社長の「どんぶり勘定」は引き継げない|後継者不足に悩む広島の企業が直面する「人の承継」問題

社長の「どんぶり勘定」は引き継げない!後継者不足に悩む広島の企業が直面する「人の承継」問題

2026年、広島県内の中小企業は歴史的な転換点に直面しています。高度経済成長期からバブル期にかけて会社を創業し、一代で地域を代表する企業へと育て上げた名物社長たちが、一斉に70代、80代という高齢に達しているのです。黒字でありながら後継者が見つからずに廃業を選択する企業が後を絶たない中、幸運にも親族や社内の右腕、あるいは外部からの招蔽によって「後継者(2代目・3代目社長)」を確保できた企業は、それだけで大いなる希望を持っています。

しかし、本当の地獄と試練は「社長交代の印鑑を押した後」に幕を開けます。

顧問税理士やM&A仲介会社の支援を受け、自社株の移転や不動産名義の変更といった「ハード面」の承継が無事に完了し、新社長が意気揚々と社長室に入った数ヶ月後。現場では得体の知れない不協和音が生じ始めます。古参の幹部社員が新社長の指示に露骨に難色を示し、優秀だったはずの若手社員が次々と退職願を提出し始める。組織全体の生産性が急激に低下し、業績に赤信号が点灯するのです。

この組織崩壊の根本的な原因は、先代社長が長年培ってきた「情と直感に基づくどんぶり勘定のマネジメント」を、後継者がそのまま引き継ごうとしたこと、あるいは逆に、力任せに急激なシステム化を図ろうとしたことにあります。事業承継において本当に引き継ぐのが難しいのは、目に見える資産ではありません。社員の心と組織の文化を引き継ぐ「人の承継」なのです。

本記事では、後継者社長が必ず直面する「先代のカリスマ性の呪縛」を解き明かし、属人的な経営から脱却して、新社長ご自身のリーダーシップで組織を再び一つにまとめるための「客観的ルールの構築手法」を、人事コンサルタントの専門的な視点から徹底解説します。孤独な戦いを強いられる後継者の方々へ、外部のプロフェッショナルを使い倒して盤石な経営基盤を築くための具体的なロードマップを提示します。

1. 事業承継の最大の壁は、株や資産ではなく「社員からの納得感」

事業承継という一大プロジェクトにおいて、経営者や支援機関の関心はどうしても「自社株の評価額をどう下げるか」「相続税をいかに抑えるか」「個人保証をどう外すか」といった財務・法務のハード面に集中しがちです。これらは専門家(税理士や弁護士)にお金を払えば、確実な正解を出して解決してくれます。しかし、会社を実際に動かしているのは「人」です。

「先代社長だから許されていた」という残酷な真実

一代で会社を築き上げた創業社長のマネジメントは、極めて属人的です。社員の給与や賞与を決める際、明確な評価シートや賃金テーブルが存在しないケースが圧倒的多数を占めます。社長の頭の中にある「あいつは最近遅くまで残って頑張っている」「昔、会社が苦しい時に文句を言わずに助けてくれた」といった記憶や情に基づく、いわゆる「どんぶり勘定」で全てが決定されてきました。

不思議なことに、この不透明極まりない制度でも、創業期から長年連れ添った社員たちは不満を爆発させることはありませんでした。なぜならそこには、「あの社長が言うなら仕方がない」「なんだかんだ言っても、社長は俺たちのことを一番分かってくれている」という、理屈を超えた強烈な信頼関係(カリスマ性)が存在していたからです。

2代目が直面する「強烈な拒絶反応」

この絶妙な情のバランスの上に成り立つ組織に、ある日突然、後継者(2代目社長)がやってきます。後継者が先代の真似をして「俺の感覚で給料を決める」と言い出しても、社員からは「現場の苦労も、これまでの私の実績も知らないくせに、何様のつもりだ」と強烈な反発を食らいます。先代には許されていた属人的な評価が、後継者には絶対に許されないのです。

焦った後継者は、今度はMBAやビジネス書で学んだ最新の「成果主義」や「ITツール」をトップダウンで現場に押し付けようとします。すると今度は、古参社員たちが「先代が大切にしてきた家族のような社風を壊す気か」と猛反発し、面従腹背の抵抗勢力へと姿を変えます。この板挟みの中で、後継者は「誰を信じていいか分からない」という深い孤独と人間不信に陥っていくのです。

若手社員の流出という「静かなる組織崩壊」

新旧の経営陣と古参社員が主導権争いで揉めている間、最も冷静に状況を見つめているのが、これからの会社を担うべき20代・30代の若手・中堅社員たちです。

彼らは情や過去のしがらみには興味がありません。彼らが求めているのは「この会社に自分の未来を預ける価値があるか」という一点のみです。経営層が混乱し、誰が何の基準で評価されているのか分からないブラックボックス状態が放置されれば、市場価値の高い優秀な若手から順番に「この会社は変われない」と見切りをつけ、ルールが明確な都市部の大手企業や競合他社へと静かに去っていきます。

