間は通算されるため、法定労働時間を超えた分は『割増賃金(残業代)』の対象となること」「②本業に支障が出ないよう『月間〇時間まで』と上限を定めること」「③副業での成果を本業の評価にどう反映させるかルール化すること」が重要です。
人材の流動性を高め(インターナルモビリティ)、社内の隠れたスキルを発掘する新たな施策として注目される「社内副業」の安全な運用法を解説します。
社内副業(社内ギグ)がもたらす組織へのメリット
社外での副業解禁には情報漏洩などのリスクが伴いますが、社内副業であれば安全に「社員のスキルアップ」や「部署間のサイロ化(縦割り)解消」を図ることができます。例えば、営業部の社員が週に2時間だけマーケティング部のSNS運用を手伝うことで、新たなキャリアの可能性に気づき、結果として離職防止(リテンション)に繋がります。
賃金支払いと労務管理の「法的注意点」
労働時間の通算と割増賃金
社内での業務である以上、本業と副業の労働時間は合算されます。本業で1日8時間働いた後に、社内副業を1時間行った場合、その1時間は「時間外労働」となり、割増賃金(残業代)の支払い義務が生じます。これを「ボランティア」や「自己研鑽」として無給で処理することは労働基準法違反となります。
36協定の上限管理
社内副業の時間が加算されることで、36協定で定めた残業時間の上限を超えないよう、労務管理システム(HRテック)を用いた厳格な勤怠管理が必要です。
失敗しない制度設計のコツ
- 手挙げ制と上司の承認: 社員が自発的に応募できるプラットフォームを構築しつつ、本業のパフォーマンスが低下しないよう、必ず「直属の上司の承認」を必須とします。
- スモールスタート: 最初は「週2時間まで」「月額1万円の固定手当(または残業代精算)」など、管理負担の少ない範囲でテスト導入します。
- 評価制度への組み込み: 社内副業で得たスキルや貢献度を、賞与やコンピテンシー評価にプラスアルファとして反映させる仕組みを作ります。
\社内の「知」を流動化させ、組織のポテンシャルを引き出します/
社内副業制度は、社員のやりがいを高める一方で、複雑な労働時間管理が求められます。ヒューマンリソースコンサルタントでは、法的リスクを回避した労務ルールの整備から、本業と副業を統合的に評価する人事制度の設計まで、実務に即したコンサルティングを提供します。

