【2025年総決算・後編】人事労務ニュース年間トップ10!フリーランス法・シニア活用など注目5選
2025年の人事労務ニュースを振り返る「年間トップ10」。前編では賃上げや育休法などのビッグトピックをお伝えしましたが、後編となる今回は、実務現場にジワジワと影響を与えた「コンプライアンス」や「新たな労働力活用」に関する5つのトピック(6位〜10位)を解説します。
これらは一見地味ですが、対応を誤ると行政指導や損害賠償リスクに直結するものばかりです。2026年のリスク管理にお役立てください。
この記事でわかること(トップ10 後編)
- 立入調査が厳格化した「フリーランス保護新法・下請法」の運用実態。
- 未経験者・スポットワーク活用が進む「シニア・高齢者雇用」の新潮流。
- 2026年4月改正に向けた準備。「障がい者雇用率引き上げ」への対応。
- 「紙・ハンコ」の完全廃止へ。「社会保険手続きの電子化義務化」ロードマップ。
- 50人未満も対象へ。「ストレスチェック義務化」の拡大方針決定。
6. 【法務】フリーランス保護新法、取引適正化で「買いたたき」監視強化
- 主要な動き: 2024年11月施行・2025年運用本格化
- ニュース概要の振り返り:
2024年秋に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス保護新法)」ですが、2025年はその運用と監視が本格化した1年でした。公正取引委員会等は、発注時の条件明示(発注書交付)や、60日以内の報酬支払いが守られているかを集中的に調査しました。
特に、原材料費や労務費の高騰を価格に転嫁させない「買いたたき」に対する指導が厳格化しており、フリーランスと取引のある多くの中小企業が、発注フローや契約書の見直しを迫られました。
- 中小企業向け・3つのポイントと解説
- ポイント1: 「発注書」交付の徹底とデジタル化
- 解説: 口頭やLINEでの発注はトラブルの元であり、法律違反です。業務内容、報酬、納期などを明記した書面(またはメール等)を「業務開始前」に必ず交付する運用を現場に徹底させる必要があります。クラウド契約サービスの導入が解決策として普及しました。
- ポイント2: ハラスメント対策の適用
- 解説: 新法では、フリーランスに対するハラスメント対策も発注者の義務となりました。社内の従業員同様、セクハラ・パワハラの相談窓口を利用できるようにする等の体制整備が求められています。
- ポイント3: 協議の記録を残す
- 解説: 価格交渉があった場合、一方的に拒否するのではなく、誠実に協議した記録を残すことが重要です。「予算がないから無理」という回答は、独占禁止法上のリスクが高まるため、経営者自身の意識改革が必要です。
- ポイント1: 「発注書」交付の徹底とデジタル化
7. 【採用】シニア人材の「未経験・スポット活用」が常識に
- 主要な動き: 2025年通年の採用トレンド
- ニュース概要の振り返り:
若手採用が困難を極める中、2025年は「シニア人材(60歳以上)」の活用方法が大きく変化した年でした。これまでは「経験者・即戦力」としての採用が中心でしたが、製造業や物流、サービス業において、「未経験のシニア」を「短時間・スポット」で受け入れる動きが急拡大しました。
タイミーなどのスポットワークアプリの利用層が高齢者にも広がり、「体力的にフルタイムは無理だが、週2日・数時間なら働きたい」というシニアのニーズと、企業の人手不足が見事にマッチしました。
- 中小企業向け・3つのポイントと解説
- ポイント1: 業務の切り出し(ジョブ型化)
- 解説: シニア活用の鍵は、難しい判断業務を除き、「検品」「清掃」「陳列」といった定型業務を切り出すことです。誰でもすぐに始められるマニュアル整備が進んだ企業ほど、シニア戦力化に成功しています。
- ポイント2: 安全配慮と健康管理
- 解説: 労働災害のリスクは年齢とともに高まります。転倒防止のための床材変更や、重量物運搬の補助器具導入など、ハード・ソフト両面での安全対策が、シニア採用の必須条件となりました。
- ポイント3: テクノロジーへのサポート
- 解説: 勤怠管理や業務連絡のスマホアプリ化が進む中、シニア層へのデジタルサポート(操作説明会など)を丁寧に行うことが、定着率向上のポイントでした。
- ポイント1: 業務の切り出し(ジョブ型化)
8. 【雇用】障がい者雇用率2.9%へ、除外率引き下げで対象拡大
- 主要な動き: 2026年4月改正に向けた準備期間
- ニュース概要の振り返り:
2025年末、労働政策審議会にて2026年4月からの民間企業の法定雇用率を「2.9%」へ引き上げることが決定しました。これにより、従業員数35人以上の企業で新たに雇用の義務が発生します。
