「諭旨解雇」と「懲戒解雇」の違いは?有効に行うための手順は?

人事労務に関するFAQ

HOME人事労務FAQ > 「諭旨解雇」と「懲戒解雇」の違いと有効に行うための手順

「諭旨解雇」と「懲戒解雇」の違いは?有効に行うための手順は?

この記事でわかること

  • 諭旨解雇と懲戒解雇の違い、退職金・解雇予告手当の扱いの差
  • 就業規則上の根拠がなければ懲戒処分自体を行えない理由
  • 事実調査から処分通知までの具体的な6ステップ
  • 弁明の機会を欠くと処分が無効になりかねない手続き上のリスク

結論:諭旨解雇は懲戒解雇に相当する重大な非違行為がありながら、本人に退職の機会を与える処分であり、懲戒解雇と同様に厳格な手続きと客観的な証拠が求められます

諭旨解雇(ゆしかいこ)とは、就業規則違反等の重大な非違行為があった従業員に対し、懲戒解雇に相当する事案でありながら、情状を考慮して「自ら退職届を提出する機会」を与える処分です。本人が退職届を提出しない場合は、最終的に懲戒解雇として処理されるのが一般的な運用です。懲戒解雇と比較して、退職金の減額幅が小さい、あるいは全額支給される、解雇予告手当の扱いが異なる(就業規則の定め方による)など、処分を受ける従業員側にとって一定の配慮がなされる点が特徴です。ただし、諭旨解雇も懲戒処分の一種であることに変わりはなく、懲戒解雇と同様に「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が求められます。

なぜ諭旨解雇と懲戒解雇の違いを正しく理解する必要があるのか

懲戒処分の種類ごとに就業規則上の根拠と手続きが必要

懲戒処分を行うには、就業規則に懲戒の種類・事由があらかじめ明記されていることが前提です(就業規則に定めのない処分は行えません)。諭旨解雇を懲戒処分の一つとして設ける場合は、その手続き(本人への退職勧告、退職届提出の期限等)も含めて規定しておく必要があります。

処分の重さを誤ると、権利濫用として無効になるリスクがある

軽微な違反行為に対して諭旨解雇・懲戒解雇のような重い処分を科すと、処分の相当性を欠くとして無効と判断されるリスクがあります。過去の同種事案における処分の程度との公平性も考慮されます。

実務対応ステップ

ステップ1:事実関係の調査と証拠の収集

懲戒処分を検討する契機となった行為について、本人・関係者へのヒアリング、客観的な証拠(勤怠記録、メール、監視カメラ映像等、適法に取得したもの)の収集を行います。憶測や伝聞のみに基づく処分は無効リスクが高くなります。

ステップ2:就業規則上の根拠を確認する

問題となった行為が、就業規則に定める懲戒事由のどれに該当するかを確認します。該当する条文がない場合、そもそも懲戒処分自体が行えません。

ステップ3:本人への弁明の機会を付与する

処分を決定する前に、本人に事実関係を説明し、弁明(言い分を述べる機会)を与えることが、手続きの適正さを担保するうえで極めて重要です。弁明の機会を与えずに処分を行うと、手続き上の瑕疵として無効と判断されるリスクが高まります。

ステップ4:懲戒委員会等での審議(設置している場合)

就業規則で懲戒委員会の設置を定めている場合は、その手続きに従って審議を行います。中小企業で懲戒委員会を設置していない場合でも、経営者一人の独断ではなく、複数の役職者で事実関係と処分内容を確認するプロセスを設けることが望ましいです。

ステップ5:諭旨解雇の場合、退職届提出の期限を明確に伝える

諭旨解雇として処分を通告する場合、「〇日以内に退職届を提出しない場合は懲戒解雇とする」という期限と、期限を過ぎた場合の取り扱いを、書面で明確に伝えます。

ステップ6:処分理由書・通知書の作成と交付

処分の内容、理由(該当する就業規則の条文と具体的な事実)を記載した書面を本人に交付します。口頭のみでの通告は、後のトラブル時に処分の正当性を証明しにくくなります。

