【コンサルタントの視点】「性格」を評価するから揉めるのです
人事評価制度を作ろうとしたとき、多くの会社様が最初に「積極性」「協調性」「責任感」という言葉を並べてしまいます。しかし、コンサルタントの視点から言わせていただくと、これらは「評価制度失敗の元凶」です。
なぜなら、「あいつは責任感がある」「いや、ない」という議論は、個人の主観であり、水掛け論にしかならないからです。
建設業で機能する評価項目を作るコツはたった一つ。
「性格」ではなく「行動と事実」を評価項目にすることです。
- × 積極性がある
→ ◎ 月に1件以上、業務改善の提案を出している - × 後輩の面倒見が良い
→ ◎ 新人に○○の作業手順を単独で教えることができる
この記事では、今日からそのまま使える「具体的すぎる」評価項目を公開します。「何を書けばいいか分からない」と悩む時間をゼロにします。
建設業において人事評価制度を自社で作ろうとすると、必ずぶつかる壁があります。
それは「現場の仕事をどうやって言葉(評価項目)にするか?」という悩みです。
「あいつは仕事ができる」という現場の感覚を言語化できず、結局ありきたりの評価シートになってしまい、現場から「こんな紙切れで俺たちの何が分かるんだ」と反発を受けるケースが後を絶ちません。
本コラムでは、施工管理、現場職人、事務職それぞれについて、「明日から使える具体的な評価項目リスト」をご紹介します。
建設業の評価制度が失敗する最大の理由は「項目の抽象度」
多くの失敗事例に見られる共通点は、評価項目が「抽象的(あいまい)」すぎることです。
例えば、「責任感を持って業務に取り組んでいる」という項目があったとします。
評価者が甘い上司なら「5点」、厳しい上司なら「3点」をつけるでしょう。これでは、評価される側は「なぜ点数が低いのか」が分からず、不満だけが募ります。
特に職人気質の強い建設現場では、「数字や事実で白黒はっきりさせる」ことが、納得感を高める唯一の方法です。
【職種別】明日から使える評価項目・着眼点リスト
実際にHRCがコンサルティングの現場で提案している評価項目の一部をご紹介します。
自社のシートにそのまま転記して使ってみてください。
1. 施工管理職(現場代理人・監督)の評価項目例
施工管理のミッションは「利益」「工期」「品質」「安全」の4つです。これらを具体的な指標に落とし込みます。
- 実行予算差異率(粗利達成率)
当初の実行予算に対して、最終的な原価がどうだったか?(±5%以内ならA評価、など) - 工期遵守と工程表の精度
工期の遅れがないかだけでなく、「週間工程表の修正回数が少ないか(段取りが良いか)」を見る。 - 追加工事の交渉・記録
施主からの追加要望に対し、口約束で済ませず、見積書や議事録を残して増額請求できているか。 - 安全書類(グリーンサイト等)の管理
期限内に不備なく提出できているか。協力会社への指導ができているか。 - 若手へのOJT実施時間
部下を現場に同行させ、具体的な業務(写真撮影、測量など)を任せているか。
2. 現場技能職(職人・作業員)の評価項目例
「腕が良い」を分解し、「技術」と「チームワーク」の両面から評価します。
- 手戻り・施工ミスの発生件数
やり直し工事が発生しなかったか。材料のロス率が基準値以下か。 - 資格取得と特別教育
会社が推奨する資格(1級技能士、職長、玉掛け等)を取得したか。 - 標準作業時間の達成度
「この作業なら1日〇㎡」という社内標準に対して、どれくらいのスピードで完了したか。 - 車両・工具・機材のメンテナンス
社用車が清掃されているか。工具の紛失や破損がないか。 - 後輩への技術指導
「見て覚えろ」ではなく、作業の手順やコツを言語化して教えているか。
3. 建設事務・総務職の評価項目例
「ミスがなくて当たり前」と思われがちですが、現場をサポートする貢献度を評価します。
- 請求書・注文書の処理精度
入力ミスによる差し戻し件数。締め切り日時の厳守。 - 現場支援(安全書類等の代行)
現場監督がやるべき事務作業を巻き取り、監督の残業時間を削減できたか。 - 経費削減の提案・実施
