広島県内の中小企業経営者、人事担当者の皆様、こんにちは。2026年も第1四半期が過ぎようとしていますが、人事労務を取り巻く環境は「激動」の一言に尽きます。物価高騰に伴う賃上げ圧力、深刻化する人手不足、そして新たな法規制への対応など、経営の根幹を揺るがす課題が山積しています。
今回は、2026年1月から3月までに公表された、広島県内の企業・行政に関連する重要ニュースを5つ厳選しました。単なる情報の羅列ではなく、広島で20年以上の実績を持つ専門家の視点から、各トピックを1,000文字を超えるボリュームで徹底解説します。
【執筆者紹介】ヒューマンリソースコンサルタント
2004年の創業以来、広島県に根ざして人事コンサルタント一筋で中小企業の成長をサポート。地元の労働市場を知り尽くした専門家として、これまで数百社の制度設計や労務トラブル解決に携わってきました。現場の痛みがわかるコンサルタントとして、実効性のある支援を展開しています。
1. 連合広島、2026年春闘で「3年連続5%以上」の賃上げ要求を決定
- 公表日時:2026年1月(2026年春闘方針)
- ニュース概要の抜粋:
連合広島は、2026年の春闘において、3年連続となる「5%以上」の賃上げ要求を行う方針を固めました。物価上昇に負けない実質賃金の維持と、地域経済の好循環を目指しています。特に中小企業における賃上げの定着を最重要課題とし、広島県知事に対しても、価格転嫁の適正化や賃上げ原資確保のための支援策拡充を強く求める要請書を提出しました。
【徹底解説】広島の中小企業がこの「5%」とどう向き合うべきか
広島県内においても「賃上げ」はもはや努力目標ではなく、企業の存続をかけた「必須条件」へとフェーズが変わりました。2026年春闘で掲げられた「5%以上」という数字は、大企業だけでなく、我々広島の中小企業に対しても非常に重い意味を持っています。
① 採用市場における「地域相場」の地殻変動
現在、広島県内の有効求人倍率は高止まりしており、特に製造業や建設業、サービス業では「時給・月給の高さ」が応募数に直結しています。連合広島が3年連続で高い要求を維持している背景には、労働者の生活防衛だけでなく、県外(特に福岡や大阪・東京)への人材流出を食い止めたいという危機感があります。他社が5%の賃上げを実施する中で自社が据え置いた場合、相対的な魅力は一気に低下します。これは単に新規採用が難しくなるだけでなく、今いるエース級の若手社員が「将来の給与アップが見込めない」と判断し、離職するトリガーになり得ます。
② 賃上げ原資を「コスト」ではなく「投資」と捉える再設計
中小企業にとって5%の人件費増は経営を圧迫する大きな要因です。しかし、ここで考えるべきは「どう削るか」ではなく「どう稼ぐか」です。広島県が実施している「賃上げ環境整備支援事業補助金」などは、生産性向上を目的とした設備投資やIT導入を支援しています。例えば、これまで手作業で行っていた業務をRPAで自動化し、浮いた時間で高付加価値な顧客対応を行う。その成果を賃金に還元するというサイクルを構築することが、ヒューマンリソースコンサルタントが推奨する「持続可能な賃上げ」の形です。単なる「出血」で終わらせず、組織を筋肉質に変える機会と捉えてください。
③ 賃金の「配分」と「納得感」のマネジメント
中小企業では一律のベースアップ(ベア)が難しいケースも多いでしょう。その場合、重要になるのが「根拠のある配分」です。例えば、若手の初任給を重点的に引き上げつつ、中堅以上には「役割給」や「成果給」を導入し、頑張りが可視化される仕組みを作る。あるいは、物価高対策としての「インフレ手当」を一時的に支給し、業績改善後に本給へ組み込むといった段階的なアプローチも有効です。経営者が現状の財務状況と将来のビジョンを誠実に語り、労使で痛みを分け合いながらも成長を目指す姿勢を示すことが、数字以上のエンゲージメント向上に繋がります。
2. 広島県内企業の32.2%が「70歳まで働ける」制度を導入、過去最高を更新
- 公表日時:2026年1月15日
- ニュース概要の抜粋:
