【2026年6月後半】固定残業代の指導強化!アルムナイ採用・週10時間雇保など人事ニュース5選

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【2026年6月後半】固定残業代の指導強化!アルムナイ採用・週10時間雇保など人事ニュース5選

2026年も折り返し地点を過ぎ、下半期の事業計画や人員配置の見直しを進める時期となりました。ここ最近の人事労務分野では、企業の法的リスクに直結する「固定残業代の適正運用」や、将来的な影響が大きい「雇用保険の適用拡大」といったシビアなテーマが注目を集めています。一方で、人手不足を打破する「アルムナイ(出戻り)採用」や、業務を効率化する「バックオフィスDX補助金」など、組織を強くするためのポジティブな動向も活発です。

本記事では、経営者や人事担当者の皆様が今すぐ自社の体制と照らし合わせ、次の一手を打つべき最新の人事・労務トピック5選を厳選し、実務に直結するポイントと併せて分かりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 未払い賃金リスクを回避するための固定残業代(みなし残業)の正しい運用方法と点検ポイント。
  • 改正育児・介護休業法による「3歳から小学校就学前」の柔軟な働き方措置への実務対応。
  • 新規採用の手間とコストを抑え、即戦力を確保するアルムナイ(退職者)採用の制度設計。
  • 2028年秋の施行に向け、今から試算しておくべき雇用保険の「週10時間以上」への適用拡大
  • 人事労務の負担を劇的に減らす中小企業省力化投資補助金を活用したバックオフィスDX。

目次

1. 【賃金制度】固定残業代(みなし残業)の不適切運用に注意。明確区分と超過分精算の再点検が必須

  • ニュース概要:

    長時間労働や未払い残業代をめぐるトラブルの中で、固定残業代(みなし残業代)制度の不適切な運用は、引き続き企業の大きな労務リスクとなっています。固定残業代を導入している場合でも、基本給と固定残業代の区分が不明確なケースや、固定残業時間を超えて労働させたにもかかわらず差額を支給していないケースでは、未払い割増賃金の問題に発展する可能性があります。

    固定残業代は、「一定時間分の残業代を定額で支払えば、それ以上の残業代を支払わなくてよい制度」ではありません。制度を導入している中小企業は、自社の給与計算の実態、雇用契約書・労働条件通知書・求人票・給与明細の記載内容を改めて確認する必要があります。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:基本給と固定残業代の「明確な区分」の再確認

      解説:固定残業代が法的に有効と認められるためには、「通常の労働時間の賃金(基本給等)」と「割増賃金に当たる部分(固定残業代)」を判別できることが重要です。「基本給30万円(残業代含む)」といった曖昧な表記は、固定残業代として有効に扱われないリスクがあります。雇用契約書や給与明細において、「基本給23万円、固定残業代7万円(時間外労働40時間分として)」のように、金額と相当する時間数が明確に分かるように記載されているか確認してください。

    • ポイント2:超過分の「差額精算」漏れは未払い賃金リスクに直結

      解説:固定残業代を支給していても、固定残業時間を超えて時間外労働、休日労働、深夜労働を行わせた場合は、法定の割増賃金との差額を追加で支払う必要があります。固定残業代を「いくら残業させても定額で済む制度」と誤認している場合、未払い残業代の請求リスクが高まります。経理・人事担当者は、毎月の勤怠集計において、実労働時間と固定残業時間を比較し、超過分の差額精算が適正に行われているかを点検してください。

    • ポイント3:採用時の求人票・労働条件通知書の記載見直し

      解説:ハローワークや民間求人サイトでの募集時においても、固定残業代を含む賃金表示には注意が必要です。求職者を惹きつけるために「月給30万円」とだけ表示し、固定残業代の金額、時間数、超過分を追加支給する旨を明示しない場合、入社後のトラブルや早期離職につながります。募集段階から、固定残業代を除いた基本給、固定残業代の金額と時間数、超過分の追加支給を明確に表示しましょう。


2. 【両立支援】「3歳から小学校就学前」の柔軟な働き方措置へ。2025年改正への実務対応が本格化

  • ニュース概要:

    改正育児・介護休業法により、2025年10月1日から、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して、柔軟な働き方を実現するための措置を講じることが事業主に義務付けられています。企業は、「始業時刻等の変更」「テレワーク等」「保育施設の設置運営等」「養育両立支援休暇の付与」「短時間勤務制度」の中から2つ以上を選択して制度として整備し、労働者がその中から1つを選択して利用できるようにする必要があります。

    人材の流出を防ぐ「小1の壁」対策として期待される一方、現場の業務調整、シフト管理、就業規則・育児介護休業規程の改定など、人事労務部門の実務対応は大きくなります。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:複数選択肢の用意が「努力義務」ではなく「義務」へ

