採用コストを「利益」に変える人事戦略|エンジニア採用難を勝ち抜くROI最大化の思考法

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    IT業界の採用市場は、需要が供給を大幅に上回る「超・売り手市場」が続いています。DX(デジタルトランスフォーメーション)の波に加え、少子化による労働人口の減少が重なり、この歪な需給バランスは今後10年は解消されないでしょう。この現実を直視せず、従来の感覚で採用活動を続けていれば、企業体力は確実に削がれていきます。

    目次

    1. 高騰するエンジニア採用コストの現状(エージェント手数料の現実)

    年収の35%から50%へ、上昇し続ける紹介手数料

    かつてITエンジニアの紹介手数料は、理論年収の30〜35%程度が相場でした。しかし現在は、実務経験3年以上の「即戦力層」や、PM(プロジェクトマネージャー)・テックリードクラスを確保するために、40%や50%の手数料を提示するケースも珍しくありません。

    具体的に試算してみましょう。年収800万円のエンジニアを一人採用する場合、手数料率50%であれば400万円のキャッシュが即座に流出します。これは中小企業にとって、利益を圧迫する極めて重いコストです。
    さらに恐ろしいのは、これほど高額なコストを投じて獲得した人材が、入社後のオンボーディングや評価制度の不備を理由に、わずか半年や1年で離職してしまうケースです。この場合、支払った400万円は「ドブに捨てた」も同然であり、その経営的損失は計り知れません。

    広告費や選考工数を加味した「真の採用単価」

    コストは外部への支払いだけではありません。社内の「見えないコスト」にも目を向ける必要があります。

    • スカウトメールの送信・文面作成
    • カジュアル面談の実施
    • 技術試験(コーディングテスト)の作成と採点
    • 一次面接、最終面接の調整と実施

    これらを担当するのは誰でしょうか?多くの場合、現場で最も稼働単価の高いCTOやシニアエンジニアです。彼らが開発の手を止め、採用活動に時間を割くことによる「機会損失(開発遅延や品質低下)」を人件費換算すると、一人あたりの採用単価が実質500万円〜600万円を超えている企業も珍しくありません。
    採用にお金をかけ続けるモデルは、PL(損益計算書)上の販管費を肥大化させ、中長期的に見れば事業の利益率を確実に蝕んでいくのです。

    「バケツの穴」を塞がずに給水し続ける経営の危うさ

    採用コストが増大している根本原因は、市場の相場高騰だけではありません。
    自社の評価や報酬に対する納得感が低いために発生する「離職」が、バケツの底に開いた大きな穴のように、せっかく獲得した人材を流出させている点にあります。

    人事制度の構築や見直しを怠ったまま、エージェントへの発注に注力することは、穴の開いたバケツに高価な水を注ぎ続ける行為です。まずは穴を塞ぐ、すなわち「今いる社員が辞めない(定着率を高める)制度設計」こそが、どんな採用手法よりも確実で、最も効率的なコスト削減策となります。


    2. 「リファラル採用」が活発な企業に共通する人事制度の透明性

    採用単価を劇的に下げる唯一の解は、社員自身の紹介による「リファラル採用」の活性化です。しかし、「紹介してくれたらボーナス10万円」とインセンティブを吊り上げても、紹介が増えない企業がほとんどです。なぜでしょうか?
    それは、リファラルが成功している企業には、必ずと言っていいほど「納得度の高い人事制度」が存在し、それが社員の自信になっているからです。

    社員が「友人を誘える」のは評価に確信があるから

    自分の大切な友人や、尊敬する元同僚を会社に誘う際、エンジニアが最も気にするのはインセンティブの額ではありません。「この会社に入って、友人は不幸にならないか? 正当に評価されるか?」という点です。

    もし評価基準が曖昧で、社長の気分や上司の好き嫌いで給与が決まるような組織であれば、紹介した友人のキャリアを傷つけるリスクがあります。そんな会社を他人に勧めることはできません。

