子ども・子育て支援金とは?仕組みと令和8年度の支援金率・負担額をわかりやすく解説
用語が注目される背景
子ども・子育て支援金制度は、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第47号)に基づき創設されました。少子化対策を強化するための「こども未来戦略・加速化プラン」を支える財源の一部として、2026年度から医療保険料とあわせた徴収が始まっています。
従業員本人の給与控除だけでなく、企業の法定福利費にも影響するため、人事・総務・経理担当者は制度の仕組みと計算方法を把握する必要があります。
制度・仕組み・構成要素
- 徴収の方法:加入している医療保険制度を通じ、保険料とあわせて徴収します。
- 被用者保険の負担者:協会けんぽや健康保険組合などでは、原則として被保険者と事業主が折半して負担します。
- 2026年度の支援金率:被用者保険では0.23%(本人負担相当0.115%、事業主負担相当0.115%)です。
- 算定の基礎:毎月は標準報酬月額、賞与は標準賞与額を用います。実際の月々の手取り額や年収に一律に率を掛けるものではありません。
- 徴収開始:協会けんぽの一般被保険者では2026年4月分(5月納付分)からです。通常の翌月控除では5月支給給与からの天引きが目安です。
- 使い道:児童手当の拡充、妊婦のための支援給付、出生後休業支援給付、育児時短就業給付、こども誰でも通園制度などの子育て支援施策に充てられます。
国民健康保険と後期高齢者医療制度の加入者にも支援金が設けられていますが、保険料率や負担額の決め方は被用者保険とは異なります。国民健康保険は市町村、後期高齢者医療制度は都道府県の後期高齢者医療広域連合の定めに基づいて算定します。
制度は段階的に導入され、2028年度の被用者保険の支援金率は0.4%程度と見込まれていますが、これは将来の見込みであり、確定した適用料率ではありません。
令和8年度の負担額の目安
2026年度の被用者保険における支援金率0.23%を用いた試算です。従業員本人が負担する金額は、原則として支援金総額の半分となります。
| 算定の基礎 | 支援金総額 | 本人負担相当額 | 事業主負担相当額 |
|---|---|---|---|
| 標準報酬月額20万円 | 月額460円 | 月額230円 | 月額230円 |
| 標準報酬月額30万円 | 月額690円 | 月額345円 | 月額345円 |
| 標準報酬月額40万円 | 月額920円 | 月額460円 | 月額460円 |
| 標準賞与額50万円(1回) | 1,150円 | 575円 | 575円 |
表は単純な計算例です。実際の控除額は、健康保険料等との計算・端数処理や保険者の保険料額表によって確認してください。賞与の標準賞与額は、税引前の賞与総支給額の1,000円未満を切り捨てた額で、健康保険制度上の上限にも注意が必要です。
類似用語との違い
| 用語 | 内容・負担の特徴 |
|---|---|
| 子ども・子育て支援金 | 2026年度から導入。医療保険制度を通じて徴収し、被用者保険では原則として被保険者と事業主が折半します。 |
| 健康保険料 | 主に病気・けが等に対する医療保険給付のための保険料。支援金とは目的・料率が区分されています。 |
| 子ども・子育て拠出金 | 従来からある別制度です。2026年度の拠出金率は0.36%で、厚生年金保険の被保険者を使用する事業主が全額負担し、従業員からは控除しません。 |
| 介護保険料 | 介護保険制度の財源です。40~64歳の医療保険加入者と、65歳以上の第1号被保険者では徴収方法等が異なります。 |
| 児童手当 | 一定の要件により子どもを養育する人に支給される給付で、支援金はその拡充等を支える財源の一部です。 |
子ども・子育て支援金と子ども・子育て拠出金は、名称が似ていても異なる制度です。 支援金の会社負担分と、拠出金の事業主負担額は、重複計上や計上漏れがないよう分けて管理してください。
人事労務上のメリット
- 支援金の算定方法を理解することで、給与・賞与計算の設定誤りを防ぎやすくなります。
- 従業員に控除額の理由を説明でき、手取り額に関する問い合わせに対応しやすくなります。