広島労働局の最新調査によると、70歳までの雇用確保措置を講じている県内企業の割合が32.2%に達し、過去最高を更新しました。深刻な人手不足が続く中、定年制の廃止や引き上げを選択する企業が急増しています。特に広島の基幹産業である製造業では、ベテランの持つ熟練技能をいかに次世代へ引き継ぐかが課題となっており、シニア層を「即戦力」として継続雇用する動きが定着しています。
【徹底解説】シニア活用を「負担」から「最強の武器」に変える戦略
「定年延長」や「継続雇用」を、単なる法的義務の履行と考えていませんか?広島県内の中小企業にとって、シニア人材の活用は、若手採用が困難な時代における最大の生存戦略です。
① 「熟練技能のブラックボックス化」を防ぐ最後のチャンス
広島の製造業を支えてきたのは、長年の経験に裏打ちされた「匠の技」です。これらの技能を持つ社員が60歳や65歳で一斉に退職してしまうことは、会社にとって計り知れない損失です。70歳までの雇用を制度化する最大のメリットは、この「技能承継」の期間を5年から10年延ばせることにあります。シニア社員を単なる作業員として残すのではなく、「テクニカルアドバイザー」や「若手育成担当」としての役割を明確に与えることが重要です。ヒューマンリソースコンサルタントでは、職務記述書(ジョブディスクリプション)を整理し、シニアの役割を再定義することを推奨しています。
② 働き方の「多様性」がもたらす組織の柔軟性
70歳まで健康に、かつ意欲的に働いてもらうためには、従来の「フルタイム・一律勤務」の枠組みを壊す必要があります。体力の変化や家族の介護事情に合わせて、週3日勤務、午前中のみ、あるいは「繁忙期のみのスポット出勤」など、個別の契約形態を用意することです。これは一見、管理側の手間が増えるように見えますが、実は大きなメリットがあります。シニア向けに用意した「柔軟な働き方」の選択肢は、そのまま育児中の若手社員や、ワークライフバランスを重視する世代にも適用できるからです。シニア対応を入り口に、全世代が働きやすい「ダイバーシティ経営」へと進化させることが可能です。
③ 給与体系と評価制度の「適正化」
長期間雇用を継続する上で避けて通れないのが、賃金カーブの見直しです。年功序列のまま70歳まで雇用すれば、人件費はパンクします。一方で、再雇用後に給与を極端に下げすぎると、本人のモチベーションは著しく低下します。解決策は、年齢ではなく「担っている役割と成果」に直結した評価制度への移行です。シニア層には「これまでの貢献」への敬意を払いつつも、現在のパフォーマンスに基づいた納得感のある報酬体系を提示すること。この透明性こそが、組織全体の公平感を保ち、若手社員に「自分も長くこの会社で働きたい」と思わせる安心感に繋がります。
3. カスハラ対策の義務化が決定、2026年10月施行に向けた準備開始
- 公表日時:2026年3月12日
- ニュース概要の抜粋:
改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日から「カスタマーハラスメント(カスハラ)対策」が全企業において義務化されます。顧客等からの著しい迷惑行為により就業環境が害されることを防ぐため、企業は相談窓口の設置や被害者へのケア、再発防止策を講じなければなりません。広島労働局は県内企業に対し、施行半年以上前からの準備を強く促しています。
【徹底解説】2026年10月までに広島の中小企業が完遂すべき「防衛策」
「お客様は神様」という古い格言が、今の時代、従業員を追い詰め、離職を加速させる「刃」となっています。カスハラ対策の義務化は、経営者が「従業員の心と体を守る」という決意を公に表明する機会です。
① 経営者による「カスハラNO」の宣言
制度構築の第一歩は、トップメッセージの発信です。まずは社内掲示や朝礼などで、「我が社は理不尽な要求や暴力的な言動から従業員を全力で守る」と宣言してください。広島県内のサービス業や小売業の現場では、日々カスタマーハラスメントに晒され、精神的に疲弊している社員が少なくありません。経営者が自分たちの味方であると確信できるだけで、職場の心理的安全性を劇的に高めることができます。義務化されるからやるのではなく、自社の貴重な人材を理不尽な外部圧力から守るためにやる。この姿勢が重要です。
② 具体的かつ実戦的な「エスカレーションルール」の策定
