飲食業向け
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「時給を上げたのに、スタッフの顔色が冴えない」
「リーダー候補だと思っていた学生バイトが、突然辞めたいと言ってきた」
人手不足が加速する昨今、多くの飲食店オーナー様からこのような相談をいただきます。他店に負けないよう、利益を削って時給を上げた。それなのに定着率が上がらない。むしろ、現場の雰囲気は悪くなっている気がする。
もし貴店がこのような状況にあるのなら、それは「時給の額」の問題ではありません。「時給の上げ方(ルール)」に問題があります。
アルバイトスタッフ、特にZ世代を中心とする若手層は、単にお金が欲しいだけで働くのではありません。「自分が正当に評価されているか」「ここで成長できるか」という納得感を求めています。その納得感を生み出す唯一のツールが、明確な基準に基づいた「評価シート」です。
本稿では、飲食業界専門の人事コンサルタントが、現場で機能し、勝手にリーダーが育つ「アルバイト評価制度」の作り方を、ステップバイステップで完全解説します。
時給の「一律アップ」がモチベーションを下げる理由
評価シートの作成に入る前に、まず「なぜ今のやり方ではダメなのか」を理解する必要があります。多くの店舗で良かれと思って行われている「一律ベースアップ」や「感覚的な昇給」が、実は組織を腐らせる原因になっています。
「長くいるだけ」が得をする年功序列の罠
「A君はもう2年働いているから、時給を50円上げよう」
「Bさんは入ったばかりだから、最低賃金スタートで」
一見、合理的で公平に思えるこの判断基準には、大きな落とし穴があります。それは「能力」と「期間」を混同している点です。
飲食店には、入社3ヶ月でもテキパキと仕事をこなし、お客様にファンを作る優秀なスタッフが現れます。一方で、2年働いていても、言われたことしかやらず、陰で不満ばかり言うスタッフも存在します。
もし、勤続年数だけを基準に時給を決めてしまうと、優秀な新人スタッフはどう思うでしょうか。「どれだけ頑張っても、ダラダラ働いている古株の先輩より給料が低い」という現実に直面し、馬鹿らしくなって辞めてしまいます。これが、優秀な人材から先に流出する「悪貨が良貨を駆逐する」メカニズムです。
「公平(Equality)」ではなく「公正(Equity)」な評価を
「みんな一律で時給アップ」は、平和的なようでいて、実は最も不満を生む施策です。
一生懸命働いているスタッフは「サボっている人と同じ評価なのか」と不満を持ち、サボっているスタッフは「適当にやっていても給料が上がる」と勘違いします。
飲食店に必要なのは、結果や貢献度に応じた差をつける「公正(Equity)」な評価です。「何ができるようになれば、いくら上がるのか」というルールが明確であって初めて、スタッフはゲーム感覚でスキルアップを目指すようになります。この「成長の階段」を作ることこそが、評価シート作成の真の目的です。
感謝の賞味期限は「3ヶ月」
行動経済学的な視点でも、理由なき賃上げの効果は限定的です。
スタッフは時給が上がった瞬間は喜びますが、その「ありがたみ」は長くても3ヶ月で薄れます。その後は「上がった時給」が当たり前の基準となり、再び不満を抱き始めます。
しかし、「自分が努力して、テストに合格して勝ち取った時給アップ」であれば話は別です。そこには「達成感」と「自己肯定感」がセットになっているため、時給の額以上に、店への愛着(エンゲージメント)が高まります。金銭報酬だけでなく、精神的報酬をセットにする仕組みが必要です。
ホール・キッチン別「評価ランク(等級)」の作り方
評価シートを作る際、いきなり細かいチェック項目を書き出してはいけません。まずは骨組みとなる「等級(ランク)」を設計します。スタッフがどのようなステップで成長していくのか、そのキャリアパスを定義する作業です。
4段階のステップアップモデル
飲食店のアルバイト評価においては、複雑すぎる階層は逆効果です。現場の店長が管理しやすく、スタッフも目標をイメージしやすい「4段階」の設定を推奨しています。
1. トレーニー(研修生・見習い)
入社直後の段階です。
- 役割: 職場のルールを覚え、基本的な作業を習得する。
- 求められるレベル: マニュアル通りに作業ができる。挨拶ができる。遅刻欠勤をしない。
