【製造業】退職金債務の膨張リスクを解消|「基本給連動」からの脱却で財務基盤を安定化
導入前の課題
150名規模のゴム製品メーカーにおいて、退職金が「退職時の基本給」に連動する仕組みが経営を圧迫していました。賃金改定を行うたびに将来の退職金債務が雪だるま式に跳ね上がるリスクがあり、資金手当ての不安定さが深刻な課題でした。外部積立比率も現状の経営実態と乖離しており、持続可能な制度への転換が急務。昇給を検討する際に「退職金負担」が足かせとなり、積極的な人事施策を打てない状態にありました。
HRCの施策
将来債務の予測可能性を高め、資金繰りの安定化を図るため、算定方式の抜本的な見直しを8カ月の伴走支援で実施しました。
- 「退職時基本給連動」の廃止と新算定方式の導入
基本給の変動が直接債務に影響しないよう、等級や貢献度に基づいたポイント制等の独立した算定方式へ移行しました。 - 外部積立と内部留保のバランス再設計
キャッシュフローの負担を最適化するため、中退共等の外部積立比率を見直し、確実な支払い原資を確保する財務プランを策定しました。 - 激変緩和措置(経過措置)の設計
既存社員の心理的摩擦を最小限に抑えるため、段階的な移行期間と個別シミュレーションに基づく説明資料を整備しました。
成果・ポイント
制度刷新により、退職金債務の変動リスクが大幅に低減され、長期的な資金計画が極めて立てやすくなりました。
企業側にとっては、賃金改定(ベースアップ等)を検討する際、将来の退職金負担を過度に心配する必要がなくなり、攻めの人事戦略が可能になりました。外部積立の最適化により、急な退職への資金対応力も格段に向上しています。
従業員側にとっては、自身の退職金が「今いくら積み上がっているか」が可視化され、会社への貢献が正当に反映される納得感のある仕組みへと進化しました。制度の持続可能性が担保されたことで、将来に対する不安が解消。長年培った熟練技能を、定年まで安心して発揮し続けられる職場環境が整いました。
コンサルティングポイント
退職時基本給連動からの「切り離し」によるリスクヘッジ
賃金改定が退職金債務を自動的に膨らませる構造を断ち切ります。将来の負債を予測可能な範囲に収めることで、経営の不確実性を排除し、物価高騰に合わせた賃金アップも検討できる健全な財務環境を構築します。
キャッシュフローを重視した「積立バランス」の最適化
外部積立の安心感と、内部留保による資金活用の自由度の最適点を探ります。企業の収益構造や手元資金の状況に合わせ、最も効率的で持続可能な支払い原資の積み上げ方を提案し、資金不足リスクを徹底回避します。
不利益変更リスクを回避する「丁寧な移行設計」
制度変更に伴う社員の反発を防ぐため、緻密なシミュレーションに基づいた経過措置を設計します。個別説明用のシミュレーション資料作成までサポートし、労使双方が納得した上でのスムーズな制度移行を実現します。
将来の財務リスクに不安を感じる経営者様へ
「退職時の基本給に連動する」従来の退職金制度は、賃金アップがそのまま将来の負債膨張に直結する、経営上の大きな爆弾になりかねません。人件費を適切にコントロールし、社員に還元できる強い財務基盤を作るには、制度の「切り離し」が不可欠です。ヒューマンリソースコンサルタントは、製造現場の実態と財務状況を精緻に分析し、経営の自由度を高める持続可能な制度への刷新を支援します。リスクを安心に変え、攻めの経営に転じるために、ぜひご相談ください。
連載:製造業の現場を変える人事戦略
熟練技術者の引退に伴う技能伝承の停滞や、若手の定着率低下にお悩みの製造業経営者様へ。本特集では、現場の「技」を正当に評価し、多能工化と生産性向上を同時に実現する人事制度の構築法を解説します。年功序列を脱し、技術力が報われる仕組みをどう作るか。現場の納得感を最優先にした、実効性のある制度設計と運用の要諦を、豊富な事例と共に連載形式でお届けします。
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