- 会社が負担する支援金を法定福利費の見通しに反映でき、賃金改定や採用計画の精度を高められます。
実務上の課題・注意点
毎月の給与に加えて、対象となる賞与にも支援金がかかります。加入先の保険者が公表する保険料額表、給与計算システムの設定、保険料控除の開始月、賞与計算を確認してください。
また、育児休業等によって健康保険料が免除される期間は、子ども・子育て支援金も免除されます。保険料免除の対象月や賞与の免除要件を、通常の健康保険料の取扱いとあわせて確認する必要があります。
こども家庭庁は、給与明細に支援金額を健康保険料と区分して示すよう事業主に協力を求めています。区分表示そのものは法令上の義務ではありませんが、内訳が分かる表示は従業員への説明に役立ちます。
中小企業における活用方法
中小企業では、給与計算の確認に加え、賃金改定や賞与の説明の際に、法定福利費の変化を踏まえて総額人件費を把握することが重要です。従業員への説明では、給与の総支給額、社会保険料等の控除、手取り額の関係を区別して伝えましょう。
導入・対応手順
- 加入している医療保険の2026年度保険料額表と、支援金の適用開始月を確認する。
- 給与計算ソフト・委託先の設定で、本人負担額と会社負担額を確認する。
- 賞与に係る標準賞与額と支援金の計算が反映されているか確認する。
- 育児休業等による保険料免除と端数処理を確認する。
- 給与明細の表示方法を決め、従業員向けの説明資料を整える。
- 会社負担分を法定福利費に計上し、年間の人件費見通しに反映する。
確認チェックリスト
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 制度開始 | 2026年4月分の保険料から適用されることを確認したか |
| 支援金率 | 被用者保険の2026年度支援金率0.23%を反映したか |
| 給与・賞与 | 標準報酬月額と標準賞与額に基づいて計算しているか |
| 労使負担 | 従業員負担分と事業主負担分を正しく区分しているか |
| 免除・端数 | 育児休業等の免除と端数処理を確認したか |
| 給与明細 | 支援金額の内訳を従業員に説明できるか |
| 既存の拠出金 | 子ども・子育て拠出金0.36%と区別しているか |
よくある質問
Q. 子ども・子育て支援金の支援金率は、毎年同じですか。
同じとは限りません。被用者保険の2026年度支援金率は0.23%です。2028年度は0.4%程度との見込みが示されていますが、将来の確定料率ではないため、毎年度の公表資料を確認してください。
Q. 子ども・子育て支援金は、会社が全額負担するのですか。
いいえ。協会けんぽや健康保険組合等の被用者保険では、原則として従業員と事業主が折半します。会社が全額負担する既存の「子ども・子育て拠出金」とは異なります。
Q. 国民健康保険の加入者にも子ども・子育て支援金はかかりますか。
はい。国民健康保険の加入者にも2026年度から支援金があります。ただし、負担額は市町村の条例に基づいて世帯や所得等に応じて定められ、被用者保険の労使折半とは異なります。
Q. 支援金は賞与からも徴収されますか。
はい。対象となる賞与については、標準賞与額をもとに支援金を計算します。毎月の給与と賞与の両方で計算設定の確認が必要です。
Q. 給与明細に支援金を別項目で表示する義務はありますか。
支援金額を健康保険料と区分して表示すること自体は法令上の義務ではありません。こども家庭庁は、制度への理解を深めるため、区分表示への協力を求めています。
Q. 育児休業中も子ども・子育て支援金が徴収されますか。
育児休業等に伴い医療保険料が免除される場合は、支援金も免除されます。免除月や賞与の取扱いは加入先の制度と届出内容に基づき確認してください。
まとめ
子ども・子育て支援金は、2026年4月から医療保険制度を通じて徴収が始まった、子育て支援施策の財源を支える仕組みです。2026年度の被用者保険の支援金率は0.23%で、原則として従業員と事業主が折半します。
企業は、毎月の標準報酬月額と標準賞与額に基づく給与・賞与計算を確認するとともに、既存の子ども・子育て拠出金との違いを理解し、従業員への説明と法定福利費の管理を進めましょう。
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