ノーレイティング(No Rating)とは?【評価のランク付けを廃止する最新評価モデル】
【定義】ノーレイティング(No Rating)とは、社員をA, B, Cなどの段階的な評価ランク(レーティング)で格付けすることを廃止し、リアルタイムのフィードバックと成長対話を通じて人材育成とパフォーマンス向上を目指す評価モデルです。GE(ゼネラル・エレクトリック)などの先進企業が導入し、年次評価が持つ社員のモチベーション低下や評価者・被評価者の負担といった課題を解決するために注目されています。
評価制度のトレンドとして注目されていますが、報酬決定の仕組みや運用難易度が高く、導入には慎重な検討が必要です。メリットと導入時の注意点を解説します。
ノーレイティングのメリットとデメリット
メリット: 育成効果の最大化
- 成長に集中: ランク付けのプレッシャーから解放され、社員は評価を気にすることなく、リアルタイムフィードバックを通じて自己の成長に集中できます。
- 対話の質向上: マネージャーと部下の対話が「ランクを上げるための交渉」ではなく、純粋な「パフォーマンス向上とキャリア形成」のための対話に変わります。
デメリット: 報酬決定の難しさ
- 報酬決定: ランク付けがないため、昇給・賞与をどう決定するかという報酬決定の仕組みを別に構築する必要があります。
- マネージャーの負荷: リアルタイムフィードバックを頻繁に行う必要があり、マネージャーの運用スキルと負担が非常に高くなります。
中小企業がノーレイティングを導入する際の注意点
注意点1: 報酬決定の仕組み(キャリブレーション)
ランク付けを廃止しても、報酬決定は必要です。ノーレイティング導入企業は、報酬決定のために、「キャリブレーション会議(調整会議)」を設け、データ(市場価値、プロジェクト貢献度、スキル習得度など)に基づき、非公開の場で最終的な報酬を決定しています。
注意点2: 評価システムの整備
リアルタイムのフィードバック、育成記録、貢献度などのデータを収集・蓄積するためのHRテック(評価システム)の導入が不可欠です。紙やエクセルでの運用は不可能です。
注意点3: 組織文化の成熟度
社員とマネージャーの間に高い相互信頼(心理的安全性)がないと、ノーレイティングは機能しません。日本の中小企業は、まず心理的安全性を高める組織開発から着手し、評価の文化が成熟してから検討すべきです。
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