建設業向けコンピテンシー評価の設計・導入マニュアル|有限会社ヒューマンリソースコンサルタント

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    建設業向けコンピテンシー評価の設計・導入マニュアル|2024年問題と若手離職を乗り越える人事評価

    日本の建設業界はいま、かつてない歴史的な転換期の只中に置かれています。2024年4月から建設業にも適用された「時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)」により、これまでのように「工期が遅れたら夜間や休日出勤でカバーする」という力技は法律上許されなくなりました。限られた労働時間内でいかに高い生産性を発揮し、適正な利益を確保するかが、すべての建設企業にとって避けて通れない経営の至上命題となっています。

    これに追い打ちをかけるのが、深刻な若手人材の不足と、長年現場を支えてきた熟練ベテラン層の大量引退による「技術継承の断絶」です。採用難が極まる中、せっかく入社した若手施工管理者が、過酷な現場環境や不明瞭な評価への不満から数年で離職してしまう現実は、多くの経営者にとって文字通りの死活問題と言えるでしょう。

    このような厳しい経営環境下において、従来の「どんぶり勘定」や「親方の背中を見て盗め」といった旧来型の指導方針、あるいは年齢と経験年数だけで決まる「年功序列」の処遇制度を維持したままでは、優秀な人材の定着はおろか、組織の存続すら危ぶまれます。いま建設業に強く求められているのは、職員一人ひとりの能力を客観的かつ公平に捉え、生産性向上や現場の安全といった「成果に直結する行動」を具体的に定義して引き出す、近代的なマネジメントの仕組みです。

    その抜本的な解決策として現在、業界内で急速に注目を集めているのが「コンピテンシー評価」です。本稿では、建設業特有の泥臭い事情や複雑な人間関係を踏まえたコンピテンシー評価の設計方法から、導入の具体的なポイント、さらには現場の職人や監督から深い納得感を得るための実務について、人事コンサルタントの専門的な視点から圧倒的なボリュームで徹底的に解説します。

    1. 建設業におけるコンピテンシーの本質とは何か

    人事制度の再構築に着手する前に、「コンピテンシー(Competency)」という概念の正確な意味合いを現場レベルで理解しておく必要があります。一般的にコンピテンシーとは「継続的に高い業績(成果)を上げる人物に共通して見られる行動特性」を指します。

    「スキル(技術)」と「コンピテンシー(行動)」の違い

    建設現場に置き換えて考えてみましょう。「一級建築施工管理技士の資格を持っている」「複雑な施工図面やCADを正確に読み書きできる」「重機の操作技術が極めて高い」といった要素は、たしかに重要ですが、あくまで「知識」や「技術(スキル)」に過ぎません。これらはいわば、その人が「何ができるか」という潜在的な能力です。

    これに対し、コンピテンシーは「保有しているスキルや知識を、実際の現場で、どのような状況下で、いかに周囲を巻き込んで発揮しているか」という実践的な「行動のプロセス」に焦点を当てます。

    単に図面が読めるだけでなく、その図面から「この納まりだと後工程で水漏れのリスクがある」と事前に察知し、設計事務所や施主に代替案を交渉する。工期内に予算通り、かつ無事故で工事を完了させるために、気性の荒い協力会社の職長たちをどう説得し、いかに動かしたか。このような「目に見える好ましい振る舞いや判断の軌跡」そのものがコンピテンシーです。

    氷山モデルで読み解く現場監督の能力構造

    人間の能力を「氷山モデル」に例えると分かりやすくなります。

    • 水面上(見えやすい部分):資格、学歴、勤続年数、技術的スキル。
    • 水面下(見えにくい部分):価値観、責任感、ストレス耐性、動機、思考の癖。

    従来の評価制度では、目に見えやすい資格の有無だけで評価するか、逆に「あいつは根性がない」「責任感に欠ける」といった水面下の曖昧な性格を主観で評価しがちでした。コンピテンシー評価が画期的なのは、水面下の資質が引き起こした「具体的な事実としての行動(水面上の振る舞い)」だけを評価対象とする点にあります。
    「責任感が足りない」と抽象的に叱るのではなく、「資材搬入の遅れが判明した際、なぜ直ちに後工程の業者へ連絡し、待機時間を減らす段取りを組まなかったのか」という具体的な行動ベースで指導を行うため、評価の客観性が担保され、職員も前向きに改善へ取り組めるようになります。

