固定残業代制度

固定残業代制度(みなし残業)とは?【未払い残業代トラブル回避の3要件】

【定義】固定残業代制度(みなし残業代)とは、あらかじめ一定時間分(例:月20時間分)の残業代を、基本給とは別に「固定残業手当」などとして毎月支払う制度です。「みなし残業」と呼ばれますが、実際の残業がこの固定時間を超えた場合は、超過分について追加で残業代を支払う必要があります。この制度を導入しても、勤怠管理の義務は免除されません。

中小企業で広く採用されていますが、設計ミスや運用の誤りが非常に多く、未払い残業代請求の最大の原因となっています。法的に有効となるための3つの要件を解説します。


法的に有効となるための3つの要件

要件1: 明確区分性

通常の賃金(基本給など)と、固定残業代部分が金額的に明確に区別されている必要があります。「基本給に〇時間分の残業代を含む」という記載は、無効と判断されるリスクが非常に高いです。

要件2: 対象時間数の明示

固定残業代が、何時間分の時間外労働に対する手当なのかが明確に合意されている必要があります。

要件3: 超過分の支払い

実際の残業時間が、固定残業時間を超えた場合、その超過分に対する割増賃金を別途支払うルールと運用が必須です。


中小企業が陥るリスクと対策

リスク: 固定残業代が無効と判断された場合

上記の要件を満たさない場合、その固定残業代の支払いは「残業代の支払い」とは認められず、「基本給の一部」と判断されます。その結果、企業は固定残業代として支払った金額を基本給に含めた上で、過去3年分の残業代全額を再度支払うよう命じられる可能性があります。

対策: 労働条件通知書と賃金規程への明記

法的に有効な制度を設計するためには、労働条件通知書と賃金規程に、以下の2点を正確に記載します。

  1. 「固定残業手当〇〇円は、時間外労働〇〇時間分に相当する。時間外労働が〇〇時間を超えた場合は、別途割増賃金を支給する」という規定。
  2. 固定残業代を除いた基本給部分が、最低賃金を下回らないこと。

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この記事を書いた人

中小企業の経営者に向けて、人事制度に関する役立つ記事を発信しています。

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