「公休」と「欠勤」「有給休暇」は何が違う?給与計算での正しい扱いは?
この記事でわかること
- 公休・欠勤・有給休暇それぞれの法的な位置づけと違い
- 欠勤控除の計算式を誤ると起こる賃金の過少・過大払いリスク
- 就業規則の明文化から皆勤手当の点検までの具体的な3ステップ
- 有給休暇取得日を欠勤扱いにしてしまう誤った運用の危険性
結論:公休は「そもそも働く義務がない日」、欠勤は「働く義務がある日に休むこと」、有給休暇は「働く義務がある日に賃金を保障して休むこと」であり、この違いを理解しないと給与計算や勤怠管理でミスが生じます
公休・欠勤・有給休暇は、いずれも「会社に出勤しない日」という点では共通しますが、法的な位置づけと給与計算上の扱いが全く異なります。実務担当者や現場の管理職の間でもこの3つの違いがあいまいなまま運用されているケースが多く、給与計算のミスや従業員とのトラブルの原因になっています。
3つの用語の違いを正しく理解する
公休とは
公休とは、そもそも労働契約上「働く義務がない日」、つまり所定休日(会社カレンダー上の休日、例えば週休二日制の土日や祝日)を指します。公休日は労働義務がないため、欠勤にも有給休暇にもあたらず、その日について賃金を支払う義務も(完全月給制で休日分も含めて月給を設定している場合を除き)発生しません。
欠勤とは
欠勤とは、本来労働義務がある所定労働日に、労働者の都合で労務を提供しなかったことを指します。ノーワーク・ノーペイの原則により、欠勤した日については賃金を支払う義務がないのが原則です(ただし、月給制の場合は就業規則で定めた計算方法に基づき、欠勤控除として給与から差し引く形が一般的です)。
有給休暇とは
有給休暇(年次有給休暇)とは、労働基準法で定められた、労働者の心身のリフレッシュ等を目的とした休暇制度で、本来は労働義務がある日に休みながら、賃金は通常どおり支払われる(または平均賃金・標準報酬日額での支払いとする方法も選択可能)点が最大の特徴です。
なぜこの違いが実務上重要なのか
欠勤控除の計算式を誤ると賃金の過少・過大払いにつながる
月給制の従業員が欠勤した場合の給与控除は、「月給 ÷ 所定労働日数 × 欠勤日数」のように、就業規則で定めた計算式に基づいて行う必要があります。この計算式が就業規則に明記されていないと、控除額の妥当性をめぐってトラブルになる可能性があります。
有給休暇の取得率算定・付与日数の管理に直結する
有給休暇を取得した日を誤って欠勤扱いにしてしまうと、賃金が支払われないだけでなく、有給休暇取得義務(年5日)の管理上も不正確な記録になってしまいます。
皆勤手当・精皆勤手当の支給要件に影響する
皆勤手当を「欠勤ゼロ」を条件に支給している企業では、有給休暇を取得した従業員の皆勤手当を減額・不支給とする運用が、有給休暇取得の抑制につながる(労働基準法で禁止される不利益取扱いに該当しうる)として問題視されることがあります。皆勤手当の算定において、有給休暇の取得を欠勤と同様に扱う設計は避けるべきです。
実務対応ステップ
ステップ1:就業規則・給与規程で3つの用語の定義と計算式を明文化する
「公休」「欠勤」「有給休暇」それぞれの定義と、月給から欠勤控除を行う際の具体的な計算式を、就業規則・賃金規程に明記します。
ステップ2:勤怠管理システム・出勤簿の区分を整理する
勤怠管理システム上で、公休・欠勤・有給休暇・特別休暇などの区分を正しく設定し、担当者や管理職が入力を誤らないよう、区分ごとの判断基準をマニュアル化します。
ステップ3:皆勤手当等の支給要件を点検する
皆勤手当・精皆勤手当を設けている場合、有給休暇の取得を不支給・減額の理由にしていないかを確認し、必要に応じて規定を見直します。
注意点・リスク
- 完全月給制(欠勤控除を行わない給与体系)を採用している場合、そもそも欠勤控除の計算式自体が不要なケースもあります。自社の給与体系(日給月給制か、完全月給制か)を正確に把握したうえで規程を整備してください。
- 有給休暇を取得した日を「欠勤」として扱う誤った運用は、労働基準法違反(有給休暇取得の不利益取扱い禁止)に該当するリスクがあります。
- 公休日に休日出勤をさせた場合の割増賃金の要否(法定休日か所定休日かによって割増率が異なります)についても、あわせて正しく理解しておく必要があります。
中小企業ならではの工夫
給与計算を兼務で担当している中小企業では、用語の混同によるミスが起こりやすいため、社内向けに「公休・欠勤・有給休暇の違い」を1枚にまとめた早見表を作成し、勤怠入力を行う現場の管理職にも共有しておくことをおすすめします。
まとめ
公休・欠勤・有給休暇は似て非なる概念であり、給与計算・勤怠管理のミスの多くはこの区分のあいまいさから生じます。就業規則での明文化と、勤怠管理システム上の正しい区分運用を徹底しましょう。
よくある質問
Q. 公休日に出勤させた場合、割増賃金は必要ですか?
A. 法定休日か所定休日かによって割増率が異なります。法定休日(週1日または4週4日の休日)に労働させた場合は休日労働の割増賃金(原則1.35倍)が必要ですが、法定休日以外の所定休日の労働は、週の法定労働時間を超えた部分について時間外労働の割増賃金(原則1.25倍)が必要になるという整理が一般的です。
Q. 欠勤控除の計算式はどのように決めればよいですか?
A. 法律で計算式が一律に定められているわけではなく、就業規則で定めた計算方法に基づいて行います。「月給 ÷ 所定労働日数 × 欠勤日数」といった計算式を就業規則に明記しておくことで、控除額の妥当性をめぐるトラブルを防ぐことができます。
Q. 皆勤手当は有給休暇を取得した従業員から減額してもよいですか?
A. 皆勤手当を「欠勤ゼロ」を条件に支給している場合でも、有給休暇の取得を理由に減額・不支給とする運用は、有給休暇取得の抑制につながるとして労働基準法上問題視されることがあります。有給休暇の取得を欠勤と同様に扱う設計は避けることが望ましいです。