- 評価の視点: 「スキル」よりも「スタンス(姿勢)」を重視します。
2. レギュラー(一般スタッフ)
一通りの業務を一人でこなせる段階です。店舗の主力戦力となります。
- 役割: ピークタイムでも標準的なスピードと品質で業務を遂行する。
- 求められるレベル: ホールならオーダーから提供・会計まで。キッチンなら仕込みから標準メニューの調理まで。
- 評価の視点: スピード、正確性、安定感。
3. トレーナー / リーダー(指導係)
自分の業務だけでなく、周囲が見えている段階です。ここから時給を大きく上げます。
- 役割: 新人の教育(OJT)、ポジション指示、トラブル対応。
- 求められるレベル: 「自分がやる」から「人に教える」へのシフトチェンジ。
- 評価の視点: 後輩の育成人数、チームワークへの貢献、QSCの維持。
4. マイスター / シフトリーダー(店長代行)
店長がいなくても店を回せる段階です。実質的な「時間帯責任者」です。
- 役割: クレーム対応、発注業務、現金管理、シフト調整の補助。
- 求められるレベル: 経営者視点を持ち、売上や利益を意識した行動が取れる。
- 評価の視点: 数値責任への意識、店舗全体のマネジメント補佐。
ランクと時給を連動させる「賃金テーブル」の公開
ランクが決まったら、それぞれに対応する時給額(昇給幅)を決め、それを「賃金テーブル」としてスタッフルームに掲示します。
- トレーニー:時給 1,150円(最低賃金+α)
- レギュラー:時給 1,200円
- トレーナー:時給 1,300円
- マイスター:時給 1,500円
このように、「どこまで頑張れば、いくらもらえるのか」を可視化することが重要です。「店長の気分」で決まるのではなく、「制度」で決まることを示すだけで、スタッフの不信感は払拭されます。特にリーダー層の時給は、思い切って差をつけることが、将来の正社員登用や長期定着への布石となります。
【実例】評価シートに盛り込むべき具体的なチェックリスト
骨組みができたら、肉付けとなる具体的な「評価項目」を作成します。
ポイントは、主観が入らないように「〇〇ができている」という行動事実(Do)で記述することです。「頑張っている」「積極的である」といった曖昧な表現はNGです。
ホールスタッフ(接客・サービス)の項目例
ホール業務は「お客様満足」に直結するため、作業の正確さ以上に「印象」や「気配り」を具体的な行動レベルに落とし込む必要があります。
初級(マナー・基本動作)
- 出勤時、退勤時に、目を見て自分から大きな声で挨拶ができている。
- 指定されたユニフォームを正しく着用し、身だしなみ基準(髪型・爪)を守っている。
- ハンディ(オーダー端末)の操作を理解し、ミスなく注文を受けられる。
- 料理を提供する際、商品名を正確に伝え、丁寧にテーブルに置くことができる。
中級(効率・商品知識)
- メニューの全て(トッピングや味の特徴含む)を暗記し、お客様の質問に即答できる。
- バッシング(片付け)とセッティングを〇分以内に完了できる。
- ドリンク場が混雑している際、自発的にヘルプに入れる。
- 優先順位を判断し、手ぶらで歩かず(行きも帰りも)常に何かを運んでいる。
上級(ホスピタリティ・空間管理)
- お客様のグラスが空く前に気づき、追加オーダーの声掛けができる。
- お子様連れや高齢のお客様に対し、マニュアル外の配慮(クッション、温度調整など)ができる。
- クレーム発生時、一次対応を適切に行い、速やかに店長へ報告できる。
- 店内の空気を読み、BGMの調整や照明の調整を提案できる。
キッチンスタッフ(調理・品質管理)の項目例
キッチンは「QSCのQ(Quality)」の守護神です。味のブレや衛生リスクを排除し、チーム連携を高める項目を設定します。
初級(衛生・洗浄)
- 手洗いマニュアルを遵守し、作業開始前や汚染区域作業後の手洗いを徹底している。
- 洗い場(ディッシュアップ)の役割を理解し、食器を破損させずに素早く洗浄できる。
- 食材の保管場所を把握し、「先入れ先出し」を徹底している。
- 包丁や調理器具の正しい使い方、安全な保管方法を実践できている。
中級(調理技術・スピード)
- 揚げ物、焼き物など、各ポジションの調理をマニュアル通りの手順・時間で提供できる。
- 盛り付けの見本写真通りに、美しく、規定量で提供できている。
