副業・兼業を許可する場合、就業規則に定めるべきルールや注意点は?【労務管理とリスク回避のポイント】
【結論】副業・兼業を許可する場合、企業は「①労働時間管理のルール(健康確保義務)」「②競業避止義務の明確化」「③情報漏洩・信用毀損リスクの回避」の3点を就業規則に定め、社員に周知徹底することが不可欠です。副業・兼業は原則自由ですが、企業側の労務管理リスクを最小限に抑えるための対策が必要です。
「働き方改革」の一環として副業を解禁する企業が増えていますが、社員の健康管理や企業秘密の保護といった面で、企業が負うリスクも大きくなります。就業規則に定めるべき具体的なルールと注意点を解説します。
副業許可の原則と企業の「健康確保義務」
1. 副業・兼業は原則自由
厚生労働省のモデル就業規則からも「許可なく副業を禁止する」という規定が削除されており、副業は原則として社員の「職務外の自由」として認められる方向です。企業が副業を制限できるのは、「労務提供上の支障」「企業秘密の漏洩」「会社の信用・名誉を損なう行為」「競業避止」といった合理的な理由がある場合に限られます。
2. 最重要課題:労働時間と健康の管理
企業が最も注意すべきは、社員の健康確保です。副業と本業の労働時間を合算し、法定労働時間(原則週40時間、1日8時間)や時間外労働の上限を超過しないよう、社員自身に申告させる義務があります。
就業規則に定めるべき3つの必須ルール
ルール1: 副業の事前許可制と申告義務
- 事前申請: 副業を開始する前に、社員に業務内容、労働時間、契約期間を詳細に記した申請書の提出を義務付けます。
- 拒否事由の明記: 副業を許可しない合理的な事由(例:本業の遂行に支障が出る場合、競業となる場合)を就業規則に明確に記載します。
ルール2: 競業避止と情報漏洩の禁止
- 競業避止の明確化: 企業秘密やノウハウを、副業先の競合他社で利用することを明確に禁止し、服務規律に盛り込みます。
- 懲戒事由: 情報漏洩や会社の信用・名誉を著しく損なう行為は、懲戒解雇の対象となることを明記します。
ルール3: 労働時間の合算と健康管理
- 合算ルール: 本業と副業の労働時間を合算し、法定労働時間を超える場合は、後から雇用契約を締結した企業が残業代の支払い義務を負う可能性がある旨を社員に周知します。
- 健康管理: 合算時間が過重労働の基準を超えないか、企業側が定期的にチェックする体制を構築します。
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副業・兼業のルールは、社員の自由と企業の安全配慮義務のバランスが重要です。法的リスクを回避し、社員の意欲を損なわない就業規則の設計を支援します。

