従業員のリスキリング(学び直し)を促すための具体的な制度設計は?【評価・報酬と連動させる方法】
【結論】従業員のリスキリング(Reskilling)を促すには、「①リスキリングを業務時間の一部とする時間保証」「②習得したスキルを昇給・昇格に直結させる評価制度」「③学習費用(教材費など)の全額負担」の3つの制度的支援が不可欠です。社員が「学び直しが無駄にならない」という確信を持つことが、主体的な学習行動につながります。
DXや技術革新が進む中、既存社員のスキルを再開発する「リスキリング」は、企業の競争力維持に必須のテーマです。効果的なリスキリングを促すための人事制度の設計方法を解説します。
リスキリングが単なる「自己啓発」で終わる失敗原因
企業がリスキリングを促しても社員の学習が進まない主な原因は、「時間がない」「評価されない」という2点に集約されます。
失敗原因1: 業務負荷が高く、学習時間が確保できない
終業後や休日に学習を任せる「自己啓発」型では、社員の負担が大きすぎ、継続しません。業務に追われる中で、学習を優先させることは困難です。
失敗原因2: リスキリングが人事評価に連動していない
どれだけ新しいスキルを身につけても、それが昇給や昇進といった処遇に反映されなければ、社員は学習意欲を失います。会社が求めるスキルと、社員のキャリアパスが連動していない状態です。
リスキリングを促すための具体的な制度設計3つの柱
柱1: 学習のための「時間」と「費用」の保証
- 時間保証: 業務時間の一部(例:週に2〜4時間)をリスキリングに充てる「学習特別時間」として確保し、上司がその時間を尊重することを評価基準に含めます。
- 費用負担: 会社が指定・推奨する分野のオンライン講座、教材費、資格受験費用は全額会社が負担します。
柱2: 評価制度・等級制度への「リスキリング要素」の組み込み
- 能力等級への反映: 習得した新しいスキルや資格を、社員の能力等級(職能)を上げるための明確な条件として設定します。
- 評価項目: MBOやコンピテンシー評価の項目に、「新規スキルの習得と業務への適用度」といった成長意欲に関する項目を設け、評価に反映させます。
柱3: ジョブローテーションとキャリアパスの明確化
- スキル活用の保証: リスキリングで習得したスキル(例:データ分析、RPA)を活かせる新しいジョブ(職務)や、社内公募制度を設け、社員が学んだことを活かせる機会を保証します。
- キャリア面談の強化: 人事担当者やマネージャーが、リスキリング後のキャリアパスについて具体的に提示する面談を定期的に行います。
\リスキリングを「企業への投資」として成功させるための制度設計を/
リスキリング戦略は、評価制度、賃金制度、人材育成プログラムの全てを連動させる必要があります。貴社のDX戦略に直結するリスキリング制度の構築を支援します。