- ピークタイムでも提供遅延(オーダーから〇分以内)を起こさないスピードで調理できる。
- 食材のロスを出さないよう、歩留まりを意識したカットができる。
上級(管理・発注)
- 在庫状況を確認し、翌日の発注数を予測して提案できる。
- 原価率を意識し、廃棄ロス削減のためのアイデアを出せる。
- 機器の不調やメンテナンスの必要性を早期に発見し、報告できる。
- 新人スタッフに対し、包丁の使い方やレシピを正しく指導できる。
共通項目(チームワーク・スタンス)
職種に関わらず、組織の一員として求められる行動です。
- シフト提出の期限を守り、急な欠勤や遅刻がない。
- 忙しい時こそ、仲間に対して「ありがとう」「お疲れ様」の声掛けができている。
- 業務改善の提案を、月に1回以上行っている。
- ミスをした際、言い訳をせずに報告し、改善策を考えられる。
テンプレート配布だけでは不十分。「運用」のルール設計
評価シートが完成しても、それで終わりではありません。むしろ、ここからがスタートです。評価制度が失敗する最大の原因は「シートを作って満足してしまうこと」にあります。
「自己評価」と「他者評価」のギャップを埋める
運用において絶対に必要なのが、スタッフ本人に自己採点させるプロセスです。
多くのスタッフは、自分の能力を過大評価しがちです。店長評価とのギャップ(ズレ)こそが、そのスタッフの「伸び代」であり、教育すべきポイントです。
「君は『挨拶ができている』に丸をつけているけど、店長から見ると、忙しい時に声が小さくなっているよ。ここが直れば次は合格だね」
このように、具体的なフィードバックを行うことで、スタッフは「何が足りないか」を自覚し、納得して次の目標に向かうことができます。
同一労働同一賃金への対応
パート・アルバイトの評価制度を整備することは、法的リスクの回避にも繋がります。「同一労働同一賃金(パートタイム・有期雇用労働法)」への対応です。
正社員とアルバイトで業務内容が同じ場合、待遇に不合理な格差を設けることは禁止されています。しかし、明確な評価制度(等級制度)があり、「正社員は責任の重さが違う」「転勤の有無が違う」「求められる成果が違う」ということを客観的に説明できれば、待遇差の合理的な根拠となります。
逆に言えば、評価基準があいまいで「なんとなく」時給を決めている状態は、法的にも非常に危険な状態と言えます。
「店長の負担」をどう減らすか
「こんな細かいシート、店長が忙しくて運用できないよ」
そう思われたかもしれません。確かに、店長の業務負担は限界に近いです。だからこそ、すべてを店長一人に背負わせない仕組みが必要です。
例えば、自己評価シートの回収や一次チェックは「マイスター(バイトリーダー)」に任せる。店長は最終確認と面談だけを行う。このように権限委譲を進めることで、リーダーの育成にもなり、店長の負担も減ります。評価制度は、店長を楽にするためのツールでもあるのです。
自店に合った運用ルールがないと、ただの「紙切れ」になる
ここまで評価シートの作り方を解説してきましたが、最後に一つ、重要なことをお伝えします。
ネット上に落ちている「一般的な評価シートのテンプレート」をそのままダウンロードして使っても、うまくいきません。
なぜなら、お店によって「大切にしたい価値観」が違うからです。
「とにかくスピード重視」の店と、「ゆっくりとした会話を楽しむ」店では、評価すべき項目は真逆になります。他社の物差しで自社のスタッフを測ろうとしても、現場に違和感が生まれ、形骸化するだけです。
「自社の理念を反映した、オリジナルの評価項目を作りたい」
「作ったシートを、現場の店長が使いこなせるようなマニュアルまで整備したい」
「現在の時給バランスが適正かどうか、プロの目で診断してほしい」
そうお考えの経営者様は、ぜひ一度、飲食業界特化の人事コンサルタントにご相談ください。
私たちは、単なるテンプレートの提供ではなく、貴店の「色」に合わせた評価制度の設計から、現場への導入研修、運用後の定着支援までをワンストップでサポートします。
スタッフが目を輝かせて働き、店長が誇りを持ってマネジメントできる。そんな「人が育つ仕組み」を一緒に作りませんか?
まずは現状の課題をお聞かせください。
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