    逆に、制度が言語化され、「どのような技術貢献をすれば、どのグレードになり、いくらの報酬が得られるか」がガラス張りに透明化されていれば、社員は「うちは厳しいけど、やった分だけ必ず評価されるからおいでよ」と、自信を持って紹介状を書けるようになるのです。

    「カルチャーマッチ」を制度で定義する重要性

    リファラル採用の最大の強みは、カルチャーの不一致(ミスマッチ)による早期離職が極めて少ない点にあります。この効果を最大化するためには、人事制度の中に「自社が大切にするバリュー(価値観)」を評価項目として組み込む必要があります。

    例えば、「技術力だけでなく、チームへのナレッジ共有(アウトプット)を高く評価する」という基準が明確であれば、紹介する社員も「あいつは技術的には天才だけど、独断専行タイプだからうちの文化には合わないかも」と事前にフィルタリングできます。結果として、面接通過率は上がり、採用工数も削減されます。

    エンゲージメントと連動した「自律的な採用広報」

    人事制度に納得し、自社に誇りを持っている(エンゲージメントが高い)社員は、社外の勉強会やSNS(XやQiitaなど)においても、自発的に「うちの会社の開発体制はここが良い」「こんな評価制度が導入された」と発信します。
    これが結果として、何千万円もの広告費に勝る強力でリアルな「採用広報」となります。エージェントに頼らずとも、優秀なエンジニアが「中の人」の発信を見て自ら応募してくる。この好循環を作れるかどうかが、企業の採用力を決定づけます。制度への投資は、単なる内部管理のためではなく、最強のブランディング投資なのです。


    3. 飲食業など多業種で培った「生産性向上」のノウハウをITに転用できる理由

    我々、ヒューマンリソースコンサルタント(HRC)が、飲食業やサービス業などの店舗ビジネスで培った知見は、一見すると「クリエイティブ」とされるIT業界とは無縁に思えるかもしれません。
    しかし、経営の視点から見れば、本質的な「人の動かし方」と「生産性向上(Unit Economics)」のロジックは、業種を超えて共通しています。

    労働集約型ビジネスに共通する「工数管理」と「評価」のバランス

    飲食業も、SESや受託開発も、結局は人の「時間(工数)」が売上と利益を生む源泉であるという点では全く同じです。
    店舗ビジネスにおいて、ピークタイムのスタッフ配置を最適化し、オペレーションの無駄(ムダ・ムラ・ムリ)を削ぎ落として利益率を1%改善させるノウハウ。これは、IT現場における「開発プロセスのボトルネック解消」や「エンジニアのアサイン最適化」にそのまま応用可能です。
    「長時間働くこと」ではなく、「単位時間あたりにどれだけの付加価値(利益)を出したか」を評価制度の軸に据えること。これは、業種を問わず生産性を高める唯一の手段です。

    現場重視の視点:オペレーションを壊さない制度設計

    我々が店舗ビジネスのコンサルティングで最も重視するのは、「現場のオペレーションを止めないこと」です。

    どれほど立派な評価シートを作っても、接客中(=開発中)の現場スタッフが、毎日30分も入力作業に時間を取られるようでは本末転倒です。ITの現場においても同様で、管理のための過度な事務作業や複雑怪奇な目標設定は、開発の手を止める「害悪」でしかありません。

    GitHubやJiraなどの開発ツールと連動させ、エンジニアがストレスを感じず、自然に評価データが蓄積されるような「負担の最小限化(UI/UXの追求)」を設計できるのは、きれいごとではない泥臭い現場を見てきた私たちならではの強みです。

    「マニュアル化」と「プロフェッショナリズム」の両立

    飲食業での徹底した標準化(マニュアル化)の技術は、IT業界における「グレード定義の明確化」に通じます。

    「マニュアル化」と聞くと、エンジニアは「型にはめられる」と嫌悪感を抱くかもしれません。しかし、真のプロフェッショナル組織とは、「誰が担当しても一定の品質(Standard)を保てる基盤」があった上で、その先の「個人の卓越したスキル(Art)」が発揮される場所です。
    「ここまでは全員ができるべき基準(標準)」と、「ここからはスペシャリストとしての独創性(例外)」を明確に切り分ける。この設計こそが、評価の属人化を防ぎ、組織としての再現性とスケーラビリティ(拡張性)を高める鍵となります。