また、建設業などの特定業種に認められていた「除外率」の一律引き下げも決定。2025年は、これまで「うちは関係ない」と考えていた中小企業が、急ピッチで採用準備や業務の洗い出しに動き出した1年でした。
- 中小企業向け・3つのポイントと解説
- ポイント1: 従業員数「35人」の壁
- 解説: 従業員数が35人前後の企業は、2026年から新たに1名の採用義務が生じる可能性が高いです。自社の人数(短時間労働者のカウント方法含む)を再確認し、採用計画を立てる必要があります。
- ポイント2: 支援機関との連携強化
- 解説: ハローワークや就労移行支援事業所とのパイプ作りが重要です。採用だけでなく、入社後の定着支援(ジョブコーチの活用など)を無料で受けられるリソースを確保しておくことが、成功の秘訣です。
- ポイント3: サテライトオフィス等の活用
- 解説: 自社内での受け入れが難しい場合、障がい者雇用向けのサテライトオフィスサービスや、農園型雇用などの活用を検討する企業も増えました。多様な雇用形態を知っておくことがリスクヘッジになります。
- ポイント1: 従業員数「35人」の壁
9. 【手続】社会保険手続き「完全電子化」へ、GビズIDの普及
- 主要な動き: 政府ロードマップ公表
- ニュース概要の振り返り:
行政のデジタル化が加速し、社会保険・労働保険の手続きについて「電子申請」を義務化する範囲を中小企業にも拡大するロードマップが示されました。2027年度には原則デジタル化(紙の廃止)が目指されています。
2025年は、その基盤となる法人共通認証基盤「GビズID」の取得が中小企業にも浸透しました。補助金申請だけでなく、日々の入退社手続きにおいても「e-Gov」や民間の労務ソフトを通じた電子申請がスタンダードになりつつあります。
- 中小企業向け・3つのポイントと解説
- ポイント1: アナログ業務からの脱却
- 解説: 「役所に行って並ぶ時間」は経営資源の浪費と見なされるようになりました。電子申請に切り替えることで、手続き時間は大幅に短縮されます。まだ紙で運用している企業は、2026年こそ切り替えのラストチャンスです。
- ポイント2: クラウド労務ソフトの導入
- 解説: SmartHRやfreeeなどのクラウドソフトを導入し、従業員情報をデータベース化することが電子化の第一歩です。これらは年末調整や給与計算とも連動するため、バックオフィス業務全体の効率化につながります。
- ポイント3: 情報セキュリティ対策
- 解説: デジタル化に伴い、マイナンバーなどの重要情報の管理体制が問われます。アクセス権限の設定やログ管理など、セキュリティガイドラインに沿った運用が必要です。
- ポイント1: アナログ業務からの脱却
10. 【メンタル】ストレスチェック義務化、「50人未満」へ拡大方針
- 主要な動き: 労働安全衛生法 改正議論
- ニュース概要の振り返り:
現在、従業員50人以上の事業場に義務付けられている「ストレスチェック制度」について、50人未満の全事業場へ義務を拡大する方針が固まりました。2025年はその法改正に向けた具体的な議論(実施体制や助成金など)が進んだ年でした。
小規模企業ほど、一人のメンタル不調が組織全体に与える影響は甚大です。「義務化されるからやる」のではなく、「従業員のSOSを早期に検知するツール」として、先行導入する小規模企業も増えています。
- 中小企業向け・3つのポイントと解説
- ポイント1: 早期発見・早期対応の仕組み
- 解説: ストレスチェックはあくまで「気づき」の機会です。高ストレス者が判明した場合に、産業医や外部カウンセラーにつなぐ動線(相談窓口)を確保しておくことが重要です。
- ポイント2: 集団分析による職場改善
- 解説: 個人の結果だけでなく、部署ごとのストレス傾向(集団分析)を見ることで、パワハラや過重労働の温床となっている部署を特定できます。職場環境改善のデータとして活用しましょう。
- ポイント3: 助成金の活用
- 解説: 50人未満の事業場がストレスチェックを実施する場合、労働者健康安全機構の助成金が利用できます。コストを抑えて導入できる今のうちに、体制を整えておくことをお勧めします。
- ポイント1: 早期発見・早期対応の仕組み
まとめ:2026年は「変化に適応した企業」が生き残る
2記事にわたり、2025年の人事労務ニュース「トップ10」を振り返りました。共通しているのは、法改正も市場トレンドも「人を大切にする企業(賃金、柔軟性、コンプライアンス)」へとベクトルが向いていることです。
これらの変化は一過性のものではなく、2026年以降さらに加速します。新年のスタートにあたり、自社の制度が時代の要請に合っているか、改めて点検してみてください。
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トラブルが起きる前に、ぜひ一度ご相談ください。

