【2025年総決算・前編】人事労務ニュース年間トップ10!最低賃金・育休法など重要トピック5選

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【2025年総決算・前編】人事労務ニュース年間トップ10!最低賃金・育休法など重要トピック5選

あけましておめでとうございます。2026年の幕開けにあたり、昨年の人事労務業界を激震させた出来事を振り返ります。2025年は、歴史的な「賃上げ」と「柔軟な働き方」への法改正が相次ぎ、中小企業にとっては制度対応に追われた1年でした。

この記事では、2025年に公表・施行された人事労務関連ニュースの中から、特に影響の大きかった「トップ10」を選出。前編となる今回は、経営へのインパクトが甚大だった上位5つのトピックについて、改めて実務対応のポイントを解説します。

この記事でわかること(トップ10 前編)

  • 10月施行で義務化された「改正育児・介護休業法(柔軟な働き方)」の復習。
  • 全国平均1,121円へ。「最低賃金」の過去最大級の引き上げと、その後の影響。
  • 103万円から160万円へ。「年収の壁」税制改正と、社会保険加入の攻防。
  • 大卒30万円時代に突入。「初任給高騰」と中小企業の対抗策。
  • 努力義務から義務へ。「カスタマーハラスメント(カスハラ)対策」の法制化。

目次

1. 【法改正】改正育児・介護休業法施行、「柔軟な働き方」が義務に

  • 主要な動き: 2025年10月1日施行
  • ニュース概要の振り返り:

    2025年の最大のトピックは、10月に施行された改正育児・介護休業法です。特に「3歳から小学校就学前の子を育てる労働者」に対し、事業主が「テレワーク」「時差出勤」「短時間勤務」などの5つの選択肢から2つ以上の制度を用意し、労働者が選択できるようにする措置が義務化されました。

    施行から3ヶ月が経過しましたが、対応が遅れている企業では優秀な子育て世代の離職が見られ始めています。単に制度を作るだけでなく、「使いやすい雰囲気」を醸成できたかどうかが、2026年の定着率を左右します。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1: 就業規則の変更届出は完了しているか
      • 解説: まだ対応できていない企業は法令違反の状態です。まずは「始業時刻変更」や「テレワーク」などの規定を就業規則に盛り込み、労働基準監督署へ届け出てください。形式的な整備だけでなく、対象者への周知義務も果たしているか再確認が必要です。
    • ポイント2: 「男性育休」の取得率向上
      • 解説: 改正法では、男性の育児休業取得状況の公表義務の対象企業も拡大されました(従業員100人超へ)。中小企業でも「男性が育休を取るのは当たり前」という空気が醸成されつつあります。取得事例を社内で共有し、心理的ハードルを下げる取り組みが不可欠です。
    • ポイント3: 介護離職防止への備え
      • 解説: 育児だけでなく「介護」に関する周知義務も強化されています。40代・50代の中核社員が突然離職するのを防ぐため、介護休業制度や相談窓口の情報を定期的に発信し、「会社に相談すれば辞めずに済む」という安心感を与えましょう。

2. 【賃金】最低賃金が全国平均1,121円へ、過去最大級の引き上げ

  • 主要な動き: 2025年10月改定
  • ニュース概要の振り返り:

    2025年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で1,121円となり、前年比で平均66円増という過去最大級の引き上げ幅を記録しました。物価高騰への対応と政府の強い賃上げ要請が背景にあります。

    この改定により、都市部だけでなく地方でも時給1,000円超えが常態化しました。中小企業にとっては、パート・アルバイトの人件費負担が急増しただけでなく、正社員との給与バランス(逆転現象)の調整にも頭を悩ませた1年となりました。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1: 「価格転嫁」できた企業とできなかった企業
      • 解説: 賃上げ原資を確保するために、商品・サービスの価格への転嫁が進みました。2025年は「値上げしても選ばれる付加価値」を持てるかどうかが企業の明暗を分けました。2026年も賃上げ基調は続くため、継続的な価格戦略の見直しが経営の生命線となります。
    • ポイント2: 扶養内パートの「働き控え」問題
      • 解説: 時給が上がったことで、年収の壁を意識して労働時間を減らす「働き控え」が現場で多発しました。後述する「年収の壁」対策とセットで、シフト調整や社会保険加入の提案を行うコミュニケーション能力が現場管理職に求められています。
    • ポイント3: 業務効率化(DX)への投資
      • 解説: 高騰する人件費を吸収するには、生産性向上が不可欠です。RPAによる事務自動化や、配膳ロボット、自動精算機などの導入が進みました。「人がやらなくていい仕事は機械に任せる」という決断が、2026年の利益率に直結します。

3. 【税制】「103万円の壁」撤廃へ、基礎控除引き上げで手取り増

  • 主要な動き: 2025年末 税制改正大綱決定
  • ニュース概要の振り返り:

