【事例】医療機関の多拠点・多職種における賃金制度の一本化|柔軟な人員配置と公平な処遇を実現
| 業種 | 医療機関(病院・クリニック運営) |
|---|---|
| 従業員数 | 600名規模 |
| 主な課題 | 拠点別の賃金格差による配置転換の困難さ、不透明な処遇による職員の不信感 |
導入前の課題
従業員600名規模で複数の拠点を展開する中で、拠点ごとに賃金ルールが異なり、同一職種でも待遇差が生じていることが大きな課題でした。この格差が原因で、拠点間の異動や応援要請のたびに個別調整が発生し、柔軟な配置転換が困難な状況にありました。また、賃金改定の説明が「拠点の都合」と受け取られやすく、職員の不信感を招いていました。組織一体化を阻む「待遇の壁」を取り除き、透明性の高い制度構築が求められていました。
HRCの施策
拠点ごとの個別最適から「法人全体での全体最適」へシフトするため、以下の施策を通じて摩擦を最小限に抑えた制度移行を実現しました。
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■ 全拠点共通の等級・賃金テーブルの策定
拠点に関わらず、役割と能力に基づいた統一の基本給体系を構築し、評価のモノサシを一本化しました。 -
■ 激変緩和措置による段階的移行
既存の賃金差については「調整給」や「経過措置」を設け、給与ダウンによるモチベーション低下を防つつ、数年かけて新体系へソフトランディングさせました。 -
■ 諸手当の整理と基準整備
法人共通の手当と、地域特性や施設形態に応じた手当を明確に切り分け、支給判断の客観的基準をマニュアル化しました。
成果・ポイント
賃金制度の統一により、法人全体のガバナンス強化と現場の運用負荷軽減という大きな成果が得られました。病院経営側にとっては、拠点間の処遇差が解消されたことで、戦略的な異動や急な欠員への応援対応がスムーズに行えるようになりました。制度説明のロジックが一貫したことで、職員への説明責任(アカウンタビリティ)が向上し、組織改編に対する合意形成のスピードも格段に速まりました。
職員側にとっても、どこで働いても公平に評価・処遇されるという安心感が生まれました。キャリアパスが法人全体で共通化したことで、自身の成長ステップが可視化され、多角的な経験を積むための異動に対しても前向きな姿勢が見られるようになるなど、組織の活性化につながっています。
CONSULTING POINT
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・“統一”と“現実”を両立させる緻密な移行シミュレーション
制度の理想を追うだけでなく、現状の賃金プロットを詳細に分析。不利益変更の法的リスクを回避しつつ、職員の心理的摩擦を最小化するための「経過措置(調整給)」を数パターンシミュレーションし、最適な着地点を導き出します。
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・基本給の一本化と「手当による地域・拠点差」の適正管理
基本給を全国一律・法人共通にすることで透明性を担保する一方、物価水準や施設の特殊性は「手当」で調整する構造を提案します。これにより、シンプルで管理しやすい体系と、現場の実態に即した柔軟性を両立させます。
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・多職種の心に響く「等級定義」の言語化支援
医療職、コメディカル、事務職など、異なる専門性を持つ多職種が納得できるよう、職種横断的な「共通の言葉」で等級定義を作成します。各職種の誇りを尊重しつつ、法人としての期待役割を明確に定義し、組織の団結力を高めます。
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- 中小企業の経営者に向けて、人事制度に関する役立つ記事を発信しています。




