休職期間満了による自然退職とは?【解雇との違いと就業規則の重要性】
【定義】休職期間満了による自然退職とは、就業規則で定められた休職期間(例:1年)が終了した時点で、傷病などが治癒せず復職できない場合に、解雇手続きを経ずに自動的に雇用契約が終了することです(自動退職とも呼ばれます)。企業側からの「解雇」ではなく、契約期間の満了に近い扱いとなるため、解雇予告手当の支払いは原則不要ですが、就業規則の規定内容が法的効力を左右します。
メンタルヘルス不調による長期休職者が増える中、トラブルなく雇用契約を終了させるための実務対応を解説します。
解雇との違いと「自然退職」のメリット
企業が一方的に契約を打ち切る「解雇」は、法的に厳しい制限(解雇権濫用の法理)がありますが、「自然退職」はあらかじめ定められたルールの適用であるため、紛争リスクが比較的低くなります。
- 解雇: 30日前の予告または手当が必要。不当解雇として訴えられるリスクが高い。
- 自然退職: 期間満了により自動的に終了。就業規則に根拠があれば、解雇予告は不要とされるケースが多い(ただし、退職の通知は必要)。
就業規則への規定と実務対応
1. 就業規則への明記(必須)
「休職期間が満了し、復職できない場合は、期間満了の日をもって自然退職(または自動退職)とする」旨を、就業規則に明確に規定しておく必要があります。この規定がないと、解雇手続きが必要になります。
2. 期間満了前の通知
トラブル防止のため、休職期間満了の1ヶ月程度前に、本人に対し「〇月〇日までに復職できなければ、規定により退職となります」と予告通知(文書)を行うことが実務上重要です。
3. 復職可否の判断
復職できないという判断は、主治医の診断書だけでなく、会社の指定医(産業医)の意見も踏まえて、会社が最終的に判断します。このプロセスを適正に行うことが、退職の有効性を担保します。
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