    4. 投資回収期間(ROI)から考える人事制度構築のタイミング

    多くの経営者が、人事制度の構築を「社員が50人を超えてから」「売上が安定してから」と先送りにしがちです。しかし、経営コンサルタントの視点で投資対効果(ROI)を計算すれば、着手すべきは間違いなく「今」です。

    制度構築費用と採用コスト削減額のシミュレーション

    人事制度のコンサルティング導入に、仮に300万円の費用がかかったとしましょう。「高い」と感じるかもしれません。
    しかし、制度を整えることで、年間の離職者がたった2名減り、リファラル採用で1名の獲得に成功したとします。

    • 離職防止による採用回避: 500万円 × 2名 = 1,000万円
    • エージェント手数料削減: 400万円 × 1名 = 400万円

    これだけで、合計1,400万円のコスト抑制効果が生まれます。投資額300万円は、わずか数ヶ月〜半年で回収でき、その後はずっとプラスの利益を生み出し続けます。設備投資や広告宣伝費と比較しても、これほど確実で、かつリターンの大きい投資案件は他にありません。

    組織の「技術的負債」ならぬ「組織的負債」の蓄積を防ぐ

    システム開発において、汚いコードを放置したまま開発を進めると「技術的負債」が積み上がり、後で修正しようとすると莫大なコストがかかります。
    組織も同じです。不適切な評価制度や、創業メンバーだけの「なあなあの関係」を放置することは、「組織的負債」を積み上げることになります。
    社員数が30人、50人と増えてから制度を整えようとしても、古参社員の既得権益や、新入社員との給与格差など、既存の歪みを解消するには膨大なエネルギーと痛みを伴います(最悪の場合、組織分裂を招きます)。
    まだ顔の見える10人、20人のフェーズで、将来の100人組織にも耐えうる「拡張性のある制度フレームワーク」を組んでおくことが、長期的な競争力を決定づけます。

    評価サイクルを通じた「経営メッセージ」の浸透速度

    制度は作って終わりではありません。運用し、回すことで初めて意味を持ちます。
    早く制度を整えれば、それだけ多くの「評価サイクル(PDCA)」を回すことができます。回を重ねるごとに評価基準は研ぎ澄まされ、マネージャーとメンバーの対話は深まり、「うちはこういう会社だ」という文化(Culture)が強固になります。
    この、時間をかけて醸成された「文化」こそが、他社がどれほど高い年収を提示して引き抜きにかかっても揺るがない、最強の参入障壁となり、エンジニアから選ばれ続ける理由となるのです。


    コンサルタントの視点:制度は経営者の「覚悟」を映す鏡である

    人事制度を設計するということは、小手先のテクニックではありません。経営者が「この会社では、こういう人材を大切にする」「こういう成果に対しては、惜しみなく報いる」と、全社員に対して宣言することに他なりません。
    それは単なる給与計算のルールブックではなく、会社の未来を左右する「経営判断そのもの」です。

    「コストがかかるから」「面倒だから」と躊躇している間に、御社のバケツの穴からは、優秀な人材と、それを補填するための膨大な採用費が流れ出し続けています。
    その悪循環を断ち切り、利益を生み出す筋肉質な組織へと転換できるのは、経営者であるあなたの決断だけです。

    HRC流:データと論理で「投資」を最大化する

    ヒューマンリソースコンサルタント(HRC)は、感覚や精神論ではなく、「データ」と「論理」に基づき、貴社の利益率を最大化させるための「投資としての人事制度」を提案します。
    IT業界特有の技術文化と、他業種で磨き上げた生産性向上のエッセンスを掛け合わせ、唯一無二の強い組織作りを伴走支援します。

    「今の採用コストは異常ではないか?」
    「社員が増えてきて、組織の一体感が薄れていないか?」
    そう感じている経営者の方は、ぜひ一度、私たちの知見を活用してください。まずは貴社の現状における「採用コスト削減シミュレーション」から始めましょう。

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