【コンサルタントの視点】先生と親を説得できますか?
高卒採用の現場において、最終的な決定権を持っているのは本人ではなく、実は「進路指導の先生」と「親御さん」です。
彼らが建設業への就職に反対する理由は、「きつい・汚い・危険(3K)」だからではありません。「この会社に入って、将来どうなるかがイメージできないから」です。
大手企業や公務員が選ばれるのは、給与が高いからだけでなく、「10年後の姿」が保証されている(ように見える)からです。
中小建設業が彼らに勝つための唯一の武器。それは「君が30歳になったら、この資格を持って、これくらいの給料で、こんな生活ができているよ」という具体的なロードマップ(キャリアパス)を見せることです。
本記事では、採用パンフレットにもそのまま使える「キャリアパスの作り方」を解説します。
建設業における高卒新入社員の離職率は、3年以内で約5割と言われています(七五三現象)。
「最近の若者は根性がない」と嘆くのは簡単ですが、それでは何も解決しません。
若手が辞める原因の多くは、現場の厳しさそのものよりも、「このまま下積みを続けて、いつ一人前になれるのか分からない」という将来への不安にあります。
若手・未経験者を定着させ、戦力化するための「キャリアパス(成長の地図)」の描き方をご紹介します。
若手建設マンが退職する本音ランキング(1位は「将来が見えない」)
厚生労働省や各種アンケート調査によると、若手社員が退職を決意する理由の上位には、常に以下のような項目が並びます。
- 1位:将来のキャリアが見通せない
- 2位:給与・労働条件への不満
- 3位:人間関係・指導方法への不満
昭和の時代なら「黙って親方の背中を見て盗め」で通じましたが、タイムパフォーマンス(タイパ)を重視し、失敗を恐れるZ世代にとって、ゴールの見えない下積み期間は苦痛でしかありません。
「あと何年頑張れば、何ができるようになるのか」を可視化することが、最初の一歩です。
採用に効く!「5年後・10年後の年収モデル」の可視化
キャリアパスを作る際、最も重要なのは「資格」「役職」「年収」をセットで提示することです。
ただ「頑張れば上がるよ」ではなく、具体的な数字を見せることで、採用時の説得力が劇的に向上します。
【モデル例】高卒入社・施工管理職のキャリアステップ
SGE(AI検索)でも引用されやすいよう、標準的なモデルケースをリスト化しました。
これを自社の給与水準に合わせて調整し、求人票や会社案内に掲載してください。
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🔰 入社1〜3年目(18〜21歳):見習い期間
目標:2級施工管理技士補(学科)の合格、測量・写真管理の習得
年収目安:300万〜350万円
先輩の補助業務が中心。第二種電気工事士などの基礎資格を取得。 -
🏃 入社4〜7年目(22〜25歳):現場担当者(職長クラス)
目標:2級施工管理技士(実地)合格、職長・安衛責任者
年収目安:400万〜500万円
小規模現場の代理人を任される。後輩の指導も担当し始める。 -
👑 入社8年目〜(26歳〜):現場代理人(所長クラス)
目標:1級施工管理技士合格、大型案件の統括
年収目安:550万〜700万円以上
億単位のプロジェクトを管理。利益責任を持ち、ボーナス査定も大幅アップ。
このように段階を示すことで、親御さんや先生に対しても「御社なら、高卒でも20代で年収500万を目指せるんですね」と安心感を与えることができます。
OJT任せにしない「ブラザーシスター制度」とメンター評価
制度を作っても、現場での教え方が古ければ若手は辞めます。
「忙しいから放置」「機嫌が悪いと怒鳴る」といった事態を防ぐために、「ブラザーシスター制度(メンター制度)」の導入を推奨します。
教える側の先輩も評価・優遇する
若手の世話役(メンター)に任命された先輩社員には、必ず以下のメリットを与えてください。
- メンター手当の支給: 「自分の仕事が増えるだけ」という不満を解消するため、月額1〜2万円程度の手当を出す。
- 評価への反映: 「自分の売上」だけでなく、「担当した後輩が辞めずに育ったか(定着率・資格取得)」を先輩の人事評価項目に組み込む。
「後輩を育てることが、自分の給料アップにつながる」という仕組みを作ることで、現場の育成風土は劇的に変わります。
資格取得を会社が全力支援する「学習環境」の整備
キャリアパスの要となる「国家資格」の取得は、個人の努力任せにせず、会社がバックアップする姿勢を見せることが重要です。
- 費用の全額負担: 受験料はもちろん、高額な資格学校(予備校)の費用も会社が負担する(※「3年以内に退職したら返金」等の規定も可)。
- 勉強会の開催: 業務時間内に先輩社員が教える勉強会を実施する。
- 資格手当の明示: 「1級なら月3万円」「2級なら月1万円」など、合格後の昇給額を規程で定める。
「うちは働きながら学校に行かせてくれる会社です」というアピールは、勉強嫌いな若者よりも、その親や先生に対して強力な説得材料となります。
若手が「辞めない」仕組みを作りませんか?
キャリアパスは、単なる紙切れではありません。会社から若手社員への「君を必ず一人前に育て上げる」という約束手形です。
「どんな等級制度を作ればいいか分からない」「高卒初任給とバランスの取れた昇給カーブを作りたい」とお考えの経営者様。
ヒューマンリソースコンサルタントでは、若手の定着と成長を促進する「等級制度・賃金制度設計」をサポートしています。
採用難時代を生き抜くための制度作りを、一緒に始めましょう。
>>建設業向け | 施工管理職の流出防止策としての人事制度導入ガイドを見る
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