求人費をかける前に見直すべき「辞めない仕組み」|若手定着のための退職金ポイント制

小売業向け

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    「求人媒体に何百万円とかけても、応募が来るのは数件だけ」
    「苦労して採用した若手社員が、やっと戦力になった3年目で辞めていく」
    「退職者が出るたびに紹介会社(エージェント)に高い手数料を払う、イタチごっこに疲れた」

    このような悩みを抱える小売業の経営者様は、今、岐路に立たされています。

    人手不足倒産が現実味を帯びる中、多くの企業が「採用活動」に必死になっています。しかし、あえて厳しいことを申し上げます。今の組織状態のまま採用にお金をかけるのは、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるようなものです。

    水(人材)を入れる前に、バケツの穴(離職原因)を塞がなければ、貴社の利益は採用コストとして垂れ流され続けるだけです。

    なぜ、若手社員は辞めるのか。

    給料が安いからでしょうか。休みが少ないからでしょうか。もちろんそれもあるでしょう。しかし、本質的な理由はもっと深い場所にあります。それは「この会社にいても、未来が描けない」という漠然とした、しかし強烈な将来不安です。

    本コラムでは、採用難時代の根本治療として、若手社員の定着率を劇的に改善するための「退職金ポイント制」と「キャリアの見える化」について、投資対効果(ROI)の観点から解説します。

    目次

    若手社員が見切りをつける「将来不安」の正体

    入社3年目から5年目。店舗運営を一通り覚え、店長の右腕として活躍し始める20代後半の若手社員。彼らが辞める時、本当の理由を語ることは稀です。「実家の都合で」「違う業界に挑戦したくて」といった建前を残して去っていきます。

    しかし、本音は違います。彼らがふと我に返る瞬間があります。それは、疲れた顔でバックヤードに座り込む40代の店長や、たまに巡回に来る50代のエリアマネージャーの姿を見た時です。

    「10年後、自分もあんなふうになるのだろうか」
    「今の給料は悪くないけれど、40歳になった時、家族を養えるだけの年収になっているのだろうか」

    小売業は、キャリアパスが見えにくい業界です。現場叩き上げで店長になり、その先はSVになるか、万年店長のままか。給与テーブルが公開されていない企業も多く、「頑張ればいくら貰えるのか」がブラックボックスになっています。この「見通しの悪さ」こそが、優秀な若手に見切りをつけさせる最大の要因です。

    「生涯賃金」の可視化が定着の鍵

    若手社員が求めているのは、目先の1万円の昇給よりも、「この会社で長く働き続けた先に、どんな生活が待っているか」という安心感です。

    多くの小売企業では、賃金規程が古いままであったり、社長の頭の中にしか昇給ルールがなかったりします。これを可視化するだけで、離職抑止効果は生まれます。

    • 「店長に昇格すれば、年収は450万円になる」
    • 「Sランク評価を3年続ければ、30代で年収500万円も夢ではない」

    このように、具体的な数字(モデル年収)を示すこと。これがない会社は、地図を持たずに砂漠を歩かせるようなものです。ゴールが見えないマラソンを走り続けられる人間はいません。まずは、「この会社で頑張れば、これだけの対価が得られる」というロードマップ(等級ごとの賃金テーブル)を整備し、公開することが、定着への第一歩となります。

    「店長」以外のゴールを用意する

    もう一つ、若手の不安を煽るのが「ポスト不足」です。

    「上のポストが詰まっていて、店長になれるのは何年先か分からない」
    「自分は現場が好きだが、管理職にならないと給料が上がらない仕組みはおかしい」

    こうした閉塞感を打破するために、キャリアパスの複線化が必要です。

    マネジメントを極める「管理職コース(店長・SV)」だけでなく、接客や販売のプロを目指す「専門職コース(マイスター・販売スペシャリスト)」や、本部機能へ異動する「企画職コース」。
    多様な選択肢があることを示すことで、「自分に合った生き方がこの会社でできる」という認識を持たせることができます。

    「退職金ポイント制」で長期勤続のメリットを可視化する

    定着率向上における最強の武器。それが「退職金制度」の改革です。

    中小の小売企業では、退職金制度自体がない、あるいは「中退共(中小企業退職金共済)」に入っているだけで、社員へのアピールになっていないケースが散見されます。

    「長く働けば退職金が出るらしい」程度の認識では、引き留め効果はありません。そこで推奨したいのが、「ポイント制退職金制度」の導入です。

    勤続年数×評価ランクでポイントが貯まる仕組み

    ポイント制退職金とは、その名の通り、現金の代わりに毎年「ポイント」を付与し、退職時に「累積ポイント×単価」で計算した金額を支給する仕組みです。

    重要なのは、ポイントの貯まり方です。単に長くいただけ(勤続年数)で貯まるのではなく、「評価(貢献度)」を掛け合わせます。

    勤続ポイント: 1年働くごとに10ポイント

    評価ポイント:

    • S評価なら:50ポイント
    • A評価なら:30ポイント
    • B評価なら:10ポイント

    このように設計すれば、「ただ長くいるだけの人」と「成果を出した人」で、将来受け取る退職金に数百万円の差がつきます。これは、優秀な社員ほど「長く居続けるメリット」が大きくなることを意味します。

