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SESビジネスにおいて、エンジニアの不満の根源は常に「評価のブラックボックス化」にあります。「お客様先でどれだけトラブルを解決しても、自社の上司は何も知らない」「結局、営業担当者との仲の良さで決まっているのではないか」といった疑念は、優秀なエンジニアから順にやる気を奪い、競合他社への転職を決意させます。
1. 「現場を見ていない上司」が評価する矛盾をどう解消するか
物理的・心理的距離を埋める「事実ベース」の評価軸
上司が現場にいないという物理的制約がある以上、評価は「印象」を排除し、徹底的に「エビデンス(事実)」に基づかせるべきです。
- 日報・週報の「資産化」: 多くの企業で日報は「生存確認」に留まっています。これを「技術的課題の解決ログ」へと昇華させます。具体的には、使用した技術スタック、解決したバグの難易度、クライアントから受けた具体的なフィードバックを記述するフォーマットを標準化します。
- ログの積み上げ: 評価面談の直前に慌てて記憶を辿るのではなく、日常的に蓄積されたログを俯瞰して評価を決める仕組みに転換します。「これだけの事実があるから、このグレードなんだ」と証拠を提示できれば、エンジニアの納得感は劇的に高まります。
期待役割(ロール)の事前定義と合意形成
評価の不一致は、多くの場合、スタート地点での「期待値のズレ」から生じます。
プロジェクト参画前に、その現場で何を成すべきかを定義する「プロジェクト・ミッション・シート」の導入を推奨します。
- 保守運用案件なら: 「障害対応時間の短縮」「運用マニュアルの整備」
- 新規開発案件なら: 「特定モジュールの設計完遂」「新技術の導入提案」
このように、案件の性質に合わせた「合格ライン」を事前に上司と部下で握っておくことが不可欠です。直接現場を見ていなくても、「事前に約束した目標に対して、どのような結果(エビデンス)が出たか」を対話する形式にすれば、評価は極めて論理的になります。
評価者の「現場解像度」を引き上げるコミュニケーション設計
マネージャーの役割は、単なる「点数付け」ではありません。「現場の翻訳者」であるべきです。
エンジニア本人の報告は、往々にして謙遜が含まれたり、逆に過大評価になったりします。そのため、マネージャーがクライアントの担当者と定期的に会食や情報交換を行い、「〇〇さんは、実は現場でこれほど頼りにされていますよ」という外部情報を仕入れる労力を惜しんではいけません。
「自分の苦労を、会社が外側からも確認してくれている」という事実は、エンジニアの孤独感を劇的に和らげ、組織への信頼へと直結します。
2. 顧客アンケートや360度評価を制度に組み込む際の注意点
自社の上司が現場を見られない分、クライアントやチームメンバーからの声を評価に反映させる手法は非常に有効です。しかし、これらは「扱い方を間違えると組織を壊す劇薬」でもあります。
クライアント評価を「そのまま給与」に直結させないリスク
顧客アンケートの結果をそのまま査定(給与)に直結させるのは、コンサルタントの視点からは「職務放棄」に近い行為です。なぜなら、顧客の評価基準は極めて属人的で不安定だからです。
- 担当者の属性: 非常に厳しい担当者の下で苦労して「B」評価を得たエンジニアと、甘い担当者の下で楽に「S」評価を得たエンジニア。
- 案件の難易度: 炎上案件の火消しをしている最中は、顧客も余裕がなく評価が厳しくなりがちです。
顧客の声はあくまで「一次データ」として扱い、最終的なグレード判断は、その背景(コンテキスト)を読み取った上で、自社のマネージャーが責任を持って「調整(キャリブレーション)」しなければなりません。
360度評価で懸念される「人気投票化」を防ぐ
同じプロジェクトのメンバー同士で評価し合う「360度評価」は、技術的な隠れた貢献を見つけるには最適ですが、放っておくと「性格が良い人」「飲み会に付き合う人」に高得点が集まる人気投票に変質します。
これを防ぐには、評価項目を徹底的に「行動事実」に絞ることです。
- 「優しく教えてくれた」→ × 抽象的
- 「週に3回以上、若手のコードレビューを行い、具体的な改善案を提示した」→ 〇 具体的
- 「Wikiにプロジェクトの環境構築手順をまとめ、後任の参画コストを下げた」→ 〇 具体的
このように、エンジニアとしての「プロフェッショナルな貢献」を問う設問設計にすることで、感情的な評価を排除します。
フィードバックの透明性とポジティブな活用
他者評価の最大の価値は、給与を決めることではなく、「本人の死角(ジョハリの窓)」を減らすことにあります。
「自分ではできているつもりだったが、周囲からは〇〇のスキルが不足していると思われている」という事実に気づかせ、それを埋めるための学習計画を上司と一緒に立てる。評価を「過去の裁き」ではなく「未来の投資」として位置づけるコーチングスキルが、評価者側に求められます。
3. 単価連動型報酬制度のメリット・デメリット
昨今、エンジニアの「給与への不満」を即効的に解消するために、「案件単価の60%〜80%を還元」といった単価連動型(高還元SES)を打ち出す企業が増えています。これは確かに強力な採用武器になりますが、組織運営においては諸刃の剣です。