    なぜ「スキル評価」や「業績評価」だけでは現場が崩壊するのか

    技術的なスキルが非常に高い職人であっても、周囲との協調性を欠いて独断専行したり、KY活動(危険予知活動)などの安全管理ルールを「面倒だ」と軽視したりすれば、現場全体での重大事故のリスクは跳ね上がります。反対に、技術面では発展途上の若手であっても、段取り確認が極めて丁寧で、職人に対して敬意を持ったコミュニケーションができる施工管理者は、現場の空気を良くし、結果的に組織全体として高い利益水準(実行予算の遵守)を叩き出します。

    また、最終的な「利益額」や「工期遵守」といった業績(結果)だけで評価してしまうと、たまたま天候に恵まれた現場や、利益の出やすい元請け案件を担当した者だけが評価されるという不公平が生じます。建設業において真の「稼ぐ力」を評価するためには、結果に至るまでのプロセスである「行動の質」を見極める必要があるのです。

    2. 建設業界がいまコンピテンシー評価を導入すべき4つの理由

    多くの建設企業が、なぜいま急ピッチで従来の評価制度を見直し、コンピテンシーの導入へと舵を切っているのでしょうか。そこには業界が直面する構造的かつ待ったなしの課題が深く関わっています。

    ① 2024年問題への対応と「時間当たりの生産性」の向上

    時間外労働の上限規制が適用され、土曜閉所(週休2日制)の推進が強く求められる中、従来と同じ工期・同じ利益を確保するには、一時間あたりの生産性を劇的に高めるしか道はありません。現場での手戻り(やり直し)を防ぐ徹底した事前確認、効率的な資材の搬入計画、ITツールを活用した写真整理の迅速化といった行動は、すべて生産性に直結します。
    これらの望ましい行動をコンピテンシー評価の項目に据えることで、職員の意識を「夜遅くまで残業して頑張る姿勢」から「いかに短時間で質の高い段取りを組むか」という本質的な生産性向上へと強制的にシフトさせることができます。

    ② 技術継承と暗黙知の言語化(マニュアル化)

    「この地盤なら、この工法でいける」「この時期はコンクリートの乾きが違う」。こうしたベテラン技術者が持つ「勘」や「コツ」は、長年、属人的な暗黙知として扱われてきました。しかし、団塊世代の引退が迫る中でこれらを若手に受け継ぐには、「俺の背中を見て覚えろ」という感覚的な指導では限界があります。
    ハイパフォーマー(高業績者)の行動をコンピテンシーとして洗い出し、レベル別に定義することは、いわば「仕事ができる人の頭の中の思考回路」を言語化・マニュアル化する作業です。トラブル時に何をどう判断して動くべきかが明確な辞書(ディクショナリ)となっていれば、若手の成長スピードは従来の数倍へと跳ね上がります。

    ③ 施工管理職のメンタル不調防止と定着率の改善

    現場監督(施工管理職)は、予算を抑えたい会社側、設計変更を要求する施主、無理な工程に不満を漏らす協力会社の職人、そして騒音に苦情を申し立てる近隣住民という、四方八方からの板挟みになりやすい極めて精神的負荷の高い職種です。
    自分の泥臭い頑張りが、最終的な「竣工」という結果だけで判断され、その過程での凄まじい調整努力やリスク回避行動が評価されないと、彼らは疲弊し、心を病んで離職を選びます。行動そのものを評価の対象に含めることで、「会社は自分の見えない苦労やプロセスを正しく見てくれている」という安心感が生まれ、定着率の劇的な改善に寄与します。