    毎年「残高通知書」を渡す心理的効果

    この制度の肝は、ポイントの「通知」にあります。
    年に一度、給与明細と一緒に「退職金ポイント通知書」を社員に手渡します。

    「〇〇さんの現在の累積ポイントは5,000ptです。今退職すると支給額は50万円ですが、このまま定年まで働くと、推計で1,500万円になります」

    この通知書を見た瞬間、退職金は「遠い未来の話」から「自分自身の資産」へと変わります。

    「今辞めるのはもったいない」「あと3年頑張れば、ポイントがこれだけ増える」
    このように、退職金が日々のモチベーション維持と、離職のブレーキ(サンクコスト効果)として機能し始めます。

    キャッシュフロー経営としてのメリット

    経営者にとっても、ポイント制はメリットがあります。
    毎月の給与をベースアップするのは、固定費(社会保険料含む)の即時増大を意味し、経営リスクとなります。

    一方、退職金ポイントの付与は、あくまで帳簿上の積み立てであり、実際のキャッシュアウト(現金支出)はずっと先です。

    「今すぐ給料を大幅に上げるのは難しいが、将来の報酬を約束することはできる」
    これがポイント制の本質です。キャッシュフローを守りながら、社員に「将来の報酬」を約束し、定着を促す。利益率の低い小売業にとって、極めて合理的な報酬設計と言えます。

    採用競合に勝つための「制度ブランディング」

    ここまで「定着」の話をしてきましたが、しっかりとした人事制度を作ることは、実は「採用」においても絶大な効果を発揮します。これを私たちは「制度ブランディング」と呼んでいます。

    求職者、特に最近の若者は、企業の「安定性」や「透明性」をシビアに見ています。
    求人サイトを見渡してください。
    「アットホームな職場です」「やる気があれば稼げます」
    そんな曖昧な言葉が並んでいないでしょうか。

    その中で、貴社の求人にこう書かれていたらどう見えるでしょうか。

    「当社には明確な人事評価制度があります。
    入社3年後のモデル年収は〇〇万円。
    頑張りは『退職金ポイント』として毎年還元され、
    あなたの将来の資産として積み上がります。
    精神論ではなく、仕組みで社員の生活を守る会社です」

    どちらが「ブラック企業ではない」と判断されるか。どちらが「自分の人生を預けられる」と思われるか。答えは明白です。

    人事制度は最強の求人広告コンテンツ

    求職者が知りたいのは、きれいなオフィスの写真や、笑顔の先輩社員のインタビューだけではありません。「自分がどう評価され、給料がどう決まるのか」というルールそのものです。

    整備された等級制度、評価シート、賃金テーブル。これらは社外秘の資料ではなく、採用競合に打ち勝つための強力なマーケティングツール(武器)になります。

    面接の場で、「ウチの評価シートはこれです。こうすれば給料が上がります」と実物を見せる。このオープンな姿勢こそが、入社後のミスマッチを防ぎ、志望度を高める決定打となります。

    採用費500万円 vs 制度改定費

    最後に、ROI(投資対効果)の話をさせてください。

    年収400万円の店長候補を一人採用するために、紹介会社に支払う手数料は、理論年収の30〜35%、つまり約120万〜140万円です。もし3人採用すれば、400万円近くが瞬く間に消えていきます。

    しかも、制度が整っていない会社に入った彼らは、将来に不安を感じ、また3年で辞めてしまうかもしれません。そうなれば、その400万円は文字通り「ゼロ」になります。

    一方、人事評価制度や退職金制度の構築・見直しにかかる費用は、イニシャルコスト(初期投資)こそかかりますが、一度作れば何年にもわたって機能し続けます。

    制度によって離職率が下がり、既存社員が辞めなくなれば、そもそも新たな採用費をかける必要がなくなります。さらに、制度の魅力で自然応募(自社サイト経由など)が増えれば、媒体費や紹介手数料も削減できます。

    「採用費はフロー(流出する)コスト、人事制度費はストック(資産になる)投資」
    この視点を持てるかどうかが、筋肉質な組織を作れるかどうかの分水嶺です。


    若手が辞めない会社へ。HRCが設計から運用まで伴走します

    「退職金制度なんて、中小企業には早すぎる」
    「評価制度を作る時間もノウハウもない」

    そう思われているかもしれません。しかし、社員数10名、20名の規模だからこそ、制度が必要です。社長の背中を見て育て、という昭和的なマネジメントが通用しなくなった今、仕組みを持たない企業は採用市場から淘汰されていきます。

    ヒューマンリソースコンサルタント(HRC)は、小売業の現場を知り尽くした人事のプロフェッショナル集団です。
    大企業のような重厚長大な制度ではなく、貴社の規模と身の丈に合った、シンプルで運用しやすい制度をご提案します。

    • 退職金ポイント制のシミュレーション:
      今導入すると、将来いくらの積立が必要になるか。無理のない原資計画を算出します。
    • キャリアパスの設計:
      若手社員がワクワクするような、独自の等級制度と賃金テーブルを作成します。
    • 採用への活用支援:
      作った制度をどう求人票に落とし込み、アピールするかまでアドバイスします。

    採用にお金をかけ続けるラットレースから抜け出し、社員が定着し、育ち、利益を生む「好循環」を作りませんか。
    まずは無料相談で、貴社の現状の離職課題や、お悩みの点をお聞かせください。私たちが、貴社に最適な「辞めない仕組み」の処方箋を描きます。

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