ノーワーク・ノーペイの原則

ノーワーク・ノーペイの原則とは?【欠勤・遅刻時の給与計算と労務管理の基本】

【定義】ノーワーク・ノーペイの原則(No Work, No Pay)とは、労働者が労働契約に基づいて労務の提供がない場合、使用者はその分の賃金を支払う義務がないという、民法の基本原則です。この原則は、欠勤、遅刻、早退、ストライキなど、社員の都合で働けなかった場合に適用されます。

勤怠管理と給与計算の基礎となる重要な原則ですが、有給休暇や休業手当など、例外となるケースも存在します。中小企業の労務リスク回避と給与計算の正確性を確保するために理解すべき基本ルールを解説します。


ノーワーク・ノーペイの原則の適用範囲と計算方法

原則が適用されるケース(賃金カットが可能)

  • 社員の自己都合による欠勤・遅刻・早退(病気、私用など)
  • 会社の責めに帰さない理由による休業(例:自然災害による出社不能、公共交通機関の遅延で会社が特別に休業を認めなかった場合)
  • 労働組合のストライキ参加

計算方法の基本

月給制の場合、原則として欠勤控除として賃金を差し引きます。控除額の計算方法は就業規則に定めますが、一般的には、「(月給) ÷ (所定労働日数または総暦日数)」で日額を算出し、欠勤日数分を差し引きます。


原則の例外:企業に賃金支払い義務が生じるケース

以下のケースでは、労働者は労務を提供していなくても、企業は賃金の一部または全額を支払う義務が生じます。

ケース 企業の支払い義務 関連法規
年次有給休暇の取得 全額支払い(労働義務が免除される) 労働基準法
会社の責めに帰すべき事由による休業 平均賃金の60%以上(休業手当) 労働基準法
産前産後休業・育児休業 企業の賃金支払い義務は原則なし(社会保険から給付あり) 育児・介護休業法

中小企業の労務管理上の注意点

  1. 就業規則への明記: 欠勤控除の計算方法や、欠勤・遅刻時の具体的な取り扱いについて、就業規則に明確に記載する必要があります。
  2. 遅刻・早退の取り扱い: 1分単位で遅刻控除を行う場合は、その計算方法を明記する必要があります。また、罰則規定(懲戒処分)を設ける場合は、合理的な理由と手続きが必要です。

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ノーワーク・ノーペイ原則の適用や、休業手当の計算は、就業規則と労働基準法に基づいて正確に行う必要があります。労務管理のプロが貴社の規則を点検・整備します。

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この記事を書いた人

中小企業の経営者に向けて、人事制度に関する役立つ記事を発信しています。

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