ベースアップ(ベア)とは?【定期昇給との違いと賃金改定時の注意点】
【定義】ベースアップ(ベア)とは、社員の給与水準全体を底上げすることを指します。具体的には、年齢や評価に関係なく、賃金テーブルそのものを引き上げることを意味します。春季労使交渉(春闘)における主要な議題であり、企業の収益状況や物価高騰(インフレ)に対応するために実施されます。
毎年実施される「定期昇給」と混同されがちですが、その目的と影響は大きく異なります。賃金改定の動向を把握し、人件費計画を立てるために不可欠な知識です。
ベースアップと定期昇給の決定的な違い
賃上げには「定期昇給」と「ベースアップ」の2種類があり、企業が抱える人件費の将来的な負担に大きな違いをもたらします。
定期昇給(定昇)
- 定義: 勤続年数や評価結果に基づき、個々の社員の賃金等級内で給与が上昇すること。
 - 特徴: 賃金テーブルの号俸を上がることによって行われるため、個人の成長・貢献を反映します。通常、企業は毎年継続して実施します。
 
ベースアップ(ベア)
- 定義: 賃金テーブルの全体を上にスライドさせること。
 - 特徴: 全社員の賃金水準が上がるため、企業の固定費負担が永続的に増加します。主に、物価変動や社会情勢に対応するために行われます。
 
中小企業がベースアップを判断する際の注意点
注意点1: 将来の固定費負担の増大
ベースアップは一度実施すると、社員の給与水準が恒久的に上がり、企業の固定費負担が増大します。一時的な業績好転で安易に実施すると、その後の業績悪化時に給与を下げることが難しくなります。
注意点2: 定期昇給と区別した設計
ベースアップを実施する際は、昇給の総額のうち「ベア分」と「定昇分」を明確に区別し、賃金規程にも明記する必要があります。
賃上げ戦略の推奨
中小企業が賃上げを行う際は、ベアの比率を抑え、評価制度に基づいた定期昇給やインセンティブの増額に注力することで、社員の意欲を刺激しつつ、固定費リスクをコントロールすることが賢明です。
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