    ④ 協力会社(専門工事業者)との強固なパートナーシップ構築

    建設現場は、元請け一社では絶対に完成しません。無数の専門工事業者(協力会社)との連携が不可欠です。職人不足が深刻化する中、「あの監督の現場なら気持ちよく仕事ができるから優先して職人を手配しよう」と協力会社から選ばれる存在にならなければ、現場は回りません。
    「職人への明確な指示出し」「理不尽な要求をしない調整力」「現場の整理整頓(環境整備)」といったコンピテンシーを高めることは、そのまま協力会社との強固な信頼関係構築に直結し、将来にわたる施工体制の確保という大きな経営資産となります。

    3. 失敗しないコンピテンシー設計の5ステップ

    自社に最適なコンピテンシー項目を作成するには、現場の「生の声」と「泥臭い実情」を拾い上げるプロセスが不可欠です。外部のコンサルタントが持ってきた他業界のテンプレートをそのまま当てはめても、現場から「こいつら現場分かってないな」と一蹴され、絶対に納得感は得られません。

    【ステップ1】自社の理念を体現する「ハイパフォーマー」の特定

    まずは社内で「あの人が現場代理人だと、いつも現場が綺麗で安全に回る」「あの人の現場はトラブルが少なく、最終的な実行予算の利益率も高い」と誰もが認める職員を数名ピックアップします。必ずしも部長や所長である必要はありません。入社5年目の中堅であっても、関係者間の調整能力が突出している職員がいれば、その人が立派なロールモデルとなります。

    【ステップ2】行動特性の深掘りヒアリング(コンピテンシー・インタビュー)

    特定したハイパフォーマーに対し、過去の具体的なプロジェクトを題材にして深いヒアリング(行動事象面接)を実施します。

    • 「あの突発的な設計変更が生じた際、一番最初に誰に連絡し、どのような順番で手配をかけましたか?」
    • 「工期が絶望的に遅れそうになった時、職長たちをどのように説得して休日稼働の協力を取り付けたのですか?」

    こうした問いを通じて、彼らが無意識に行っている「成果を引き寄せるための思考の癖と行動パターン」を洗い出します。

    【ステップ3】評価項目の抽出とカテゴリー化

    ヒアリングから得られた膨大なエピソードを整理し、自社の経営戦略に合わせた評価項目にまとめます。建設業であれば、概ね以下のカテゴリーに分類すると分かりやすいでしょう。

    1. 安全・品質管理:危険予知(KY)、ルール遵守の徹底、手戻りの防止、現場美化
    2. 工程・原価管理:段取り・先読み力、実行予算の管理、歩掛(ぶがかり)の把握
    3. 対人折衝・連携:協力会社との交渉、施主・近隣対応、チームビルディング
    4. 育成・組織貢献:後輩への技術指導、ITツールの活用提案、情報共有

    【ステップ4】等級別の「行動指標(ディクショナリ)」の作成

    抽出した項目に対して、職位や経験年数(等級)に応じて期待される行動のレベルを設定します。これを「コンピテンシー・ディクショナリ」と呼びます。抽象的な表現を避け、現場の日常用語を使って具体的に記述します。

    • レベル1(新人):指示された作業手順や安全ルールを遵守し、分からないことは勝手に判断せず上司に報告・相談している。
    • レベル2(中堅):図面や工程表から数日先のリスクを自ら読み取り、必要な資材手配や協力会社への連絡を先回りして行っている。
    • レベル3(現場代理人):現場全体の利益相反(工期とコスト等)が生じた際、最適な妥協点を自ら見出し、関係者全員が納得する形で交渉・調整を完了させている。

    【ステップ5】評価と賃金制度との連動・運用シミュレーション

    策定した評価シートを用いて、実際の職員を評価してみるシミュレーション(プレ評価)を行います。特定の職員の点数が極端に偏らないか、項目の文言が現場の感覚とズレていないかを検証します。その上で、評価結果が基本給の昇給や賞与にどのように連動するかのルールを明確に定めます。