「どこまでが正当なクレームで、どこからがカスハラなのか」という線引きを明確にする必要があります。ヒューマンリソースコンサルタントが支援する現場では、具体的な事例集(録音・録画の開始、複数人での対応、毅然としたお断りのフレーズ等)を作成しています。重要なのは、現場の担当者が一人で判断し、一人で謝り続けない仕組みです。一定のラインを超えたら即座に上司へ、さらに悪質な場合は会社の顧問弁護士や警察へ繋ぐといった「エスカレーションのフロー」を可視化し、全社員が共有することが、現場の不安を解消する唯一の手段です。
③ 「被害者ケア」を形骸化させない体制づくり
カスハラを受けてしまった従業員へのメンタルヘルスケアは、法的義務の核心部分です。事後のヒアリングだけでなく、必要に応じた休暇の付与や、専門のカウンセラーへの相談機会の提供などを盛り込む必要があります。また、2026年10月の施行に合わせて就業規則を改定し、ハラスメント禁止条項にカスハラを明記することも忘れてはなりません。広島労働局や地域の支援機関が提供するガイドラインを参考にしつつ、自社の業務形態(対面、電話、訪問など)に合わせた独自の「防衛マニュアル」を作り上げることが、義務化への最善の対応です。
4. 広島県「奨学金返済支援制度」導入企業が拡大、若手採用の武器に
- 公表日時:2026年3月11日
- ニュース概要の抜粋:
広島県が若者の県内定着を目指して推進している「Go!ひろしま奨学金返済支援制度」の登録企業数が、2026年に入り大幅に増加しています。これは、従業員が日本学生支援機構等から借り入れた奨学金の返済を、企業が肩代わりまたは支援する場合に、県がその費用の一部を補助する制度です。採用力強化に悩む県内の中小企業にとって、大手との差別化を図るための「切り札」として活用が進んでいます。
【徹底解説】若手人材のハートを射止める「実利」と「安心感」の提供
新卒採用や若手の中途採用において、年収の提示額以上に求職者が注目しているのが「可処分所得(手元に残るお金)」です。奨学金の返済という「負債」を抱えて社会人生活をスタートさせる若者にとって、この制度は想像以上に大きなインパクトを与えます。
① 募集要項の「見栄え」を変える強力なインセンティブ
広島県内でも初任給の引き上げ合戦が起きていますが、基本給を数万円上げるのと、奨学金を月々数万円支援するのでは、求職者に与える印象が異なります。「この会社は自分の将来を応援してくれている」という情緒的な価値が付加されるからです。ヒューマンリソースコンサルタントがアドバイスする採用戦略では、この支援制度を単なる福利厚生の一項目とするのではなく、採用ページや会社説明会の冒頭で「若手の経済的・心理的負担を軽減する姿勢」として強調することを推奨しています。これにより、同じ給与条件の大手企業よりも、自社が選ばれる可能性を高めることができます。
② 広島県の補助金を活用した「低コスト導入」のノウハウ
「良い制度だとは思うが、原資がない」という懸念に対しては、広島県の補助金や日本学生支援機構の「代理返還制度」を賢く組み合わせることで解決できます。代理返還制度を利用すれば、企業が支払う支援金は「給与」ではなく「経費」として処理でき、社会保険料の負担増も避けられるというメリットがあります。また、広島県が実施している「Go!ひろしま」等の枠組みに乗ることで、県から「奨学金支援導入企業」として認定され、県のホームページ等でPRされる副次効果も期待できます。官民の支援策を最大限に利用し、実質的な持ち出しを抑えながら「手厚い会社」というブランドを確立しましょう。
③ 「長期定着」と「エンゲージメント向上」の好循環
この制度の真の価値は、採用時だけでなく、入社後の「離職防止」にあります。多くの制度設計では「在職している期間、返済を支援する」という形をとるため、自ずと一定期間の定着が見込めます。しかし、それ以上に重要なのは、返済の負担が減ることで、若手社員が将来のライフプラン(結婚や住宅購入など)を前向きに描けるようになることです。生活の安定は仕事の集中力とパフォーマンス向上に直結します。広島に根を張り、長く働いてもらうための「投資」として、これほどリターンが大きい制度は他にありません。
