【2026年2月前半】春闘「6%賃上げ」要求の衝撃/インターンシップに注意喚起など5選

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【2026年2月前半】春闘「6%賃上げ」要求の衝撃/インターンシップに注意喚起など5選

2026年2月前半は、本格化する春闘における「賃上げ要求」の高さや、深刻化する「カスタマーハラスメント」への法的な対策強化など、企業経営の根幹に関わるニュースが相次ぎました。中小企業は、限られた原資の中でいかに人材を守り、組織を健全化するかが問われています。

この記事では、2026年2月前半に公表された人事関連の重要ニュースの中から、特に中小企業の経営者・人事担当者の皆様が押さえるべき5つのトピックを厳選。実務で役立つ3つのポイントと併せて詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 中小労組が掲げる「6%賃上げ」要求の背景と、原資不足の企業が取るべき「防衛的賃上げ」の手法。
  • 法制化が進む「カスハラ対策」において、企業が策定すべき具体的な「撤退ライン」と相談体制。
  • 40代・50代の離職を防ぐ「ビジネスケアラー(介護)」支援と、経産省の診断ツール活用法。
  • 27卒就活解禁直前の「インターンシップ」に関する政府の注意喚起と、正しい学生への魅力付け。
  • 離職防止の切り札として中小企業でも導入が進む「社内公募制度(ジョブポスティング)」の運用ポイント。

目次

1. 26年春闘、中小労組が「過去最高水準」の賃上げ要求。大手との格差是正が焦点

  • 公表日時: 2026年2月5日 (産業別労働組合 記者会見)
  • ニュース概要の抜粋:

    2026年の春季労使交渉(春闘)において、流通・サービス業や中小製造業の労働組合が多く加盟する産業別労組「UAゼンセン」等は2月5日、正社員の賃上げ要求基準を「計6%程度」とする方針を正式決定しました。物価高騰が続く中、先行して賃上げが進む大手企業との「賃金格差」が拡大しており、人材流出に歯止めがかからない危機感が背景にあります。

    中小企業側は「原資がない」と悲鳴を上げる一方、労組側は「賃金を上げなければ人が採れず、事業継続が不可能になる」として、ベースアップ(ベア)を含む強気の要求を掲げています。交渉は3月の集中回答日に向け、厳しい攻防が予想されます。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:「防衛的賃上げ」の覚悟が必要
      • 解説:今年の中小企業の賃上げは、利益配分というよりも「人材防衛」の性格が強まっています。近隣の求人相場や大手の動向を見誤り、「例年通り数千円」の昇給でお茶を濁すと、若手・中堅層が一気に流出するリスクがあります。赤字であっても、人件費を「コスト」ではなく「事業継続のための必要経費」と割り切り、可能な限りの原資を確保する経営判断が迫られています。
    • ポイント2:原資不足なら「手当」や「休日」で代替案を
      • 解説:どうしても6%もの賃上げが難しい場合、代替案の提示が不可欠です。「基本給は3%アップだが、食事手当を新設する」「年間休日を5日増やす(実質時給アップ)」など、総額人件費や労働条件全体で誠意を見せることが重要です。ゼロ回答や低額回答のみで終わらせず、「会社として社員の生活をどう守るつもりか」というメッセージをセットで伝えましょう。
    • ポイント3:労働組合がない企業こそ「自発的開示」を
      • 解説:中小企業の多くは労働組合がありませんが、だからといって無策で良いわけではありません。世間で「6%賃上げ」と報道される中、自社から何のアナウンスもなければ、社員は疑心暗鬼になります。春闘の時期に合わせて、経営者から全社員に対し、来期の賃上げ方針や会社の財務状況について自発的に説明する場(タウンホールミーティング等)を設けることが、信頼関係維持の鍵です。

2. 「カスハラ(カスタマーハラスメント)」対策、企業への設置義務化へ法案提出

  • 公表日時: 2026年2月9日 (厚生労働省 審議会報告)
  • ニュース概要の抜粋:

    厚生労働省は2月9日、顧客による著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」について、企業に従業員を守るための相談体制整備や対応マニュアルの策定を義務付ける法改正案の骨子をまとめました。早ければ次期国会での成立を目指します。

