高齢者(60歳以上)の雇用契約を継続する際、賃金制度と評価制度はどう設計すべきですか?
【結論】60歳以降の高齢者(シニア)雇用契約を継続する際、賃金制度は「①在職老齢年金の支給停止を考慮しつつ、②同一労働同一賃金の観点から不合理な差を設けない」という二律背反の調整が必要です。評価制度は、「③職務限定」を行い、職務内容に応じた明確な役割給に基づく設計が推奨されます。
人手不足の時代、シニア人材の活用は必須です。年金知識と法改正に対応した、社員が納得する賃金・評価制度の設計方法を解説します。
賃金設計の最重要課題(年金と法の両立)
1. 在職老齢年金への対応(手取りの最大化)
60歳以上の社員は、給与と年金の合計額が一定額を超えると年金がカットされます(在職老齢年金)。社員の手取り額が減らないよう、賃金水準をシミュレーションし、本人が望む場合は賃金の一部を賞与に振り分けるなど、支給方法を調整する検討が可能です。
2. 同一労働同一賃金への対応
定年前と同じ職務内容・責任なのに、賃金を大幅に引き下げることは不合理な格差と判断されます。再雇用後の職務内容を「責任や業務範囲の限定」により、定年前と明確に区別することが不可欠です。
評価・賃金制度の具体的な設計
1. 賃金制度:「職務限定型」の役割給
60歳以降は、配置転換や異動がない「職務限定」の雇用契約に変更し、その職務・役割の価値に見合った役割給を基本給とします。 これにより、定年前の賃金(職能給)との間に合理的な説明がつきます。
2. 評価制度:成果と貢献度に基づくシンプルな評価
定年前の複雑な評価項目から、「限定された職務での成果」と「若手へのノウハウ伝承」といった貢献度に絞り込んだシンプルな評価制度を適用します。評価結果に基づき、賞与や昇給額を決定します。
\シニア人材が活躍できる、再雇用制度と賃金テーブルを設計します/
在職老齢年金の仕組みを考慮しつつ、同一労働同一賃金にも対応した、納得感のある高齢者雇用・賃金制度の設計を専門家が支援します。

