【2026年5月後半】秋の最低賃金は1100円超え?/AI人材育成の全額補助など人事ニュース5選

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【2026年5月後半】秋の最低賃金は1100円超え?/AI人材育成の全額補助など人事ニュース5選

2026年5月後半は、秋の改定に向けた「最低賃金」の審議スタートや、全額補助も可能となる新たな「AI・DX人材育成プラン助成金」の公募開始など、中小企業のコスト管理と生産性向上に直結する重要な動きが相次いでいます。さらに、目前に迫る障害者法定雇用率の引き上げや、法制化が進むカスハラ対策など、経営リスクの回避と体制見直しが急務となっています。

本記事では、これらの中小企業経営者・人事担当者の皆様が今すぐ押さえておくべき最新の人事・労務ニュース5選を厳選。実務で役立つ3つのポイントと併せて詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 秋の最低賃金引き上げ(全国平均1100円超え)を見据えた賃金逆転現象の回避と価格転嫁。
  • 全額補助も可能な「AI・DX人材育成プラン」助成金を活用した全社員のITリテラシー向上策。
  • 7月施行の「障害者法定雇用率2.7%」への引き上げと、対象となる企業の実務対応。
  • 法制化が進むカスハラ対策と、企業に求められる「従業員を守る」ための体制構築。
  • フリーランス新法の実態調査から見えた、発注フロー見直しと下請け管理の厳格化。

目次

1. 最低賃金の引き上げ審議スタート。秋に向けて「全国平均1100円超え」の公算

  • 公表日時: 2026年5月28日 (中央最低賃金審査会)
  • ニュース概要の抜粋:

    今年度の地域別最低賃金の改定に向けた、厚生労働省の中央最低賃金審査会が5月28日にスタートしました。物価高騰と深刻な人手不足、さらに春闘での高い賃上げ率を背景に、労働側からは大幅な引き上げを求める声が強く上がっています。昨年度の改定で全国平均はすでに高い水準に達していますが、今年は「全国平均1100円超え」が確実視される情勢です。実際の改定額は7月下旬に目安が示され、10月頃から各都道府県で順次適用されますが、パート・アルバイトを多く抱える飲食業や小売業、さらには地方の製造業などの中小企業にとっては、人件費の急激な増加に直結するため、秋に向けた事前の資金繰りや価格転嫁の戦略立案が待ったなしの状況となっています。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:既存社員の「賃金の圧縮(逆転現象)」に要注意

      解説:最低賃金が引き上げられると、新しく入るアルバイトの時給を上げざるを得ません。その結果、「何年も働いているベテランパート」や「若手正社員」の給与水準と、新人の時給がほとんど変わらなくなる「賃金の圧縮(逆転現象)」が発生します。既存社員の強烈な不満と離職を招くため、最低賃金対策は給与テーブル全体の底上げを前提に考える必要があります。

    • ポイント2:「業務改善助成金」を活用した設備投資とセットの賃上げ

      解説:単に時給を上げるだけでは、企業の利益が圧迫される一方です。事業所内の最低賃金を引き上げ、同時に生産性向上のための設備投資(POSレジの導入、ソフトウェアの刷新、リフトの購入など)を行う企業に対し、その設備費用の一部を補助する「業務改善助成金」を秋までに活用してください。国の補助金を使ってDX化を進め、少ない人数でも回る高利益な体質へ転換するチャンスです。

    • ポイント3:早期の「価格転嫁(値上げ)」シナリオの構築

      解説:人件費の増加を企業努力だけで吸収するのは既に限界を超えています。秋の最低賃金改定による人件費増を見越し、今のうちから商品やサービスの「値上げ(価格転嫁)」に向けた準備を進めてください。取引先に対する価格交渉や、消費者への告知など、値上げには時間がかかります。「賃上げのための適正な価格転嫁」は社会的な理解も得られやすくなっているため、経営者の早急な決断が求められます。


2. 中小企業向け「AI・DX人材育成プラン」の新規助成金がスタート。社内研修を全額補助

  • 公表日時: 2026年5月27日 (経済産業省・厚生労働省)
  • ニュース概要の抜粋:

    経済産業省と厚生労働省は5月27日、中小企業の生産性向上を支援するための新たなパッケージ「次世代型AI・DX人材育成プラン助成金」の公募を開始しました。生成AIの急速な普及により、業務効率化の格差が企業間で広がっていることを受け、外部の専門家を招いた社内研修や、オンライン学習プラットフォームの導入費用を最大100%(上限あり)補助する画期的な内容です。これまで「ITに詳しい社員がいない」「教育に割く予算がない」と二の足を踏んでいた中小企業にとっても、自己負担ゼロで全社員のITリテラシーを底上げできる絶好の機会となります。申請手続きも大幅に簡素化され、年度内の早期予算消化が見込まれています。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:「一部のIT担当者」から「全社員のリテラシー向上」へ

