卸売業向け
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「社員のモチベーションを上げようと新しい評価制度を導入したのに、逆に退職者が増えてしまった」
「コンサルタントに言われた通りに目標設定シートを作ったが、現場は誰も書いてこない」
経営者や人事担当者が、会社を良くしようと一念発起して断行した人事制度改革。しかし、その善意の取り組みが、時として組織に混乱を招き、最悪の場合、崩壊のトリガーとなってしまうことがあります。特に、商流が速く、営業と物流が複雑に絡み合う卸売業界においては、一般的な「教科書通りの人事制度」が通用しないケースが後を絶ちません。
なぜ、多くの企業が同じような失敗を繰り返してしまうのでしょうか。そこには、制度設計におけるボタンの掛け違いと、卸売業特有の現場事情への理解不足という共通項が存在します。
本コラムでは、実際にあった失敗事例を「反面教師」として解剖し、そこから見えてくる「本当に運用できる人事制度」の正体について、コンサルタントの視点から徹底解説します。失敗のパターンを知ることは、成功への近道です。これから制度改革を検討されている方、あるいは現在の制度運用に行き詰まりを感じている方は、ぜひ自社の状況と照らし合わせながら読み進めてください。
1. 良かれと思って導入した制度が、逆に組織を壊すことがある
人事制度は、企業の「背骨」です。背骨が歪めば、全身に不調をきたします。
多くの経営者は、「成果を出している社員に報いたい」「ダラダラ働いている社員に刺激を与えたい」という健全な動機から制度改革に着手します。しかし、その「手段」を誤ると、社員の目には「会社は給料を下げようとしている」「現場の苦労を分かっていない」と映り、強烈な不信感を生む土壌となってしまいます。
制度と風土のミスマッチ
卸売業には特有の風土があります。「義理人情を重んじる」「阿吽の呼吸で物流を回す」「突発的なトラブル対応が日常茶飯事」。
こうしたアナログで人間臭い強みを持つ組織に、突然、外資系企業のようなドライな成果主義や、IT企業のような緻密すぎる目標管理システムを導入すれば、拒絶反応が起きるのは必然です。
「良薬口に苦し」とは言いますが、体質に合わない薬は「毒」になります。失敗する企業の多くは、自社の体力や現場のリテラシーを無視して、理想的すぎる「重たい鎧」を現場に着せようとして自滅しています。
2. 【失敗事例1】 複雑すぎる評価シート(現場が運用できず形骸化)
最も頻繁に見られる失敗パターンが、「高機能すぎる制度」の導入による現場の疲弊です。
現場の実態を無視した「項目の羅列」
【事例:年商50億円・食品卸B社】
B社は、細かな管理が必要だと考え、大手コンサルティング会社のパッケージシステムを導入しました。評価項目は「積極性」「協調性」といった行動評価に加え、売上、粗利、新規件数、訪問数などの数値目標、さらにコンピテンシー(行動特性)項目まで含めると、一人当たり50項目以上に及びました。
【結果:記入作業が「鉛筆なめなめ」の作文コンクールに】
導入直後から現場は大混乱に陥りました。
日中は配送や商談で走り回っている営業担当者にとって、50項目もの自己評価を入力する時間は苦痛以外の何物でもありません。結局、期末の締め切り直前に適当な数字やコメントを埋めるだけの「やっつけ仕事」が横行しました。
評価する側の課長も同様です。部下10人分の評価シートを精査する時間はなく、全員に無難な「B評価」をつけて提出するようになりました。
「運用できない」制度はゴミ同然
この事例の最大の問題は、「現場の運用負荷」を見誤ったことにあります。
卸売業の現場は、常に動いています。デスクに座ってじっくり内省する時間は限られています。
どれほど立派な理論に基づいた評価シートであっても、現場が正しく入力し、上司が正しく判断できなければ、そこから弾き出される評価結果には何の正当性もありません。
結果として、B社では「評価シートを書くために残業する」という本末転倒な状況が生まれ、制度はわずか1年で形骸化(機能不全)しました。現場からは「こんなことをする暇があったら営業に行かせてくれ」という不満が噴出し、人事部への信頼は地に落ちました。
【教訓】
卸売業の評価シートは、スマホで5分で入力できるくらいシンプルでなければならない。
「網羅性」よりも「運用可能性」を最優先しなければ、制度は定着しない。
3. 【失敗事例2】 営業成績のみに偏り、チームワークが崩壊(個人商店化の加速)
次によくあるのが、成果主義を履き違えた結果、組織力が低下するケースです。
「売ったもん勝ち」が招く殺伐とした職場
【事例:年商20億円・建材卸C社】
業績停滞を打破するため、C社社長は「完全実力主義」を掲げ、基本給を下げて歩合給(インセンティブ)の比率を大幅に高めました。「売れば売るほど給料が倍になる」という触れ込みでした。
【結果:情報の囲い込みと顧客の奪い合い】
確かに一部のトップセールスの給与は上がりました。しかし、社内は荒廃しました。
営業マンは自分の売上を守ることに必死になり、後輩の指導を一切しなくなりました。「教えたら自分のパイが奪われる」と考えるようになったからです。
さらに深刻だったのは、在庫の隠し持ちや、配送トラブルの放置です。「売上にならない仕事」は誰もやりたがりません。クレーム対応や倉庫の整理整頓は押し付け合いになり、社内の雰囲気は険悪になりました。
物流部門との亀裂が決定的になる
営業が自分の数字を作るために、無理な納期や小口配送を乱発したことで、物流部門の負担は激増しました。
「営業が得をするために、なぜ我々が尻拭いをさせられるのか」