    4. 【職種別】建設現場に即したコンピテンシー項目の具体例

    建設業における主要な3職種(施工管理、技能職、営業・事務)について、具体的なコンピテンシー項目とレベル別の行動指標の実践的な事例を提示します。実際の設計にあたっては、自社の工種(建築、土木、設備等)に合わせてカスタマイズしてください。

    ① 施工管理職(現場監督):現場を統括するマネジメントと予見力

    施工管理において最も重視されるのは、現場に潜むリスクを未然に察知する「先読み力」と、多様な関係者を束ねる「調整力」です。

    カテゴリー・項目 行動指標の具体例(レベル3:現場代理人クラスの期待行動)
    工程管理
    (リスク予測と事前対策)
    天候不良や資材搬入の遅延リスクを常に数週間先まで予測し、工程に遅れが生じる前に協力会社と工程の組み換えを交渉し、現場での職人の「手持ち無沙汰(待ち時間)」をゼロにする段取りを組んでいる。
    対人折衝
    (協力会社との信頼構築)
    一方的に工程を押し付けるだけでなく、日々の朝礼や詰所での対話を通じて職人の作業上の困難や不満を丁寧に聞き取り、作業環境の改善(動線の確保や片付け)を率先して行うことで、職人の主体的な協力を引き出している。
    原価管理
    (実行予算の厳格な統制)
    着工前に精緻な実行予算を組み、工事進行中も日々の人工(にんく)や材料費の消化状況をリアルタイムで把握。予算超過の兆候があれば即座に工法や手配を見直し、目標利益率を確実に達成する対策を講じている。

    ② 技能職(職人・オペレーター):高度な技術と安全意識の体現

    自社で職人を抱える専門工事業等の場合、彼らの「何ができるか」という技術レベルに加えて、現場の安全を守る規律や後輩への指導力が問われます。

    カテゴリー・項目 行動指標の具体例(レベル4:職長・ベテランクラスの期待行動)
    技術継承
    (暗黙知の言語化と指導)
    自身の熟練した技術を単に「見て盗め」と放置するのではなく、若手がミスをしやすい勘所(力の入れ具合や手順の理由)を論理的な言葉で解説し、自ら手本を示しながら根気よく後輩の技術レベルを底上げしている。
    安全管理
    (現場安全の自己規律)
    自身の安全帯使用やヘルメット着用の徹底はもちろんのこと、他社の職人や後輩の不安全行動を発見した際、見て見ぬ振りをせず、その場で毅然と注意・指導を行い、現場全体の「ゼロ災害」に対する意識を高めている。

    ③ 営業・事務職:現場を後方支援するバックアップ特性

    建設業の営業や事務は、現場の泥臭い事情や専門用語をどれだけ理解し、施工部門の負担を軽減できるかが評価の分かれ目となります。

    カテゴリー・項目 行動指標の具体例(中堅クラスの期待行動)
    営業部門
    (適正利益の確保と連携)
    受注件数だけを追うのではなく、施工部門と着工前に密に連携し、現場の負担や追加工事の発生リスクを考慮した適正な見積もりを提示。施主に対してリスク要因を事前に説明し、後々のトラブルや利益圧迫を防いでいる。
    事務部門
    (業務プロセスの効率化)
    現場から提出される安全書類や請求書の不備を単に突き返すのではなく、現場の多忙さを理解した上で、ITツール(クラウドサービス等)を活用した簡易的な入力フォームを提案し、現場代理人の事務負担を抜本的に軽減している。

    5. 制度を形骸化させない「運用」の成功ポイント

    素晴らしいコンピテンシー評価シートが完成しても、正しく運用されなければ「仏作って魂入れず」の状態に陥ります。特に職人気質の強い建設業において、制度を現場に根付かせるための絶対条件を解説します。

