労働契約法とは?【雇用・労働条件の基礎となる法律】
【定義】労働契約法とは、労働者と使用者の間で締結される労働契約に関する基本的なルールを定めた法律です。労働契約の成立、変更、終了に関するルールや、「労働契約の原則」を明確にすることで、労使間の対等な関係構築と紛争の未然防止を目的としています。2008年に施行された比較的新しい法律ですが、労働契約の全般に適用される基本法です。
労働基準法(最低労働条件を定めた法律)とともに、中小企業が健全な労務管理を行う上で必須の法律です。特に、労働条件の不利益変更や雇止めに関するルールは重要です。
労働契約法の主要な原則と規定
1. 労働契約の原則(3つの基本原則)
- 労働契約自由の原則: 労使が合意の上で労働契約を結ぶこと。
- 労働契約の遵守の原則: 労使が信義に従い誠実に労働契約を遵守すること。
- 労働契約の変更の原則: 労働契約は原則として、労使双方の合意がなければ変更できないこと(不利益変更の規制)。
2. 重要な規定
- 雇止め法理の法典化(有期労働契約): 有期雇用契約の反復更新により、実質的に無期契約と同様の状態にある場合、合理的な理由なく雇止め(契約終了)をすることができないとするルール。
- 労働条件の不利益変更: 労働契約の内容を労働者の不利益に変更する場合、原則として労働者の合意が必要です。就業規則の変更によって不利益変更を行う場合、その内容に合理性がなければなりません。
- 懲戒処分の制限: 懲戒処分は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、無効とする。
中小企業の労務管理上の注意点
注意点1: 労働条件の不利益変更
人事制度の見直し(特に賃金制度)を行う際、社員にとって不利益になる変更を行う場合は、必ず社員への十分な説明と合意(または合理性の確保)が必要です。労働契約法の規定を無視して変更を行うと、トラブルの原因となり、変更が無効となるリスクがあります。
注意点2: 有期雇用契約(パート・契約社員)の管理
契約社員やパートタイマーを何度も契約更新している場合、上記で述べた「雇止め法理」により、安易に契約を終了できなくなる可能性があります。契約期間満了前に、契約更新の有無や理由について慎重な判断と手続きが必要です。
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