【メリット】圧倒的な納得感と自律性の向上
自分の市場価値が1円単位で給与に反映されるため、エンジニアは極めてシビアにスキルアップに取り組むようになります。
「なぜ自分の給与はこの金額なのか」という不透明な悩みが消え、会社がどれだけマージンを取り、それを何に(オフィス代や社会保険料など)使っているかを公開することで、経営への透明性が高まります。これは、会社を「プラットフォーム」として活用するプロ意識の高いエンジニアには非常に好まれます。
【デメリット】「チーム」や「自社」への帰属意識の希薄化
一方で、重大なリスクが存在します。「単価に反映されないすべての業務が切り捨てられる」ことです。
- 「後輩の指導をしても単価は上がらないからやりたくない」
- 「自社の採用活動や勉強会に協力する時間は、自分の技術を磨く時間に使いたい」
- 「会社が困っている時に、低単価だが戦略的な案件に入ってくれない」
結果として、社員は「個人事業主の集まり」となり、組織としてのナレッジ共有やブランド形成が不可能になります。これは、景気が悪化した際にエンジニアがより1%でも還元の高い他社へ簡単に流出してしまう、極めて脆弱な組織構造です。
折衷案としての「ハイブリッド型」の推奨
コンサルタントとして推奨するのは、単価連動の「透明性」と、固定評価給の「組織性」を掛け合わせたハイブリッド型です。
- ベース報酬: 案件単価の一定割合で設定。
- プラスアルファ(貢献給): 社内勉強会、採用、後進育成、技術ブログ投稿など、単価には現れない「資産形成活動」をポイント化して支給。
このように、「個人の稼ぎ」と「組織への貢献」の両輪を評価の柱に据えることで、持続可能なSESモデルを構築できます。
4. 社員の成長が会社の利益に直結する「スキルマップ」の運用術
SESビジネスの本質は「スキルの卸売り」です。エンジニアの技術レベルが上がれば単価が上がり、会社の利益も増える。この「利害の一致」を可視化したのがスキルマップです。
案件単価と連動したスキル要件の定義
エンジニアが「何を勉強すればいいかわからない」と迷うのは、学習と報酬の相関が見えないからです。
- 「Javaの実装ができる(月単価60万)」
- 「AWSでのインフラ構築・自動化ができる(月単価80万)」
- 「テックリードとしてチームのコード品質に責任を持てる(月単価100万)」
このように、市場の相場観と自社の単価実績に基づいた「スキルと単価の対応表」を公開します。これがエンジニアにとっての最強の「学習ロードマップ」になります。
スキル取得を支援するインセンティブと「出口戦略」
単にマップを作るだけでなく、そのスキルを「武器」として使える場を提供するのは、会社の(営業の)責任です。
「クラウドの資格を取ったのであれば、次は必ずクラウド案件を営業が取ってくる」という約束こそが、最高の福利厚生です。エンジニアは「この会社にいれば、計画的に自分の市場価値を高めてくれる」と感じたとき、初めて会社を「搾取者」ではなく「共創パートナー」として認識します。
長期的な資産となる「ナレッジ共有」の評価
各現場で得られた知見を社内に還元することを、最高位の評価項目に置くべきです。
例えば、「A現場で起きたトラブルの解決策を社内のNotionにまとめ、B現場のトラブルを未然に防いだ」という行動は、一人の技術力の向上以上に、会社全体の「商品力」を高めています。
こうした「他者への貢献(利他性)」を高く評価する基準を設けることで、SES特有の「個人の孤立」を防ぎ、組織としての厚みを生み出すことができます。
コンサルタントの視点:帰社意識は「評価」を通じて作られる
多くの経営者が、帰社意識を高めるために「BBQ」や「飲み会」を企画しますが、現代のエンジニア(特にZ世代以降)は、そうした表面的な交流を求めていません。
彼らが求めているのは、「自分のプロフェッショナルとしてのキャリアを正しく理解し、正当に評価し、共に歩んでくれるパートナーとしての会社」です。
人事評価制度を、単なる「給与計算の道具」と考えてはいけません。それは、「会社がエンジニアをどれだけ大切に思っているか」を伝えるラブレターであり、「どんなエンジニアになってほしいか」という経営指針そのものです。
制度が血肉化し、社員から「この評価基準なら納得できる」という声が上がるとき、御社の採用コストは激減し、リファラル採用が自然と回り始めます。
HRC流:現場を置き去りにしない制度設計の伴走
ヒューマンリソースコンサルタント(HRC)では、SES・受託開発特有の「多重下請け構造」や「現場の商流」を深く理解した上で、決して「理想論」に終わらない、現場が回る制度を設計します。
- 営業とエンジニアの「評価の壁」を壊したい。
- 単価連動型への移行を検討しているが、組織がバラバラになるのが怖い。
- エンジニアの技術力を正当に測れるマネージャーが不足している。
こうしたリアルな課題に対し、他社の成功・失敗事例を交えながら、最短距離での解決策をご提示します。
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