株も設備も無事に引き継いだ。しかし、現場を回す社員がいなくなってしまった。これこそが「人の承継」に失敗した企業が直面する、最も恐ろしい現実なのです。

2. 先代のカリスマ性が通用しない2代目社長が、組織をまとめるための「客観的ルール」

後継者である新社長が、この危機を脱して自らのリーダーシップを確立するために、まず捨て去らなければならないものがあります。それは「先代のようなカリスマ性を持たなければならない」という強迫観念です。

「暗黙知」から「形式知」への転換

創業社長のカリスマ性の正体は、長年の泥臭い経験によって培われた「勘」と「現場把握力」です。これは個人の脳内に蓄積された「暗黙知」であり、他人がそのまま引き継ぐことは不可能です。後継者が目指すべきは、スーパーマンになることではなく、個人の能力に依存していた組織の運営方法を、誰が見ても分かる「形式知(ルール・仕組み)」へと転換させることです。

組織のベクトルを合わせる「3つの羅針盤」

カリスマという強烈な引力が消えた組織を、再び同じ方向へと向かわせるためには、社長の気分に左右されない「客観的な羅針盤」が必要です。具体的には以下の3つのルールを再構築します。

① 言葉で定義された「評価のモノサシ(コンピテンシー)」
「社長の好き嫌い」や「なんとなくの頑張り」を完全に排除します。貴社の現場において「どのような行動が利益を生み、周囲に好影響を与えるのか」を具体的な言葉で定義した評価シートを作成します。
「他部署のトラブル時に自発的に応援に入った」「納期短縮のための治具を自作した」など、行動事実に基づく客観的な基準を設けることで、古参社員の「経験」も、若手社員の「挑戦」も、同じ土俵で公平に評価できるようになります。
② 納得感を生む「オープンな給与・キャリアテーブル」
誰がいくらもらっているかという個人情報を公開するわけではありません。「どの等級(レベル)に到達すれば、基本給がいくらになり、どのような責任を負うのか」という『ルール』を全社員に公開します。
これにより、ブラックボックス化していた先代の「どんぶり勘定」の不公平感をリセットし、若手社員に対しては「この会社で努力すれば、将来こうなれる」という明確なキャリアパス(希望)を提示することができます。
③ 業績連動型の「賞与・利益配分ルール」
先代の「今年は儲かったからボーナス弾むぞ」という恩着せがましい支給方法を廃止します。「会社の付加価値額(粗利)がこの目標を達成したら、その〇〇%を賞与原資として全社員に還元する」という客観的な計算式を導入し、財務情報を公開します。
これにより、社員は「社長から給料をもらう雇われの身」から、「自分たちで利益を生み出して分配を得る経営のパートナー」へと意識が根本から変わります。

ルールが「社長の盾」となり「対話の道具」となる

客観的な人事ルールが確立されると、後継者社長のマネジメントは劇的に楽になります。
古参社員から不満が出た際も、「私が個人的に決めたのではなく、会社が定めたこの評価基準に照らし合わせた結果です」と、ルールを『盾』にして冷静に対話することができます。ルールという共通言語があるからこそ、感情的な対立を避け、建設的な組織運営が可能になるのです。

3. 【解決策】月額15万円〜でプロを使い倒す。後継者を支える人事制度設計

「客観的なルールが必要なことは痛いほど分かった。しかし、日々の資金繰りや営業に追われる中で、人事制度なんて作っている時間もノウハウもない」。これが、広島の中小企業で日々奮闘される後継者社長の偽らざる本音だと思います。

さらに重要な事実をお伝えします。社内の人間(社長や総務担当者)だけで人事制度を作ろうとすると、ほぼ100%失敗します。必ず「あの古参幹部の給料を下げるわけにはいかない」「先代の顔を潰すわけにはいかない」という社内のしがらみや忖度が入り込み、結局、誰のためにもならない骨抜きの制度が出来上がってしまうからです。

「第三者の権威」を戦略的に利用する

事業承継という最もデリケートな時期において、新社長が単独で改革を進めようとして「悪者」になる必要はありません。ここで最大限に活用すべきなのが、外部のプロフェッショナル(人事コンサルタント)という「第三者の存在」です。

私たちヒューマンリソースコンサルタント(HRC)が介入することで、新社長は「今の労働市場の基準に合わせるため、外部の厳しいコンサルタントを入れて制度を根本から作り直すことにした」と、社内に対して大義名分を掲げることができます。社員の不満や反発(ガス抜き)は、すべて私たち外部の人間が真っ向から受け止めます。社長は常に「社員の味方」という立ち位置を保ちながら、理想の組織改革を推進することができるのです。

月額15万円〜:中途半端なシステム導入より「伴走型のプロ」を雇う

「コンサルタント=大企業向けの高額なサービス」というイメージをお持ちかもしれません。しかし、数百万円もの初期費用を払って分厚いマニュアルを納品されても、中小企業の現場では決して定着しません。