    これまで「お客様は神様」という商慣習の下、現場の従業員が不当な要求や暴言に耐えるケースが多発していましたが、今後は企業が組織として対応しない場合、安全配慮義務違反に問われることになります。特にBtoC(消費者向け)ビジネスを展開する中小企業にとって、現場を守る具体的なルールの策定が急務となります。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:「組織で対応する」姿勢の明文化
      • 解説:最大の対策は「現場の個人に対応させない」ことです。社長名で「不当な要求には組織として毅然と対応する」「従業員を守るためなら取引停止も辞さない」という基本方針(ポリシー)を策定し、社内外に公表してください。これがあるだけで、現場の従業員は安心して働くことができ、クレーマーへの抑止力にもなります。
    • ポイント2:具体的な「撤退ライン」を決める
      • 解説:精神論のマニュアルは役に立ちません。「大声を張り上げられたら通話を録音する」「土下座を強要されたら警察に通報する」「対応時間が30分を超えたら上長に交代する」といった、現場が迷わず判断できる具体的な「撤退ライン(対応打ち切り基準)」をルール化しましょう。判断の責任を現場に負わせないことが重要です。
    • ポイント3:従業員の「心のケア」体制の整備
      • 解説:カスハラを受けた従業員の精神的ダメージは甚大です。被害が発生した直後に、産業医やカウンセラーに相談できる窓口を案内する、あるいは特別休暇を付与するといった、事後のケア体制を整えておくことも、義務化の一部に含まれる見込みです。被害者を孤立させない仕組みづくりを今のうちから進めましょう。

3. 「ビジネスケアラー(介護しながら働く人)」支援、中小企業に簡易診断ツール提供

  • 公表日時: 2026年2月12日 (経済産業省 発表)
  • ニュース概要の抜粋:

    高齢化に伴い、働きながら家族の介護を行う「ビジネスケアラー」が急増しています。経済産業省は2月12日、中小企業が自社の「介護離職リスク」を可視化できる簡易診断ツールの無償提供を開始しました。

    介護は育児と異なり、ある日突然始まり、終わりが見えないのが特徴です。管理職クラス(40代・50代)が直面するケースが多く、彼らが離職すれば経営への打撃は計り知れません。ツールでは、従業員の年齢構成や実態調査アンケートを通じて、「隠れ介護」のリスクを洗い出し、早期に相談できる環境作りを促します。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:「お互い様」の風土醸成が先決
      • 解説:介護の悩みは「会社に迷惑をかける」と考えて隠されがちです。制度があっても使われなければ意味がありません。経営者が率先して「介護は誰にでも起こる。隠さずに相談してほしい」と発信し続けることが重要です。介護離職を防ぐには、制度(ハード)以上に、休みを言い出しやすい職場風土(ソフト)の整備が不可欠です。
    • ポイント2:アンケートで「予備軍」を把握する
      • 解説:今回提供されたツールなどを活用し、社内アンケートを実施してみましょう。「現在介護中」だけでなく、「数年以内に介護の可能性がある」従業員がどれくらいいるか把握するだけで、危機感の共有につながります。リスクが見えれば、「リモートワークの拡充」や「フレックス制」など、打つべき対策の優先順位が決まります。
    • ポイント3:地域包括支援センターとの連携情報
      • 解説:会社が介護の専門家になる必要はありません。重要なのは「どこに相談すればいいか」という情報を従業員に提供することです。地域の「地域包括支援センター」や「ケアマネジャー」につなぐためのガイドブックを配布する、社内イントラにリンクを貼るなど、情報のハブ(中継点)としての役割を果たすだけで、従業員の不安は軽減されます。

4. 就活解禁直前、インターンシップからの「不適切な引き抜き」に注意喚起

  • 公表日時: 2026年2月2日 (文部科学省・厚労省 合同要請)
  • ニュース概要の抜粋:

    2027年卒の就職活動(広報解禁)が3月に迫る中、政府は2月2日、企業に対しインターンシップを通じた「不適切な早期囲い込み」や「学業阻害」を行わないよう改めて要請しました。