      解説:これまでDX研修といえば、システム部門などの一部の社員に専門的なプログラミングを学ばせるものが主流でした。しかし今回の助成金の狙いは、営業、総務、経理など「現場の全社員」がAIやデジタルツールを使いこなし、日常業務を効率化することにあります。全社員向けの「ITリテラシー基礎研修」などを導入し、組織全体の底上げを図るチャンスとして活用してください。

    • ポイント2:実務に直結する「生成AIプロンプト研修」などを優先

      解説:補助対象となる研修内容は幅広いため、自社にとって即効性のあるものを選ぶことが重要です。例えば「ChatGPTなどの生成AIを使って、議事録の作成や企画書の案出しをどう自動化するか(プロンプトエンジニアリング)」といった研修は、翌日からすぐに業務時間の削減につながります。自社の課題に直結するカリキュラムを持つ外部研修機関を選定しましょう。

    • ポイント3:簡素化された申請フローと早期のアクションが必要

      解説:従来の人材開発系の助成金は「訓練計画の作成が複雑で面倒」という声が多数でしたが、今回の新プランではWeb上での申請プロセスが大幅に簡素化されています。ただし、条件が良い助成金ほど予算の上限に達して早期終了する傾向があります。「秋以降に時間ができたら考えよう」ではなく、発表された今のタイミングで社労士や研修会社に相談し、いち早く申請枠を確保することが肝要です。


3. 7月の「障害者法定雇用率2.7%」引き上げ目前。対象は従業員37.5人以上の企業へ

  • 公表日時: 2026年5月26日 (厚生労働省・各都道府県労働局 周知発表)
  • ニュース概要の抜粋:

    2026年7月1日より、民間企業の障害者法定雇用率が現在の2.5%から「2.7%」へと引き上げられます。これに伴い、障害者を1人以上雇用しなければならない企業の対象範囲が、現行の「従業員40人以上」から「従業員37.5人以上」へと拡大されます。5月26日、厚労省は新たに対象となる中小企業に対し、期日までの環境整備とハローワーク等への求人申し込みを急ぐよう最終的な周知を行いました。法定雇用率が未達成の企業(常用労働者100人超)には納付金の徴収などのペナルティがあるほか、近年はESG経営の観点からもコンプライアンス要請が強まっています。精神障害者などの雇用ノウハウを蓄積することが、今後の人材確保の鍵として注目されています。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:新たに対象となる「37.5人以上」の企業は急ぎ確認を

      解説:これまで障害者雇用の義務がなかった「従業員数38人〜39人」の企業も、7月からは新たに雇用義務が発生します(※パートタイマー等の計算方法に注意)。義務の対象となる企業は、毎年ハローワークへ雇用状況の報告義務が生じます。自社が対象要件に該当していないか、直近の従業員数を人事・労務部門で正確に再カウントし、未対応の場合は直ちに採用活動に向けた準備を開始してください。

    • ポイント2:「精神障害・発達障害」への理解と業務の切り出し

      解説:身体障害者の採用は売り手市場で競争が激化しており、中小企業が新規に採用するのは非常に困難です。今後は、精神障害や発達障害を持つ方々の採用にシフトする必要があります。彼らが能力を発揮しやすいよう、「データ入力」「社内清掃」「定型的な書類チェック」など、マニュアル化しやすく集中力を活かせる業務を洗い出し(業務の切り出し)、社内の受け入れ態勢を整えることが成功の秘訣です。

    • ポイント3:助成金のフル活用と定着支援(ジョブコーチ)の導入

      解説:障害者雇用には、設備改修や専任の指導員配置などコストがかかりますが、国は「特定求職者雇用開発助成金」や「障害者作業施設設置等助成金」など手厚い支援を用意しています。また、採用後に職場に定着してもらうため、外部の専門家である「ジョブコーチ(職場適応援助者)」を無料で派遣してもらう制度も活用できます。自社だけで抱え込まず、外部リソースを徹底的に活用しましょう。


4. カスハラ対策の法制化へ向けた具体案提示。企業に「従業員を守る義務」

  • 公表日時: 2026年5月24日 (厚生労働省 労働政策審議会)
  • ニュース概要の抜粋:

    顧客等からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)への対策について、厚生労働省の審議会は5月24日、事業主に防止措置を義務付ける法案の具体的なガイドライン案を提示しました。これまで「お客様第一」の風潮から現場任せになりがちだったカスハラですが、従業員の精神疾患や離職の主要因となっていることから、国が明確に法整備へ踏み切ります。本案では、顧客からの不当な要求に対する対応マニュアルの策定や、相談体制の整備、悪質なクレームから従業員を守るための社内体制構築が企業に義務付けられます。最前線で働く従業員をいかに守るかが、今後の採用力や定着率を左右する死活問題となります。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:「お客様第一」から「従業員保護」への経営者の意識転換