HRCが提供するのは、広島の中小企業の財務実態に寄り添った、月額15万円からスタートできる「完全伴走型・人事制度構築サポート」です。
これは、単なる書類作成の代行ではありません。優秀な人事部長を一人新たに雇用すれば、月額50万円以上の固定費がかかります。それよりも遥かに低いリスクとコストで、数多くの企業の修羅場をくぐり抜けてきたプロのチームを、貴社の「社外人事部」として使い倒すことができる仕組みです。

フェーズ HRCの具体的なサポート内容 社長が得られる成果
現状分析と設計
(1〜6ヶ月)
先代の給与体系の歪みを分析。社員へのヒアリングを実施し、自社独自の「評価基準」と「給与テーブル」をゼロベースで構築。 ブラックボックスの解明と、今後の財務リスクの明確なコントロール。
社員説明会
(導入時)
新社長に代わり、HRCのコンサルタントが全社員の前に立ち、新制度の妥当性と公平性を客観的データに基づき説明。 古参社員の反発を最小限に抑え、新制度へのスムーズな移行を実現。
運用・定着伴走
(導入後〜2年)
管理職への評価者研修、実際の面談指導、期末の評定会議への同席。制度が現場の文化として定着するまで逃げずに指導。 社長が直接指示を出さなくても、管理職が自律的に部下を育成する組織の完成。

後継者様へ:孤独な「戦い」を終わらせ、次世代の「仕組み」を共に創る

先代が命懸けで育て上げた会社を引き継ぐという決断。そのプレッシャーと孤独は、経験した者にしか分からない、筆舌に尽くしがたい重責です。「先代と比較される重圧」「言うことを聞かない古参社員」「いつ辞めるか分からない若手」。その後継者としての苦悩に、これ以上、たった一人で耐え続ける必要はありません。

事業承継は、会社を個人の「家業」から、社会に価値を提供し続ける「企業」へと進化させる、またとない飛躍のチャンスです。属人的などんぶり勘定を卒業し、透明でフェアな「組織のルール」を構築することこそが、新社長であるあなたが社内に刻むべき、最初で最大のレガシー(遺産)となります。

私たちヒューマンリソースコンサルタントは、広島の地で数多くの事業承継の修羅場に立ち会い、涙と笑顔の瞬間を共にしてきました。私たちは単なる制度設計屋ではありません。孤独な後継者様の背中を支え、共に会社の未来を切り拓く「最強の右腕」となります。

まずは、先代から引き継いだ現状の人事・給与体系にどれほどの「見えない負債(リスク)」が潜んでいるか、客観的に診断してみませんか?貴社の新しい歴史を創る第一歩を、私たちと一緒に踏み出しましょう。

用語集

  • 事業承継: 会社の理念、経営権(株式等)、資産、そして従業員などの「人・組織」を次世代の経営者に引き継ぐこと。ハード面(税務・法務)だけでなく、ソフト面(組織文化・評価の仕組み)の承継が最も難易度が高いとされる。
  • どんぶり勘定(属人的評価): 客観的なルールや指標に基づかず、経営者個人の記憶、直感、その時の気分や情実によって給与や賞与の額が決定される不透明なマネジメント手法。
  • 暗黙知(あんもくち): 長年の経験や勘に基づき、個人の頭の中だけに蓄積されていて、言葉や文章で他者に伝えることが難しい知識やノウハウ。先代社長の経営手腕の多くはこれに該当する。
  • 形式知(けいしきち): 暗黙知を言語化し、マニュアルや評価シート、会社のルールブックといった客観的な形に落とし込み、誰でも共有・実行できるようにした知識のこと。
  • コンピテンシー: 組織において安定して高い業績を上げる優秀な社員に共通して見られる、具体的な行動特性。これを評価基準の軸に据えることで、納得感の高い評価制度が構築できる。
  • 伴走型コンサルティング: 報告書やマニュアルを納品して終わる「売り切り型」ではなく、制度の導入から現場への定着、実際の運用会議のファシリテーションまで、長期にわたって企業に密着しサポートし続ける支援スタイル。

先代の「情」を「仕組み」に変え、盤石な組織を創りませんか?

「古参社員からの反発が怖くて、なかなか制度改革に踏み切れない」
「若手社員の離職が止まらず、このままでは現場が回らなくなる」
「事業承継を機に、自分が自信を持って経営できるルールをゼロから作りたい」
そんな重圧と孤独の中で戦っている後継者様、あるいはバトンを渡そうと準備されている創業経営者様は、ぜひ一度私たちにご相談ください。

私たちヒューマンリソースコンサルタント(HRC)は、広島の地元企業特有の泥臭い風土と義理人情を深く理解した上で、最先端の客観的ルールを融合させる「血の通った人事制度構築」を得意としています。
面倒な社内の調整役や「悪者」は、私たち外部のプロフェッショナルが喜んで引き受けます。社長はご自身の本来の仕事である「未来の経営」に全精力を集中してください。

まずは、貴社の現状の組織課題を整理し、解決へのロードマップを提示する「初回無料・組織診断」からスタートしてみませんか?貴社の次なる飛躍への第一歩を、私たちが全力でサポートいたします。

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