      解説:今回の法改正の大きなポイントは、企業側が「うちの会社は時短勤務だけ」と一方的に決めるのではなく、法定の選択肢の中から2つ以上の措置を用意し、労働者が個々の事情に合わせて選べるようにすることが義務化された点です。中小企業であっても例外ではありません。自社の業務特性(製造現場なのか、オフィスワークなのか等)を踏まえ、どの選択肢なら無理なく提供できるか、現場の管理職を交えて制度設計を進める必要があります。

    • ポイント2:対象者への「個別周知と意向確認」の徹底

      解説:制度を作って就業規則に載せるだけでは不十分です。対象となる従業員に対して、会社が用意した柔軟な働き方のメニュー、申出先、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限に関する制度などを個別に周知し、制度利用の意向を確認する必要があります。人事担当者は、面談フローや確認書のフォーマットを整備し、周知・意向確認を行った記録を社内に残す運用体制を構築しましょう。

    • ポイント3:職場の不公平感を防ぐ「マネジメント教育」の実施

      解説:子育て世代の働き方が柔軟になる一方で、周囲の社員に業務のしわ寄せがいき、「不公平だ」という社内不満が高まるリスクがあります。経営層は「両立支援は会社全体の人材定着投資である」というメッセージを発信するとともに、管理職に対して「特定の人に業務が偏らないタスク分散の手法」や「短い時間でも成果を出せる評価基準」のマネジメント研修を実施し、チーム全体の生産性を落とさない工夫が求められます。


3. 【採用戦略】アルムナイ(退職者)採用の制度化。中小企業の新たな即戦力確保策

  • ニュース概要:

    深刻化する人手不足への対応策として、過去に自社を退職した元社員を再雇用する「アルムナイ(出戻り)採用」への関心が高まっています。アルムナイ人材は、自社の業務内容や社風を一定程度理解している一方で、退職後に他社で新たなスキルや経験を積んでいる可能性があり、即戦力人材として期待できます。

    ただし、アルムナイ採用を行う場合は、単に「戻ってきてもらう」だけでは不十分です。再雇用の対象者、選考方法、賃金・等級・役職の決定基準、退職者への連絡方法、個人情報の取扱いなどを整理し、既存社員との不公平感やトラブルを防ぐ制度設計が必要です。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:退職者を「重要な人材資源」として捉え直す

      解説:アルムナイ採用を成功させる最大の壁は、経営者や既存社員の「一度辞めた人を戻すことへの抵抗感」です。しかし、他社で新しい技術やマネジメント経験を積んで戻ってくる人材は、ゼロから新人を育てるよりも早期に戦力化しやすい場合があります。まずはトップ自らが「円満に退職した人材が、再び当社で活躍することを歓迎する」という姿勢を社内に示し、組織風土を整えることが第一歩となります。

    • ポイント2:退職後もつながる「ゆるやかなコミュニティ」の形成

      解説:辞めた社員にいきなり「戻ってこないか」と連絡しても警戒される可能性があります。大切なのは、退職時や退職後に良好な関係を維持することです。退職者向けの連絡先登録、OB・OG向けのニュース配信、社内イベントへの案内など、ゆるやかな接点を持ち続ける「アルムナイネットワーク」を構築しましょう。ただし、退職者の連絡先や職歴情報を採用活動に利用する場合は、利用目的を明確にし、本人の同意や配信停止の仕組みを整えるなど、個人情報保護の観点にも注意が必要です。

    • ポイント3:出戻り社員の「給与・ポジション設定」のルール化

      解説:再雇用する際、「退職時の給与に戻すのか」「他社での経験をどう評価して給与に反映するのか」という基準が曖昧だと、既存社員との間で不満が生じます。アルムナイ採用を制度化する際は、「社外での経験年数や取得スキルを、自社の等級・賃金テーブルにどう反映するか」のルールを明確に定めてください。「特別扱い」ではなく、自社の現在の人事評価制度に則って正当に処遇することが、社内の納得感を生む重要な条件です。


4. 【雇用保険】2028年10月から「週10時間以上」へ適用拡大。パート・アルバイト管理の見直しが必要に

  • 公表日時: 2028年10月1日施行予定
  • ニュース概要:

    雇用保険制度は、2028年10月1日から、被保険者の要件である週所定労働時間が現行の「20時間以上」から「10時間以上」に変更される予定です。これにより、これまで雇用保険の対象外だった短時間勤務のパート・アルバイトの一部が、新たに雇用保険の加入対象となります。

    パートタイマーに依存する中小企業、特に飲食・小売・サービス業では、対象者の洗い出し、給与計算システムの改修、雇用保険料控除に関する従業員説明など、早めの準備が重要になります。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:対象者の洗い出しと「企業側の法定福利費」のシミュレーション