注意点・リスク

  • 懲戒解雇・諭旨解雇は最も重い処分であるため、他の処分(けん責、減給、出勤停止等)との均衡を欠く場合、無効と判断されるリスクが高くなります。過去の同種事案での処分実績との整合性を確認してください。
  • 弁明の機会を与えずに処分を通告することは、手続き上の重大な瑕疵となります。緊急性が高い場合でも、最低限の説明と反論の機会は確保してください。
  • 解雇予告(30日前の予告、または解雇予告手当の支払い)の要否は、労働基準監督署長の「解雇予告除外認定」を受けているかどうかで異なります。認定を受けずに即時解雇し、解雇予告手当も支払わない対応は労働基準法違反となるため、事前に労働基準監督署への相談・認定申請の要否を確認してください。

中小企業ならではの工夫

人事・法務の専門部署がない中小企業では、重大な懲戒処分を検討する段階で、必ず社会保険労務士や弁護士に相談し、手続きの適正性を確認したうえで進めることを強くおすすめします。処分後に無効と判断されると、未払い賃金の遡及支払いや慰謝料請求など、企業側の負担が処分前より大きくなるリスクがあります。

まとめ

諭旨解雇は懲戒解雇よりも従業員への配慮がある処分ですが、懲戒処分としての厳格さは変わりません。就業規則上の根拠確認、証拠収集、弁明の機会の付与という基本的な手続きを省略せず、専門家に相談しながら慎重に進めることが、後の紛争を防ぐ最大のポイントです。

よくある質問

Q. 諭旨解雇と懲戒解雇の一番の違いは何ですか?

A. 諭旨解雇は、懲戒解雇に相当する重大な非違行為がありながら、本人に自ら退職届を提出する機会を与える処分です。退職金の減額幅が小さい、あるいは全額支給されるなど、従業員側への一定の配慮がある点が懲戒解雇との主な違いです。本人が退職届を提出しない場合は、最終的に懲戒解雇として処理されるのが一般的です。

Q. 弁明の機会を与えずに懲戒処分を行うとどうなりますか?

A. 弁明の機会を与えずに処分を行うと、手続き上の瑕疵として処分自体が無効と判断されるリスクが高まります。緊急性が高い場合でも、本人への事実関係の説明と反論の機会は最低限確保することが重要です。

Q. 就業規則に懲戒事由の定めがない場合、懲戒処分はできますか?

A. できません。懲戒処分を行うには、就業規則に懲戒の種類・事由があらかじめ明記されていることが前提です。就業規則に定めのない処分は行えないため、問題となった行為が該当する条文があるかを必ず確認する必要があります。

なぜ中小企業にHRCが選ばれるのか?

完全請負制で追加費用なし・月額分割も可能

自社専用オリジナル人事制度構築:総額 900,000円(税込990,000円)〜

コンサルティング期間(標準6ヶ月)での月額分割払い(月額15万円〜)に対応。
契約後の追加費用は一切発生いたしません。

定着するまで絶対に投げ出さない「2年間の無償サポート」

制度は「作って終わり」ではなく「運用してから」が本番です。HRCでは導入後2年間、以下の運用サポートを無償でご提供します。

  • 評定会議への同席・アドバイス: 評価のブレをプロの目線で補正します。
  • 昇給・賞与検討用資料の作成支援: 経営を圧迫しない適正な配分をアドバイスします。
  • 制度メンテナンス・微修正: 運用で見えた課題を随時調整します。

※上記を超える実務作業(評価シートの全面改訂、新たな研修の企画・代行登壇など)が発生する場合は、必ず事前にお見積りをご提示し、ご納得いただいた上での対応となります。

はじめての人事制度・制度設計サポート

制度設計サポート(はじめての人事制度)

社員数50名以下の中小企業様へ。本サービスでは、評価制度と賃金制度をトータルで設計し、一貫性のある「はじめての人事制度づくり」を支援します。何をどうすれば評価され、処遇に反映されるのかが一目瞭然となる、シンプルで分かりやすい仕組みを構築。採用に強い賃金表や、社員の強みを活かすキャリアコースの設計を通じ、人材の定着と育成を後押しします。

サービス詳細を見る
制度運用サポート(はじめての人事制度)

制度運用サポート(はじめての人事制度)

「制度を作ったものの、正しく運用できるか不安…」そんなお悩みを解決します。本サービスでは、評価のバラつきを防ぎ、部下の育成につなげる「評価者研修」と、評価集計から昇給・賞与の資料作成までを丸ごと任せられる「運用アウトソーシング」の2本柱で手厚くサポート。人事担当者の負担を大幅に削減しながら、納得感の高い制度の定着を実現します。

サービス詳細を見る
目次