    ポイント1:評価者訓練(キャリブレーション)の徹底

    評価を行う側(部長や工事長)の「目線」を合わせることが不可欠です。同じ若手の行動を見ても、A工事長は「よく気が利くからレベル3」と評価し、厳しいB工事長は「当たり前だからレベル1」とするようでは、職員の不信感は頂点に達します。
    評価時期の前には必ず管理職を集め、実際の現場のケーススタディを用いた模擬評価(キャリブレーション会議)を実施し、「当社においてこの行動はどのレベルに該当するか」という基準のすり合わせを執拗に行う必要があります。

    ポイント2:フィードバック面談を「査定」から「育成の対話」へ変える

    評価結果を書面で渡して終わる、あるいは「今回はB評価だったから次はもっと現場を回せ」と一方的に突きつけるだけの面談は最悪です。特に建設現場の職員は、建前論ではなく本音での率直なコミュニケーションを好みます。
    プレハブの現場事務所でも構いません。時間をしっかり取り、「お前があの現場で、図面の不備に気づいて事前に調整してくれた行動(コンピテンシー)は本当に助かった。見事だった」と具体的な事実を挙げて承認します。その上で、「所長になるためには、あとここが足りない。どうすれば改善できるか」を共に考える対話の場にすることが、モチベーションの劇的な向上に直結します。

    ポイント3:賃金制度・キャリアパスとの完全な連動

    コンピテンシー評価の結果が、自身の給与や賞与、昇進にどう反映されるかをガラス張りにします。長年染み付いた行動を変えることには多大なエネルギーが必要です。その泥臭い努力が経済的な報酬やポストとして報われる仕組みがなければ、制度は一瞬で形骸化します。「こういう行動ができるようになれば、現場所長に就任し、年収は〇〇万円になる」というリアルな将来像(キャリアパス)を提示することが重要です。

    6. 建設業特有の注意点と陥りやすい評価の罠

    コンピテンシー評価は万能の魔法ではありません。建設業という特殊な環境ゆえに、導入時に必ず注意すべき落とし穴が存在します。

    項目の複雑化・細分化を避ける(現場の負担軽減)

    真面目な企業やコンサルタントほど、評価の精度を上げようとして、評価項目を30も40も作ってしまう傾向があります。しかし、日中は現場を走り回り、夕方から書類仕事に追われる現場代理人にとって、そんな膨大なシートに目を通す暇はありません。
    まずは「安全」「工程」「原価」「連携」といった自社の根幹となる5〜8項目程度に極限まで絞り込み、現場の負担にならない運用設計からスタートすることが肝要です。

    「行動」と「結果(業績)」のバランスを直視する

    「良い行動(コンピテンシー)をとっていれば、必ず良い結果が出る」というのが基本思想ですが、建設業界では記録的な悪天候、地中障害物の発見、資材価格の高騰など、個人の努力ではどうにもならない外部要因が利益に大きく影響します。
    そのため、行動評価(プロセス)だけで100%を判断するのではなく、目標管理制度(MBO)等による「結果(最終的な現場利益率や工期遵守)」とのバランスをどう取るか。例えば、若手は行動評価のウェイトを重くし、現場所長クラスは業績評価のウェイトを重くするといった、階層別の設計が求められます。

    職人肌のシニア層への配慮とプライドの尊重

    長年、己の腕一本で自社の屋台骨を支えてきた60代前後のシニア層に対し、いきなり横文字の「コンピテンシー」を振りかざし、新しい行動特性を押し付けると猛烈な反発を招きます。
    シニア層に対しては、これまでの長年の貢献と経験を深く尊重した上で、「若手への技術承継」や「安全衛生のパトロール役(ご意見番)」といった、彼らの豊富な知見を最大限に活かせる独自のコンピテンシー項目を設定する、人事側の細やかな配慮が求められます。

    7. まとめ:コンピテンシーは「次世代の組織文化」を創る最強の投資

    コンピテンシー評価の導入は、単に「給与計算のルール」を変えるだけの表面的な作業ではありません。それは、自社が「どのような価値観を大切にし、どのような行動を賞賛し、どのような建設人を育てていきたいのか」を全職員に宣言する、組織文化の再構築プロセスそのものです。

