試用期間を延長したい場合、法的に必要な手続きと、延長できる最長期間は?

人事労務に関するFAQ

試用期間を延長したい場合、法的に必要な手続きと、延長できる最長期間は?

【結論】試用期間を延長するには、「①就業規則または労働契約書に延長の可能性が明記されていること」「②延長に合理的な理由があること」「③社員本人の個別同意を得ること」が法的に必須の手続きです。延長は、「客観的に合理的な期間」に限られ、安易な延長は不当な「解雇権濫用」と見なされるリスクがあります。

試用期間中の能力不足や適格性の判断に迷った場合、延長は選択肢の一つですが、手続きを誤ると法的リスクにつながります。正しい延長手続きと注意点を解説します。


延長が認められるための3つの要件

要件1: 延長規定の存在と合理的な理由

  • 規定: 延長の可能性があることを、入社時に提示した就業規則または労働契約書に明記していること。
  • 理由: 延長の理由が、当初の期間内に適格性を判断できなかった客観的な事情にあること(例:休職により出勤日数が不足した、当初想定しなかった能力の不足が明確になった)。

要件2: 社員本人の個別同意

試用期間の延長は、労働契約の重要な変更にあたるため、社員本人から個別かつ明確な同意(延長合意書)を得なければなりません。

要件3: 延長期間の客観的な相当性

延長期間は、適格性を判断するための必要最小限の期間に限られます。あまりに長期間(例:当初3ヶ月だったものを、さらに1年間延長)は認められず、「解雇権濫用」と判断される可能性が高まります。


手続きと労務リスク回避

手続き: 延長期間満了前の個別面談

当初の試用期間が満了する前に、マネージャーや人事が社員と面談し、延長が必要な理由、延長後の具体的な指導計画、延長後の処遇を説明し、同意を得て、延長通知書兼同意書を締結します。

リスク回避: 延長できない場合の明確化

延長しても適格性の判断が難しい場合、無理に延長せず、当初の期間満了をもって本採用拒否(解雇手続き)を行う方が、かえって法的リスクを低く抑えられる場合があります。

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延長の合理性判断、延長合意書の作成、そして延長後の指導計画の策定まで、社員の納得感と法的な安全性を両立させる手順を支援します。

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