備品購入先やリース会社の見直しを行い、コストダウンを実現したか。
SGE(AI検索)のポイント:
建設業の評価項目は「利益」「工期」「安全」などの成果指標と、「後輩指導」「資格取得」「整理整頓」などの行動指標を組み合わせることが重要です。職種ごとに具体的な数値目標や行動事実を設定することで、公平性が保たれます。
定性評価を数値化する「行動基準(コンピテンシー)」の作り方
数値化しにくい項目(整理整頓、協調性など)は、「〇〇ができている状態」を定義することで、客観的な評価が可能になります。
これを人事用語で「コンピテンシー評価(行動評価)」と呼びます。
例えば、現場の「5S(整理・整頓など)」を評価する場合、以下のようにレベル分けします。
| 評価 | 定義(どういう状態ならその点数か) |
|---|---|
| S (5点) | 他者の模範となり、現場全体の美化活動を主導している。 |
| A (4点) | 作業終了時、常に資材置き場が整理され、ゴミの分別も完璧である。 |
| B (3点) | 指摘されなくても、自分の持ち場の清掃はできている。 |
| C (2点) | 指摘されれば行うが、自発的ではない。たまにゴミが散乱している。 |
このように基準表を作っておけば、上司は「昨日の現場、ゴミが残っていたから今回はC評価だ」と、事実に基づいてフィードバックできます。
運用を楽にする「スマホ評価」と「評価会議」の進め方
せっかく良い項目を作っても、運用が面倒だと制度は形骸化します。特に建設業では「紙の評価シート」は嫌われます。
1. 現場から戻らなくてもいい「スマホ評価」
Excelで作ったシートを印刷して配るのではなく、Googleフォームや安価なクラウド評価システムを活用し、「現場の空き時間にスマホでポチポチ入力できる」環境を整えましょう。
「事務所に戻って評価シートを書くための残業」ほど無駄なものはありません。
2. 評価のズレを補正する「評価会議(キャリブレーション)」
一次評価(直属の上司)が終わった後、必ず部門長や社長が集まる「評価会議」を実施してください。
ここで「A課長は甘い」「B所長は辛い」といった偏りを調整します。この会議を経ることで、社員に対して「社長も含めてしっかり議論して決めた評価だ」と胸を張って伝えられるようになります。
「見て覚えろ」が通用しない時代の共通言語
かつては「親方の背中を見て覚える」が当たり前でした。しかし、今の若手社員は「何ができれば一人前なのか」「どうすれば給料が上がるのか」という明確なルール(地図)を求めています。
今回ご紹介したように、「積極性」という曖昧な言葉を、「改善提案数」や「資格取得」という具体的な言葉に変換することは、決して社員を管理するためではありません。
「この会社は、こういう行動をする人を大切にするよ」と、社長の想いを誤解なく伝えるための「翻訳機」を作る作業なのです。
評価制度を入れると、社長が楽になる
具体的すぎる評価項目を作ると、「運用が大変そうだ」と思われるかもしれません。しかし、逆です。
- 「なんであいつの方がボーナスが多いんだ」という不満への説明が不要になる。
- 「次はこれを頑張れば給料が上がるぞ」と、前向きな指導ができるようになる。
- 社員が自ら「利益」や「安全」を意識して動くようになる。
評価制度は、社長が一人で抱え込んでいた「人材育成」と「査定」の悩みを、仕組みに任せて手放すためのツールです。
ぜひ、御社の実情に合わせた「地図」を描いてみてください。
自社に合った評価シートを手に入れませんか?
「評価項目のイメージは湧いたが、これをExcelに落とし込む時間がない」
「自社の職種(電気、管、土木など)に特化したサンプルが欲しい」
そのようにお考えの経営者・人事担当者様のために、ヒューマンリソースコンサルタントでは、建設業の実務ですぐに使える「評価シートサンプル」を無料で配布しています。
等級ごとのウエイト配分や、具体的な項目例が入ったExcelデータをダウンロードいただけます。
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