      解説:まずは、自社に「週10時間以上20時間未満」で働いているパート・アルバイトが何人いるかを正確にリストアップしてください。雇用保険への加入は、従業員の給与から保険料が控除されるだけでなく、企業側にも事業主負担分の保険料が生じます。対象者が多い企業ほど、法定福利費という形での人件費増加が経営に影響します。来期以降の予算編成に向けて、どの程度のコスト増になるのかを今のうちにシミュレーションしておくことが重要です。

    • ポイント2:パート・アルバイトへの「手取り減少」に関する丁寧な事前説明

      解説:現場で注意すべきなのは、制度開始後に給与明細を見たアルバイトから「聞いていない」「時給が下がった」と受け止められることです。雇用保険加入には、失業等給付、育児休業給付、教育訓練給付など、労働者側のメリットもあります。施行前には対象者に対して説明会や個別面談を実施し、国の制度改正による加入であること、保険料負担が生じること、加入により受けられる給付があることを丁寧に伝える必要があります。

    • ポイント3:給与計算システムの改修と社内運用のアップデート

      解説:週10時間以上の従業員に対する雇用保険料の控除設定など、給与計算システムのパラメータ変更が必要になります。特に、シフト制で「週10時間を超えたり下回ったりする」従業員については、今後示される実務上の取扱いを確認しながら運用ルールを整備する必要があります。経理・人事部門は、利用している給与ソフトのベンダーがいつ頃アップデート対応を行うのかを確認し、施行直前に慌てないよう検証スケジュールを確保しておきましょう。


5. 【助成金・補助金】中小企業省力化投資補助金の活用。バックオフィスDXは「一般型」も含めて検討を

  • ニュース概要:

    深刻な人手不足に対応するため、中小企業省力化投資補助金では、IoT、ロボット、デジタル技術等を活用した省力化投資を支援しています。制度には、カタログに登録された汎用製品を導入する「カタログ注文型」と、個別の現場や事業内容に合わせた設備導入・システム構築を支援する「一般型」があります。

    人事・労務・経理などのバックオフィス業務についても、勤怠管理、給与計算、労務手続き、評価管理などのシステム化により、担当者の作業時間を削減できる可能性があります。ただし、補助対象となるかどうかは、導入するシステムの内容、事業計画、補助金の公募要領、製品カタログの登録状況等により異なります。導入前に必ず最新の公募要領・対象経費・申請要件を確認する必要があります。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:「カタログ注文型」と「一般型」の違いを確認する

      解説:カタログ注文型は、登録された製品カタログから対象製品を選んで導入する仕組みです。一方、一般型は、業務プロセスの自動化・高度化、DX、個別の設備導入・システム構築など、多様な省力化投資を対象とする公募回制の補助金です。人事労務システムやバックオフィスSaaSを導入する場合、「カタログに載っているから対象」「クラウドシステムだから対象」と安易に判断せず、どの型で申請可能か、対象経費に該当するかを確認することが重要です。

    • ポイント2:勤怠・給与・評価の「データ連携(シームレス化)」を狙う

      解説:システムを導入する際、勤怠管理はA社のソフト、給与計算はB社、評価はエクセル、とバラバラにしてしまうと、結局データ入力の手間が増えてしまいます。補助金を活用するなら、この機会に「勤怠データを給与計算へ連携できる」「従業員情報、評価履歴、配置情報を一元管理できる」といった、データがシームレスに連携する統合型の人事労務システム、またはAPI連携が容易なシステム群の導入を検討しましょう。

    • ポイント3:浮いた時間を「採用・人材育成」というコア業務へシフト

      解説:システムの導入による「省力化」はゴールではなくスタートです。補助金の申請ストーリーとしても重要なのは、「システム化によって削減できた人事担当者の労働時間を、何に振り向けるのか」という点です。給与計算の転記作業や勤怠集計といった作業から解放された時間を、従業員との1on1面談、採用ブランディング戦略の立案、社内研修の企画、評価制度の運用改善といった「本来人事がやるべき価値創造業務」へシフトさせる経営ビジョンを描きましょう。


変化の多い労務環境だからこそ、先回りの制度設計を

今回取り上げた5つのテーマは、一見すると別々の問題のように思えますが、すべて「これからの人手不足時代において、いかにリスクを抑えて優秀な人材を定着させるか」という一つの経営課題に繋がっています。

固定残業代の見直しといった法令遵守(コンプライアンス)の徹底は、予期せぬコストを抑える防御の要です。同時に、育児支援やアルムナイ採用、バックオフィスのIT化といった攻めの投資を組み合わせることで、大手企業に負けない魅力的な職場環境を整えることができます。

自社の就業規則や雇用契約書が最新の法改正に対応できているか不安な場合や、各種助成金・補助金を活用したシステム刷新について具体的なアドバイスを必要とされる場合は、ぜひ一度ヒューマンリソースコンサルタントへご相談ください。貴社の現状を丁寧にヒアリングし、現実的で効果的な運用プランを伴走支援いたします。

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