5. 広島労働局「働き方改革推進協議会」開催、処遇改善と生産性向上の両立へ
- 公表日時:2026年1月29日
- ニュース概要の抜粋:
広島労働局は、2026年度に向けた「広島政労使会議」を開催し、働き方改革の更なる深化を確認しました。会議では、従来の労働時間削減(守りの改革)から、付加価値を高め賃上げを可能にする生産性向上(攻めの改革)へのシフトが議論されました。特に、従業員のスキルアップや自律的な成長を促す「人的資本経営」の視点を中小企業の現場にどう落とし込むかが、広島県独自の課題として提示されています。
【徹底解説】広島型「人的資本経営」で、選ばれる中小企業へ進化する
「人的資本経営」という言葉が大企業を中心に普及していますが、広島の中小企業こそ、この考え方を取り入れるべきです。なぜなら、経営資源の限られた中小企業にとって、唯一の競争優位性は「人」そのものだからです。
① 「労働時間の削減」の先にある「働きがいの創出」
働き方改革が始まって数年が経ち、広島県内でも残業時間の削減はある程度進みました。しかし、「ただ早く帰るだけ」では、企業の収益力は向上しません。次のステップは、浮いた時間を「教育」や「創造的な業務」に充て、社員一人ひとりの生産性を高めることです。ヒューマンリソースコンサルタントでは、単なる勤怠管理の強化ではなく、個々の能力が最大限発揮されるような「役割の見直し」や「権限譲渡」を伴う改革を提唱しています。社員が「自分の成長が会社の成長に繋がっている」と実感できる仕組みこそが、真の働き方改革です。
② 広島働き方改革推進支援センターと専門家の活用
改革を自社単独で進めるのは、非常にパワーが必要です。協議会でも強調された通り、広島には「広島働き方改革推進支援センター」をはじめとする強力なバックアップ体制があります。ここでは社会保険労務士や中小企業診断士などの専門家から無料でアドバイスを受けることが可能です。また、民間でも広島の労働事情に精通したヒューマンリソースコンサルタントのような外部パートナーを活用することで、他社の成功事例(ベストプラクティス)を自社に最適化した形で導入することができます。外部の客観的な視点を入れることで、社内の固定観念を打破し、改革のスピードを劇的に上げることができます。
③ 人的投資の「可視化」が採用と信頼を高める
2026年以降、企業には「どれだけ人を育てているか」という情報の開示が、実質的に求められるようになります。研修の実施時間、資格取得支援の状況、女性管理職比率、平均勤続年数など、これまで数値化していなかった「人のデータ」を可視化してみてください。これらは求職者にとって、会社の将来性を測る重要な指標となります。「うちは小さいから関係ない」と考えるのではなく、むしろ小さな会社だからこそ「社員一人ひとりを大切に育て、活躍させている」という実績を数字で示すことが、金融機関からの評価や、優秀な人材の獲得に直結するのです。
まとめ:2026年の広島は「人への投資」が成否を分ける
2026年第1四半期の広島県内ニュースを紐解くと、共通しているのは「従業員という資産の価値を最大化させる」という強いメッセージです。3年連続の5%賃上げ、70歳までの現役社会、カスハラからの守護、奨学金返済の支援、そして人的資本経営の浸透。これらすべては、人口減少社会における中小企業の生き残り戦略そのものです。
私たちヒューマンリソースコンサルタントは、2004年の創業以来、広島の経営者の皆様と共に、数々の困難を乗り越えてきました。今の時代に求められるのは、法改正に受動的に対応することではなく、変化を先取りして「選ばれる組織」へ自らを変革する決断です。1,000文字を超える各解説が、貴社の明日へのヒントになれば幸いです。
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「何から手をつければいいか分からない」「自社に最適な賃上げ水準を知りたい」
広島で20年以上の実績を持つヒューマンリソースコンサルタントが、貴社の課題に寄り添います。
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