      解説:カスハラ対策の第一歩は、経営者自身が「不当な要求をする相手は、もはやお客様ではない」と割り切る覚悟を持つことです。「多少の理不尽は我慢して対応しろ」という昭和の営業スタイルは、今の時代では明確な安全配慮義務違反に問われます。トップ自らが「悪質なクレーマーからは会社が壁となって従業員を全力で守る」というメッセージを社内外に発信することが不可欠です。

    • ポイント2:現場が迷わない「対応マニュアルとエスカレーション」の策定

      解説:現場の従業員が最も恐れるのは、「どこまで毅然と対応していいか分からない」ことです。「大声を出す」「土下座を要求する」「長時間の居座り」など、カスハラに該当する行為の定義を明確にし、「このラインを超えたら上司に代わる」「警察や弁護士に連絡する」といった具体的な行動基準(エスカレーションフロー)をマニュアル化し、全社員に周知徹底してください。

    • ポイント3:悪質クレームを個人で抱えさせない組織体制の構築

      解説:カスハラを受けた従業員は、強い恐怖と自責の念に駆られます。クレーム対応を個人の責任に帰するのではない、複数名で対応する仕組みや、事後のメンタルケア(産業医面談や相談窓口の案内)を迅速に行う体制が必要です。また、悪質な事例については、顧問弁護士と連携して法的な警告文を送るなど、組織として断固たる処置をとるプロセスを整えておくことが重要です。


5. フリーランス新法に基づく立ち入り検査結果公表。中小企業に書面交付等の徹底を指導

  • 公表日時: 2026年5月21日 (公正取引委員会・厚生労働省 合同発表)
  • ニュース概要の抜粋:

    公正取引委員会と厚生労働省は5月21日、施行から一定期間が経過した「フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)」に関する初の合同立ち入り検査の結果を公表しました。ITエンジニアやデザイナー、ライター等に業務を委託している中小企業を中心に調査が行われ、業務委託時の「書面やメールでの条件明示義務」の違反や、期日(原則60日以内)までの報酬支払い遅延が多数確認されました。正社員の採用難から外部の業務委託を活用する企業が増える一方、フリーランスを都合のいい「下請け」のように扱う古い体質が残る企業に対しては、行政指導や社名公表などの厳しい措置がとられるため、社内の発注フローの抜本的な見直しが求められています。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:「口約束」は即法令違反に。電子メール等での条件明示

      解説:「いつもの仕事、適当によろしく」「後で請求書回しておいて」といった口頭での発注は、フリーランス新法において完全に違法となります。業務を依頼する際は、必ず業務内容、報酬額、支払期日などを記載した書面、または電子メールやチャットツールでのテキスト形式で条件を明示しなければなりません。現場の担当者が無意識に違法発注を行わないよう、社内の発注フォーマットを統一しましょう。

    • ポイント2:「納品から60日以内」の厳格な支払いルールの徹底

      解説:新法では、フリーランスへの報酬支払いは「成果物の受領日(納品日)から起算して60日以内」かつ「できる限り短い期間内」に行うことが義務付けられています。自社の月末締め・翌々月末払いといった従来の支払いサイクルが、この「60日ルール」に抵触していないか経理部門と確認してください。検収(チェック)が遅れたという理由で支払いを引き延ばすことも禁止されています。

    • ポイント3:フリーランスに対する「ハラスメント対策」も義務化

      解説:盲点になりがちですが、フリーランスに対するセクハラ・パワハラ・マタハラ等の防止措置も発注企業の義務です。正社員と同じように、フリーランスも自社のハラスメント相談窓口を利用できるようにし、対応体制を整備する必要があります。現場の社員が「外部の業者だから」と横柄な態度や無理な要求(カスハラのような行為)をしていないか、管理職によるマネジメント教育を徹底してください。


法改正とコスト増を乗り越え、選ばれる企業へ

今回ご紹介した5つのトピックは、いずれも「法改正に伴う実務のアップデート」と「コスト増加への対応」を企業に求めるものです。

特に最低賃金の引き上げや障害者雇用率の拡大は、経営に直接的な影響を与えます。一方で、カスハラ対策やAI助成金の活用など、いち早く対応することで従業員から「働きやすい会社」として選ばれるための強力な武器にもなり得ます。

具体的な社内ルールの策定や、価格転嫁を含む賃金制度の見直し、助成金の申請などでお困りの際は、ぜひ一度ヒューマンリソースコンサルタントにご相談ください。貴社の状況に合わせた、現実的かつ効果的な解決策をご提案いたします。

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