    ルール改正により、一定条件を満たすインターンシップであれば採用選考への活用が認められましたが、一部の中小企業やベンチャー企業で、大学の授業がある平日に長時間拘束したり、「今すぐ承諾しないと内定を取り消す」といった強引なオワハラ(就活終われハラスメント)まがいの行為が報告されています。学生の不信感を買えば、SNSで即座に拡散され、採用ブランドが失墜するリスクがあります。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:学生の「本分(学業)」を最優先する
      • 解説:目先の採用数確保に焦るあまり、学生の授業や試験期間を無視した日程設定を行っていませんか?「学業を軽視する会社」は、入社後も「従業員の生活を軽視する会社」と見なされます。日程調整の際は必ず「授業や試験に被っていないか」を確認し、柔軟に対応する姿勢を見せることが、結果として学生からの信頼=志望度向上につながります。
    • ポイント2:「選考直結」の要件を再確認
      • 解説:インターンシップを選考に活用するには、「5日間以上」「就業体験が必須」などの要件(タイプ3)を満たす必要があります。単なる1day説明会を「インターン」と称して選考を行うのはルール違反であり、学生からも「コンプライアンス意識の低い会社」と見抜かれます。自社のプログラムがルールに適合しているか、今一度点検してください。
    • ポイント3:拘束ではなく「魅力付け」に注力
      • 解説:早期に内定を出して拘束(他社辞退の強要)しても、優秀な学生ほど反発して逃げていきます。内定承諾後も「いつでも辞退できる」という安心感を与えた上で、「それでもこの会社で働きたい」と思わせるような魅力付け(社員との面談、社内イベントへの招待など)に注力することが、本当の意味での囲い込みになります。

5. 人材定着の切り札、「社内公募制度(ジョブポスティング)」中小でも導入加速

  • 公表日時: 2026年2月14日 (HR総研 トレンド予測)
  • ニュース概要の抜粋:

    従業員の離職理由の上位に「キャリアの閉塞感」が挙がる中、空いたポストや新規プロジェクトのメンバーを社内から募る「社内公募制度(ジョブポスティング)」を導入する中小企業が増加しています。2月14日のレポートによると、従業員100〜300名規模の企業での導入率が前年比1.5倍となりました。

    「今の部署は合わないが、会社は好きだ」という層に対し、転職せずに社内で異動するチャンスを提供することで、離職を未然に防ぐ狙いです。また、上司の顔色を伺わずに手を挙げられる仕組みにすることで、自律的なキャリア形成を促し、組織の硬直化を防ぐ効果も期待されています。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1:「転職」ではなく「異動」という選択肢
      • 解説:優秀な若手が「やりたい仕事ができない」という理由で辞めていくのは、会社にとって最大の損失です。社内公募制度があれば、「辞める前に一度、社内のあの部署に挑戦してみよう」と思い留まらせることができます。採用コストゼロで、自社の文化を知っている人材を配置転換できるため、中小企業こそメリットが大きい制度です。
    • ポイント2:上司の「拒否権」をなくす
      • 解説:制度運用の鍵は、応募・異動に対して「直属の上司が拒否できない(ブロックできない)」ルールにすることです。「お前にはまだ早い」「抜けられたら困る」と上司が握りつぶしてしまっては、制度は形骸化し、部下は絶望して退職します。人事部が間に入り、公正なプロセスで異動を決定する仕組みが不可欠です。
    • ポイント3:不合格者への「フィードバック」
      • 解説:公募に手を挙げたものの不合格となった社員へのケアも重要です。単に落とすのではなく、「君にはこのスキルが不足している。あと1年、今の部署でここを磨けば次は合格できる」といった具体的なフィードバックを行うことで、モチベーションを維持し、次なる成長目標を与えることができます。

「人材防衛」が経営の最優先課題に

今回ご紹介した「賃上げ」や「カスハラ対策」、「社内公募制度」といったトピックに共通するのは、「今いる従業員をいかに守り、定着させるか」という視点です。

採用難が極まる中、既存社員の離職を防ぐ施策は、新規採用よりもはるかに投資対効果の高い経営戦略となります。「やり方がわからない」「リソースが足りない」とお悩みの経営者・人事担当者様は、ぜひ一度ヒューマンリソースコンサルタントにご相談ください。
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