雇用保険の適用拡大とは?週10時間以上へ広がる改正の内容をわかりやすく解説
用語が注目される背景
パート・アルバイトなど短時間で働く人が増えるなか、雇用保険による保障をより多くの労働者に広げるための改正です。2024年5月17日に公布された令和6年法律第26号により、2028年10月1日から週所定労働時間10時間以上20時間未満の労働者も、その他の条件を満たせば雇用保険の被保険者となります。
制度・仕組み・構成要素
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 2028年(令和10年)10月1日 |
| 週所定労働時間 | 現行は原則20時間以上。改正後は原則10時間以上 |
| 雇用見込み | 原則、同一の事業主に引き続き31日以上雇用される見込みが必要 |
| 学生 | 昼間学生は原則適用除外。休学中や卒業後も継続雇用される予定の者など、例外あり |
| 給付 | 基本手当、教育訓練給付、育児休業給付等について、それぞれの受給要件を満たせば対象となる |
| 法律 | 雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号) |
今回の改正は、週所定労働時間の基準を引き下げるものです。単に週10時間働いていれば、雇用見込みや学生の区分に関係なく全員が加入するという意味ではありません。
また、適用拡大に合わせ、基本手当の被保険者期間を算定する際の基準は、2028年10月1日から、賃金支払基礎日数6日以上または賃金支払基礎時間40時間以上の月を1か月として計算する仕組みに見直されます。
類似用語との違い
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| 雇用保険の適用拡大 | 2028年10月から、週所定労働時間の基準を10時間以上へ引き下げる改正 |
| 社会保険の適用拡大 | 健康保険・厚生年金保険の短時間労働者への適用拡大。2026年10月に賃金要件が原則撤廃され、企業規模要件も2027年10月以降段階的に見直される。週20時間以上の要件などは別途確認が必要 |
| 教育訓練休暇給付金 | 一定の条件で教育訓練のための無給休暇を取得した際に支給される給付。2025年10月1日施行済み |
| 基本手当 | 雇用保険の被保険者が離職し、受給要件を満たして失業している場合に支給される給付 |
人事労務上のメリット
- 短時間勤務者についても、受給要件を満たせば失業時や育児休業時などの保障を受けられる
- 教育訓練給付などの利用可能性を従業員に案内しやすくなる
- 雇用契約書や勤務実態の整備を進め、短時間勤務者の処遇を点検する機会になる
実務上の課題・注意点
新たな加入対象となる労働者が増えると、資格取得手続と雇用保険料の会社負担が増えます。シフト制で週所定労働時間が固定されていない場合には、雇用契約書・労働条件通知書の内容、予定シフトや勤務実態を確認し、所定労働時間の取扱いを整理する必要があります。
なお、2026年度の雇用保険料率は、一般の事業では労働者負担が5/1,000、事業主負担が8.5/1,000です。2028年度に適用される保険料率は、施行前の最新公表資料で確認してください。
中小企業における活用方法
まずパート・アルバイトの週所定労働時間を一覧にし、週10時間以上20時間未満で働く労働者の人数を把握します。雇用見込み期間、学生区分、シフトの変動も確認し、加入見込み人数と会社負担を試算します。
雇用保険への加入を避けるため、会社が一方的に労働時間を短縮することは、労働条件変更に関する紛争につながる可能性があります。制度変更は従業員へ説明し、適正な手続で行うことが重要です。
導入・対応手順
- パート・アルバイトの週所定労働時間を一覧化する
- 週10時間以上20時間未満の従業員を把握する
- 31日以上の雇用見込み、学生区分、その他の適用除外を確認する
- シフト制の契約内容と実際の運用状況を点検する
- 2028年度の最新保険料率で本人・会社の負担額を試算する
- 資格取得届の提出体制や給与計算の設定を整え、施行前に従業員へ説明する
確認チェックリスト
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 2028年10月1日からの適用拡大として準備しているか |
| 対象者 | 週10時間以上20時間未満の労働者を把握できているか |
| その他の加入要件 | 雇用見込み期間や学生区分を確認しているか |
| 契約書 | 労働条件通知書等に記載した所定労働時間が実態と整合しているか |
| 保険料 | 最新の雇用保険料率で会社負担を試算する準備ができているか |
| 制度の区別 | 健康保険・厚生年金の適用拡大とは別の制度として説明できるか |
よくある質問
Q. 週10時間以上の雇用保険適用拡大はいつからですか。
2028年(令和10年)10月1日からです。2026年10月時点では、原則として週20時間以上という現行基準が適用されています。
Q. 週10時間未満の人も加入対象になりますか。
2028年10月からの一般的な適用拡大では、週所定労働時間10時間未満の人は原則として対象外です。日雇労働被保険者など、特別な制度に該当する場合は個別に確認が必要です。
Q. 学生アルバイトも対象になりますか。
昼間学生は原則として雇用保険の適用対象外です。ただし、休学中や卒業後も引き続き勤務する予定の学生など、例外があります。
Q. 加入すれば必ず基本手当や育児休業給付が受け取れますか。
いいえ。加入後、各給付について被保険者期間や離職・休業の状況など、個別の受給要件を満たす必要があります。
Q. 健康保険・厚生年金も2028年10月から週10時間以上になりますか。
いいえ。健康保険・厚生年金の短時間労働者への適用拡大は別制度です。2026年10月に原則として賃金要件が撤廃され、2027年10月には企業規模要件が36人以上へ拡大されますが、週所定労働時間20時間以上の要件等は別に定められています。
まとめ
雇用保険の適用拡大は、2028年10月1日から週所定労働時間の基準を20時間以上から10時間以上へ引き下げる改正です。雇用見込み期間や学生の適用除外など、労働時間以外の要件にも注意してください。中小企業では、対象者の把握、雇用契約書の整備、保険料の試算、従業員への説明を順に進めることが重要です。
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