    長年議論されてきた所得税の「103万円の壁」について、2025年の税制改正議論により、基礎控除等の引き上げ(実質160万円ラインへの移行)が決定的な流れとなりました。パート・アルバイトが所得税を気にせず働ける枠が広がったことは朗報です。

    一方で、社会保険の加入ラインである「106万円(または130万円)の壁」は依然として存在しており、制度が複雑化しています。「税金はかからないが、社会保険料は引かれる」という状況をどう説明するかが、企業側の課題となっています。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1: 従業員への正確な情報提供
      • 解説: 多くのパート従業員が「税金の壁」と「社会保険の壁」を混同しています。「160万円まで働いても税金はかからないが、社会保険には加入が必要になる可能性がある」という点を丁寧に説明し、個別の働き方希望をヒアリングする必要があります。
    • ポイント2: 「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用
      • 解説: 政府は社会保険加入による手取り減少を補うため、キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)などの支援策を強化しています。これらを活用し、従業員の手取りを維持しながら社会保険加入を促すことが、人手不足解消の近道です。
    • ポイント3: 将来的な「全適用」への備え
      • 解説: 政府は将来的に、企業規模に関わらず週20時間以上働く全従業員を社会保険の適用対象とする方向で調整しています。2025年の改正はその布石です。社会保険料の会社負担増を見越した経営計画を立てておく必要があります。

4. 【採用】新卒初任給「30万円」時代、賃金格差と採用難

  • 主要な動き: 2026卒採用商戦(2025年実施)
  • ニュース概要の振り返り:

    2025年に行われた採用活動では、大手企業を中心に初任給を「一律30万円」に引き上げる動きが相次ぎました。これにより、中小企業との初任給格差が拡大し、従来通りの給与設定では母集団形成すらままならない事態が発生しました。

    「給与で勝てない中小企業」は、選考スピードの短縮、インターンシップからの早期囲い込み、そして「可処分所得(手取り)」や「働きがい」のアピールへと戦略転換を迫られました。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1: 総額ではなく「生活水準」での訴求
      • 解説: 額面の金額競争では勝てません。「家賃補助」「寮」「物価の安い地域での生活」などを加味し、「実質的に自由に使えるお金はこれだけある」というシミュレーションを提示することで、学生の安心感を得る戦略が有効でした。
    • ポイント2: リファーラル(縁故)採用の強化
      • 解説: 求人媒体での競争を避け、社員の紹介によるリファーラル採用に注力する企業が増えました。2025年は「紹介ボーナス」を増額する企業も目立ちました。信頼できる社員からの紹介は、定着率も高く、採用コストも抑えられるため、2026年も注力すべきチャネルです。
    • ポイント3: 既存社員への「防衛的な賃上げ」
      • 解説: 初任給だけを上げると、先輩社員との給与逆転が起き、不満による離職を招きます。初任給アップと同時に、若手・中堅層のベースアップを行う「給与テーブル全体の改定」を行った企業が、組織の崩壊を防ぐことができました。

5. 【リスク】「カスタマーハラスメント」対策義務化、現場を守る経営へ

  • 主要な動き: 2025年内 法改正の方向性決定
  • ニュース概要の振り返り:

    顧客による著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)に対し、企業に対策を義務付ける法改正の動きが決定的となりました。これまでの「指針(ガイドライン)」レベルから、罰則付きの法的義務へと格上げされる流れです。

    2025年は、鉄道や小売大手が相次いで「カスハラに対する基本方針」を発表し、名札のイニシャル化や、悪質な顧客への対応打ち切り(出入り禁止)を明文化しました。中小企業においても、従業員を守る姿勢が採用ブランディングの重要な要素となっています。

  • 中小企業向け・3つのポイントと解説
    • ポイント1: 「お客様は神様」からの決別宣言
      • 解説: 経営トップが「理不尽な要求には屈しない」「従業員の人権を守る」と明言することが全ての出発点です。この方針を社内外に公表することで、現場スタッフは安心して働くことができ、エンゲージメント向上につながります。
    • ポイント2: 対応マニュアルと「切る基準」の策定
      • 解説: 「どこまで我慢すればいいか」の基準を明確にしました。「大声での威嚇」「土下座の強要」「〇分以上の拘束」など、具体的なNG行動を定義し、それに該当した場合は対応を打ち切る、警察に通報するといったフローを整備する必要があります。
    • ポイント3: 証拠保全ツールの導入
      • 解説: 通話録音装置やウェアラブルカメラの導入が進みました。これらは「証拠を残す」だけでなく、「録音しています」と伝えること自体が抑止力になります。安価なクラウド型サービスも増えているため、2026年は中小企業でも標準装備となるでしょう。

2026年のスタートダッシュ、専門家が支援します

昨年のトップ5ニュースを振り返ると、いずれも「人への投資」と「リスク管理」がテーマでした。
「法改正に対応した就業規則になっているか不安」
「今年の賃上げ原資をどう確保するか相談したい」

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