    「どんなに工期が厳しくても、安全ルールだけは絶対に妥協しない」「協力会社の職人たちを、下請けではなく対等なパートナーとして大切にする」「若手の失敗を責めるのではなく、挑戦による成長を組織の喜びとする」。
    こうした経営トップの熱い想いを、具体的な評価項目として明文化し、日々の現場業務の中で徹底的に意識させる。この泥臭い積み重ねが、数年後の組織の強さを決定づけます。

    2024年問題による労働時間の制約、そして慢性的な人材不足。これからの建設業に押し寄せる大荒波を乗り越え、企業として力強く生き残るための原動力は、他ならぬ「職員一人ひとりの行動の質の変化」にしかありません。自社ならではの実践的なコンピテンシーを確立し、職員が現場で迷いなく前向きに挑戦できる環境を整えることは、次世代の建設業経営における「最強の投資」となるはずです。

    専門コンサルタントからのアドバイス

    有限会社ヒューマンリソースコンサルタントの人事コンサルタントとして、私はこれまで数多くのゼネコンや専門工事業の人事制度改革に伴走してまいりました。建設業界における制度構築において、最も困難であり、かつ最も重要なのは「現場の圧倒的な納得感」を得ることです。

    冷暖房の効いた本社事務所で、一般企業のテンプレートを切り貼りして作った立派な評価シートも、泥と埃にまみれた現場に持っていけば、「現場の実情を全く分かっていない机上の空論だ」と一瞬でゴミ箱行きになります。

    私たちヒューマンリソースコンサルタントは、そうした表面的なコンサルティングを強く否定します。私たちは、実際にヘルメットを被って現場へ足を運び、プレハブの詰所で職人さんや施工管理者の皆様と膝を突き合わせて言葉を交わすことから始めます。彼らが日々直面している理不尽な困難やストレスを肌で理解し、それを乗り越えるための「自社にとって真に理想の行動」を、現場の言葉で共に描き出します。

    「現在の評価制度が形骸化しており、誰も真面目にシートを書いていない」「若手監督の離職が止まらず、5年後、10年後の現場を回す人間がいなくなる」と深い危機感を抱かれている経営者様。まずは一度立ち止まって、組織の土台である「人を評価し、育てる基準」を根本から見直してみませんか。

    私たちは、単なる評価システムのファイルデータを納品して終わることはいたしません。その後の運用が現場に深く定着し、貴社の「稼ぐ力(生産性)」と「人材定着率」が明確に向上するまで、泥臭く伴走いたします。組織の未来を変え、技術を次世代へ繋ぐ力強い一歩を、ぜひ共に踏み出しましょう。

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    人事制度を構築する際には、膨大な時間と議論が必要となります。そのため、完成までの打合せ回数が契約上の回数を超える場合もありますが、契約時の条件に基づき、人事制度が完成するまで責任を持って取り組ませていただきます。

    もちろん追加料金などは一切発生しませんので、安心して人事制度の定着を進めていただけます。

    ※ただし、御社都合やや予期せず災害などで遅延が発生した場合には、別途料金を請求させていただくことがあります。

    新しい人事制度を定着させるには、運用中に出てくる問題点を洗い出し、その原因を探り、適切な対策を取る必要があります。そのため、完成後の2年間は評定会議に参加し、制度がしっかり根付くようアドバイスをさせていただきます。

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    連載:建設業界を支える人事戦略

    2024年問題や若手不足など、建設業界が直面する課題を人事制度で解決するための実践的なノウハウを公開中。現場監督の負担軽減、技術継承を支える評価基準、定着率を高める賃金体系など、数多くの建設会社を支援してきた専門コンサルタントが徹底解説します。これからの時代を勝ち抜く「組織の作り方」を網羅した、経営者・人事担当者必読の連載コラムです。

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