物流スタッフの不満は爆発し、ベテラン倉庫長の退職を皮切りに、物流機能が麻痺。配送遅延が相次ぎ、結果として大口顧客からの取引停止を招くという皮肉な結末を迎えました。
【教訓】
卸売業はバケツリレーのビジネスである。
「個人プレー」を過度に推奨すると、全体最適が崩れる。
営業の数字だけでなく、「チームへの貢献」や「後工程(物流)への配慮」を評価に組み込まなければ、会社全体の利益は損なわれる。
4. 【失敗事例3】 フィードバック面談不足(評価結果だけ通知し、不信感が募る)
制度の中身(ハード)ではなく、運用(ソフト)の失敗事例です。これは多くの企業が無自覚に陥っている罠でもあります。
「給与明細」で評価を知るショック
【事例:年商80億円・日用品卸D社】
D社では人事評価制度自体は整備されていましたが、管理職のマネジメント教育が行われていませんでした。
評価期間が終わると、上司は部下の評価をこっそり付けて人事に提出するだけ。部下へのフィードバック面談(評価結果の通知と理由説明)は「忙しいから」「気まずいから」という理由で省略されていました。
【結果:ブラックボックス化した評価への疑心暗鬼】
賞与支給日、明細を見た社員たちは愕然とします。
「なぜ今回はC評価なのか?」「あんなに頑張ったのになぜ下がったのか?」
理由が分からないため、社員は悪い方に推測します。「上司に嫌われているからだ」「会社が利益操作をしているのだ」と。
自分なりに貢献したつもりでも、それが評価されていないと知った時のショックは大きく、説明がないことによる不信感は、やがて「学習性無力感(何をしても無駄だ)」へと変わります。
評価の目的は「査定」ではなく「育成」
D社の失敗は、人事評価を単なる「給与を決めるための計算式(査定)」としか捉えていなかった点にあります。
評価制度の本来の目的は、「会社の期待値と、本人の行動のズレを修正し、成長を促すこと(育成)」です。
「君のこの行動は素晴らしかった。一方で、この部分は期待値に届いていない。だから今回はB評価だ。次はここを改善すればAになれる」
この対話(フィードバック)があって初めて、社員は評価に納得し、次の半期の行動を変えようとします。対話なき評価は、社員のやる気を削ぐ凶器でしかありません。
【教訓】
どんなに精緻な評価シートを作っても、面談がお粗末ならすべて台無しになる。
制度設計と同じくらい、管理職への「評価者研修」と「面談トレーニング」に時間を割かなければならない。
5. 【解決策】 卸売業の現場感に合った「シンプル」かつ「運用可能」な制度設計の秘訣
これら3つの失敗事例を踏まえ、卸売業が目指すべき人事制度の姿とはどのようなものでしょうか。
答えは非常にシンプルです。「現場が無理なく運用でき、納得感があること」です。
1. 評価項目を極限まで絞り込む
欲張ってはいけません。1人の人間が意識して改善できる行動は、一度にせいぜい3つまでです。
評価シートの項目は、本当に重要なものだけに絞り込みます。
- 業績評価(定量): 粗利額、新規開拓数など2〜3項目
- プロセス評価(定性): チーム貢献、物流連携など2〜3項目
これくらいシンプルで構いません。項目が少なければ、上司も部下の日々の行動を観察しやすくなり、フィードバックの質も向上します。
2. 「役割」を明確にした等級制度(ミッショングレード)
「能力」という見えにくいものではなく、「役割(仕事の責任)」で評価する「役割等級制度」への移行を推奨します。
「部長の役割はこれ」「リーダーの役割はこれ」と定義し、その役割を果たせているかどうかを○×で判断します。
これにより、年功序列的な「なんとなく高評価」を排除できるだけでなく、営業職と物流職それぞれに合った役割定義が可能となり、職種間の不公平感を解消できます。
3. アナログなコミュニケーションを制度に組み込む
ITツールはあくまで補助です。卸売業の強みである「人間関係」を活かす制度にします。
例えば、半期に一度の堅苦しい面談だけでなく、月1回の「1on1ミーティング(15分の立ち話でも可)」を義務付け、その実施自体を管理職の評価項目にします。
頻繁に対話を行うことで、期末の評価結果に対するサプライズ(予期せぬ低評価)を防ぎ、日々のズレを微調整することが可能になります。
6. まとめ
自社だけで設計するリスク
「うちは特殊な業界だから、自分たちで作るしかない」
そう考えて、書店で買った人事評価の本や、ネット上の無料テンプレートを継ぎ接ぎして制度を作ろうとする経営者様がいらっしゃいます。
しかし、本コラムで見てきたように、制度設計には落とし穴が無数に存在します。特に、賃金制度の変更や不利益変更の調整、法的なリスクヘッジといった専門領域は、素人判断で進めると取り返しのつかない事態を招きかねません。
自社だけで試行錯誤し、数年かけて失敗して社員を失うコストと、最初からプロの知見を入れて最短ルートで正解に辿り着く投資。どちらが貴社の未来にとって有益でしょうか。
業界を知り尽くしたプロと作る「運用できる」制度
ヒューマンリソースコンサルタント(HRC)は、卸売業の人事制度構築において豊富な実績を持っています。
我々が提供するのは、机上の空論のような分厚いマニュアルではありません。貴社の現場の忙しさ、社員の気質、そして経営者の想いを汲み取った、「明日から使える」「現場が腹落ちする」生きた制度です。
失敗事例と同じ轍を踏まないために。
そして、貴社が「人が育ち、利益が出る」組織へと進化するために。
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