コンプライアンスとは?【労務リスク管理と企業運営の基礎】
【定義】コンプライアンス(Compliance)とは、直訳で「法令遵守」を意味しますが、企業経営においては、法令だけでなく、社会規範、企業倫理、社内ルールなど、あらゆる規範やルールを遵守し、公正・誠実に企業活動を行うことを指します。労務管理においては、労働基準法やハラスメント防止法などの法令遵守が特に重要になります。
コンプライアンス体制の不備は、企業の信頼失墜、行政処分、損害賠償といった致命的なリスクにつながります。中小企業が最低限押さえるべき労務コンプライアンスの基本を解説します。
労務管理におけるコンプライアンスの重要項目
人事・労務の分野では、以下の項目がコンプライアンス違反のリスクとなりやすいです。
1. 労働時間・賃金管理
- 長時間労働の防止: 36協定の遵守、サービス残業の撲滅、労働時間の適切な把握。
- 未払い賃金・残業代: 割増賃金(残業代、深夜手当、休日手当)の正確な計算と支払い。
- 賃金台帳の正確な記載: 法定帳簿の記載事項漏れがないか。
2. 雇用・就業規則の整備
- 就業規則の周知徹底: 作成した就業規則を社員に適切に周知すること。
- 労働契約: 雇用契約書(労働条件通知書)の交付と、労働条件の明確化。
3. ハラスメント・多様性対応
- ハラスメント対策: パワハラ、セクハラ、マタハラに対する防止措置(相談窓口設置、研修の実施)。
- 差別禁止: 採用、昇進、賃金において、不当な差別(性別、国籍など)を行わないこと。
中小企業が取るべきコンプライアンス対策
対策1: 就業規則と賃金規程の定期的な見直し
法改正(例:同一労働同一賃金、育児介護休業法)に迅速に対応できるよう、就業規則や賃金規程を最低でも3年に一度は見直し、必要に応じて管轄の労働基準監督署へ届け出ます。
対策2: 内部通報窓口と研修の実施
社員が安心して相談できるハラスメントや法令違反の内部通報窓口を設置し、匿名性を保証します。管理職向けには、労務コンプライアンス研修を義務付けます。
対策3: 人事・労務業務のアウトソース
専門知識が必要な労務管理や給与計算は、社会保険労務士などの外部専門家に委託(アウトソース)し、法的リスクを最小限に抑えることが、中小企業にとっては最も現実的です。
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