メンタルヘルス対策として、産業医やEAPサービスはどこまで活用できますか?【専門サービスの費用対効果と役割】
【結論】メンタルヘルス対策における産業医とEAP(従業員支援プログラム)サービスの活用範囲は明確に異なります。産業医は「①企業の安全配慮義務の履行(休職・復職判定)」と「②職場環境改善への提言」が主目的です。一方、EAPサービスは「③社員の私的な相談への対応」と「④専門カウンセリングの提供」が主目的であり、両者を組み合わせて活用することが、中小企業のメンタルヘルス対策の理想形です。
産業医の選任義務がない中小企業においても、これらの専門サービスを活用することで、労務リスクを軽減し、社員の健康を維持できます。それぞれの役割と最適な活用方法を解説します。
産業医とEAPサービスの役割比較と活用範囲
産業医とEAPは、互いに補完し合う関係にあり、特にメンタル不調の予防と対処において重要です。
| 項目 | 産業医(企業側) | EAPサービス(社員側) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 企業の安全配慮義務の履行と職場環境改善 | 社員の心理的・私的な問題の解決支援 |
| 専門性 | 医学的判断、企業への提言 | 心理カウンセリング、専門機関紹介 |
| 活用事例 | 休職・復職の可否判定、長時間労働者面談 | パワハラ・人間関係の悩み、家族問題、経済的相談 |
| 費用目安 | 月額5万〜15万円(嘱託医の場合) | 月額数百円〜(社員一人あたり) |
中小企業における具体的な活用方法
1. 産業医の活用: 「リスク判定」と「職場改善」
- 長時間労働者面談: 法定で義務付けられている企業は少ないですが、過重労働による健康障害を予防するため、長時間労働者に対する面談を依頼します。
- 復職判定: メンタル不調による休職者の復職判定を依頼し、企業の安全配慮義務を履行するための客観的な医学的判断を得ます。
2. EAPサービスの活用: 「予防」と「匿名相談」
- 予防的カウンセリング: 企業内では相談しにくい人間関係やハラスメントなどの問題を、匿名で外部の専門カウンセラーに相談できる窓口として設置します。
- 管理職への教育: EAPサービスによっては、管理職向けのメンタルヘルス研修や、ラインケア研修を提供している場合があり、これを活用します。
3. 連携の強化
社員がEAPサービスで相談した結果、医学的な介入が必要と判断された場合、社員の同意のもと、産業医とEAPが連携し、企業の職場環境改善に繋げる体制を構築します。
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