労務費の適正な転嫁のための価格交渉に関する指針とは?

人事制度や労務管理に関する最新トレンドを分かりやすく解説しています。

労務費の適正な転嫁のための価格交渉に関する指針とは?

労務費の適正な転嫁のための価格交渉に関する指針とは、内閣官房・公正取引委員会が示す、労務費(人件費)の上昇分を発注企業・受注企業の間の取引価格にどう反映すべきかの考え方をまとめた指針です。2023年に策定され、2025年12月26日に改正されています。

目次

用語が注目される背景

最低賃金の引き上げや人材確保競争の激化により、多くの企業で労務費が上昇する一方、発注企業との取引価格に反映できず、賃上げの原資を確保できないという課題が指摘されてきました。この指針は、労務費上昇分を取引価格に反映させることが正当な行為であるという考え方を示し、中小企業の賃上げを後押しする目的で策定されています。あわせて中小企業庁が毎年3月・9月に実施する「価格交渉促進月間」と連動する形で活用が進められています。

制度・仕組み・構成要素

労務費転嫁指針の主な構成要素は次のとおりです。

  • 策定主体:内閣官房・公正取引委員会(2023年策定)
  • 対象:発注企業(価格を決定する側)・受注企業(労務費上昇分の転嫁を求める側)の双方
  • 内容:労務費上昇分を「コストとして取引価格に反映させてよい」という考え方や、望ましい価格交渉のあり方を提示
  • 2025年12月26日改正:労務費転嫁の実施事例の追加、2026年1月1日施行の中小受託取引適正化法との整合を図る改正等
  • 連動する取り組み:中小企業庁「価格交渉促進月間」(毎年3月・9月)

類似用語との違い

「労務費の適正な転嫁のための価格交渉に関する指針」と「賃金制度」は、いずれも賃上げに関わる概念ですが、対象とする関係が異なります。

用語対象とする関係
労務費転嫁指針発注企業と受注企業(自社と取引先)との間の取引価格の関係
賃金制度自社と従業員との間の賃金決定の仕組み

自社内部の賃金決定の仕組みについては、既存用語集「賃金制度」もあわせてご確認ください。

人事労務上のメリット

  • 労務費上昇分を取引価格に反映できれば、賃上げの原資を自社の利益を削らずに確保しやすくなる
  • 指針を根拠として、取引先に労務費上昇分の説明・交渉を行いやすくなる
  • 価格交渉促進月間にあわせて交渉の機会を計画的に設けられる

実務上の課題・注意点

指針は望ましい行動を示すものであり、価格転嫁そのものを法的に義務付けるものではありません。転嫁を実現するには、自社の労務費上昇分を具体的な数値で示せる資料を準備し、取引先と交渉する必要があります。また、優越的地位の濫用など独占禁止法・下請法上の問題が疑われる取引慣行がある場合は、別途、公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口を利用することができます。

中小企業における活用方法

中小企業は、価格交渉促進月間(3月・9月)にあわせて、主要取引先との価格交渉の機会を計画的に設けることが有効です。労務費上昇の根拠となる資料(最低賃金の推移、社会保険料率、賃上げの実施状況等)をあらかじめ整理しておくことで、交渉をスムーズに進めやすくなります。

導入・対応手順

  1. 自社の労務費上昇分を数値で整理する
  2. 価格交渉促進月間にあわせて、主要取引先との交渉機会を設ける
  3. 交渉の結果を踏まえ、確保できた原資を賃上げにどう配分するか検討する

確認チェックリスト

確認項目内容
労務費上昇の可視化自社の労務費上昇分を数値で説明できるか
交渉機会の活用価格交渉促進月間を交渉に活用できているか
原資の配分方針得られた原資を賃金制度にどう反映するか方針があるか

よくある質問

労務費転嫁指針は法律ですか。

法律そのものではなく、内閣官房・公正取引委員会が示す指針(ガイドライン)です。ただし、優越的地位の濫用等が疑われる場合は独占禁止法・下請法の問題となる可能性があります。

価格交渉促進月間はいつ実施されますか。

中小企業庁により、毎年3月と9月に実施されています。

労務費転嫁指針の対象は大企業だけですか。

発注企業・受注企業の双方が対象であり、中小企業も受注企業として活用できる内容です。

まとめ

労務費の適正な転嫁のための価格交渉に関する指針とは、労務費上昇分を取引価格に反映させる考え方を示す公的な指針であり、2025年12月26日に改正されています。中小企業は、価格交渉促進月間を活用しながら、労務費上昇分の転嫁と賃上げの原資確保に取り組むことが重要です。

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本記事の情報確認日:2026年9月18日

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